ここではシャンソンをより一層知ってもらうために、シャンソンの歴史と種類について紹介します。

シャンソンの語源

  
  イタリア語の「カンツォーネ(Canzone)」やスペイン語の「カンシオン(Cancion)」と同じ語源で「歌謡」または「小唄」という意味。 

シャンソンの生い立ち


  進歩的な教会の修道士や司祭が「ポピュラーソング」の形を使って、より親しみやすい伝道歌を創ろうと思いついたのが始まりで、881年の「聖女ウーラリーの物語」が最古のシャンソンと言われています。その後、中世になると街の辻々で吟遊詩人たちが自作のシャンソンを披露。恋の歌や鋭い時事風刺、エスプリを利かせたシャンソンが次々に街にあふれるようになりました。

シャンソンの特徴


  シャンソンは「一編の短いドラマである」と言われるように、歌詞が物語性を持っているものが多いのが特徴。曲の多くはクゥプレ(Couplet)と呼ばれるストーリーの部分と、ルフラン(Refrain)と呼ばれる繰り返しの部分からなり、歌詞には日常会話が使われたり、時に隠語を交えて綴られることもよくあります。あるシャンソンを初めて歌って成功させることを、フランス語で「クレシオン(Creation・創唱)」と呼びますが、シャンソンではこの「創唱」が重んじられて来ました。なぜなら、歌い手は自分の個性を活かし、シャンソンを「演じ」、そして「歌う」ことで、作曲者とともに歌に生命を吹き込む人と見なされているからです。

シャンソンの種類


  シャンソンは曲の成り立ちや構造、あるいは取り扱うテーマによって次のように分類されています。

・シャンソン・ポピュレール(民衆の歌)

 英語のポピュラーソングのように「流行歌」を指すこともありますが、シャンソン史においては読み人知らずの民謡を指すこともあります。


・シャンソン・サヴァント(学識のあるシャンソン)

 シャンソン・ポピュレールに対して作者のはっきりしているシャンソン。中世の宮廷を中心に発達したもので、恋の歌が多いのが特徴。歌詞の形式も確立し、曲も芸術的で近代シャンソンの発達を促しました。


・シャンソン・リテレール(文学的シャンソン)

 詩人が書いた詩に作曲家が旋律を付けた曲を指します。1500年代に「詩と音楽のアカデミー」を設立してから誕生したジャンル。楽器の伴奏に乗って詩を読む「シャンソン」。

・シャンソン・レアリスト(現実的シャンソン)

 「恋」をテーマとし、曲はドラマチックな手法で展開。主人公にはやくざや娼婦、舟乗りや兵士が好んで取り上げられ、下町や港町を舞台に現実の庶民生活の最も暗い面をリアリティーを重んじて描き出しています。19世紀の末から台頭してきたジャンルで、女性歌手がメイン。「暗い日曜日」で有名なダミア、フレール、イヴォン・ジョルジュがこのジャンルの三大歌手と呼ばれました。 

・シャンソン・ファンテジスト
(幻想的シャンソン)


 さまざまなタイプを含む漠然とした分類で、自由自在に空想を繰り広げて綴ったシャンソンを言います。才気にあふれ、エスプリに富んでいるのが特徴で男性歌手がメイン。モーリス・シャバリエ、シャルル・トレネ、イヴ・モンタン、アズナブールなど多数。

             
                  永田文夫先生の本「シャンソン」より抜粋させていただきました。