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    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第321号
 2015.2.11.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】第14回乙女高原フォーラム(その2) 2月1日(日)
NEW! 2.【活動案内】2014年度総会 3月15日(日)
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0.【ニュースニュース】
●1.(再掲)ファンクラブの総会は3月15日(日)午後2時からの予定です。今回は2年に一度の世話人改選(選んでいるわけではないのだけれど・・・)です。ファンクラブは市民活動・ボランティア活動をしている団体ですから,その運営をしよう・「縁の下の力持ち」をやってやろうというのは立候補です。ぜひ,世話人に立候補をお願いします。乙女高原を次の世代に確実に譲り渡すために2年間,お力をお貸しください。よろしくお願いします。→2

●2.(再掲)次回世話人会は2月25日(水)午後7時半から牧丘総合会館です。ファンクラブの会員であれば,どなたでも参加できます。ぜひどうぞ。

●3.(再掲)『乙女高原大百科』(A5判600ページ)好評発売中です。1冊2,000円。送料は360円。ですから,送料込みで,1冊なら2,360円,2冊なら4,360円となります。3冊以上の送料については要相談。郵便振込でご送金ください(別途,送金手数料がかかります)。
http://fruits.jp/~otomefc/daihyakka.html
 郵便振替口座等は以下の通りです。
・口座番号 00220-8-71093
・加入者名 乙女高原ファンクラブ

●4.東京・渋谷のNHKギャラリーで写真展を開催されたことをメールマガジン前号で紹介しました「乙女高原の写真屋さん」古屋光雄さんによる写真展「乙女高原の森と花たち」が県内でも開催されることになりました。期間は3月10日(火)~4月8日(木)、会場は富士川町(旧増穂町)にある山梨県森林総合研究所「森の教室」学習室です。
http://www.pref.yamanashi.jp/shinsouken/
楽しみにしていてくださいね。

●5.写真展ではたくさんの乙女高原の写真を展示します。その作業は古屋さん一人ではとても大変なので、展示作業をボランティアで手伝っていただける方を募集します。できれば6人くらいお願いしたいと思います。準備日は3月8日(日)で、午前10時~12時を予定しています。集合は森の教室です。
http://www.yamanashi-bunka.or.jp/pwm/topmorino.html

●6.今回の乙女高原フォーラムでもたいへんお世話になった高槻さんが今年3月をもって麻布大学を退官されます。高槻さんの最終講義が3月7日(土)16:00〜17:30、麻布大学の生命環境学部L101教室で行われるそうです。参加費無料です。出席なさりたい方は麻布大学野生動物学研究室の南さんまでご連絡ください。Tel.042-850-2452(直通)。
 なお、最終講義の後は退官記念パーティーもあるそうです。詳しくは南さんまで。
※麻布大学:神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71  JR横浜線 矢部駅5分
      http://www.azabu-u.ac.jp/other/access.html
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1.【活動報告】●第14回乙女高原フォーラム● 2月1日(日)(その2)

  【第3部】これからの乙女高原
 まず、植原がスライドを使いながら,2010年に設置したシカ柵の、その後の様子を説明しました。2014年になると、シカ柵の中は7月にアヤメが咲き,8月はオミナエシもたくさん咲き、9月はシラヤマギクがいっぱいでした。そして、8月くらいからシカ柵の外の草丈のほうが中より高くなっていました。外はススキが優占しているからです。
 シカ柵の効果がわかったので,乙女高原ファンクラブは、乙女高原を大きく囲むシカ柵を設置することを提案しています。現在,巨大なシカ柵が設置されているのは,県内では櫛形山と大蔵高丸です。大きなシカ柵なので,ドアを開けて、中に入らなければなりません。なんか不自然ですね。ですが、そうでもしないとシカの影響を少なくすることはできません。
 そんな説明をした後、全体で意見交換をしていきました。

●1甘利山ではいつも乙女高原の活動を参考にさせていただいています。甘利山はまだ柵の外のほうがススキが高いという状態ではありません。柵の外で植物がシカに食べられてはいますが、皆無というわけではありません。ミヤコザサもあります。トリカブトも食べられながらも咲いています。花の種類は昔と変わらずありますが,数が少なくなりました。オミナエシもマツムシソウも少なくなりました。甘利山倶楽部では自分たちで小さな柵を作ってきましたが,メンテナンスのたいへんさを考えると,行政にお願いして,大きくて,丈夫な柵を作るしかないなと考えています。

●2たいへんなことになっています。人間の力でなんとかなるのかなあと思っています。

●3今までの自然保護って,「自然」とは付きますが,開発問題に対して反対する人がいたなど、基本的には人対人,人間社会の中での問題でした。おそらく,シカ問題というのは、日本人が初めて直面する対野生動物の自然保護問題だと思います。しかも、その野生動物というのは、日本の生態系の大切な一員であるシカです。シカを悪者にしていいのか?というジレンマがあります。
植物の立場からみればシカは悪者かもしれないけど、シカの立場でも考えなければならないと思います。

●4シカの問題は確かに大きなテーマで,シカ柵を作るしかありません。でも、シカを排除したら、本当に植物が回復するのか? シカ以外に植物を減少させている原因はないのか? というのも,シカ柵の中でもヤナギランが見事に咲かないのです。雨の問題、気候の問題、湿度の問題などもあると思います。

●5乙女高原でシカ柵の大きいのを一度は作ってみて、そして、草を刈るのも、極端な言い方をすれば、1回はやめてみるとか、なんか大きな実験をしてみないと、目先の問題に振り回されちゃうような気がします。

●6…そういう意味では,乙女高原は大きな教室かもしれません。人が自然とどのように関わっていけばいいのかを、いろいろ試行錯誤してみる場。しかも、ここは県有林で、私たちみんなの財産であり、それを県と市と市民団体が3者で守っているという場ですから、まさに自然保護の教室としての価値があるところかもしれないです。

●7シカの糞分析に興味を持ちました。私たちも甘利山で調べています。シカの冬の食べ物について教えてください。甘利山では雪の深いときには木の皮を食べているようです。昨年は大雪の後だったためかお花がよく咲きました。大雪によって植物が守られたということがあるのかなあと思いました。
  ↓
●8高槻さん 甘利山には行ったことはありませんが、だいたい、東北から関東にかけての太平洋側では冬,シカはミヤコザサを食べています。なぜミヤコザサが重要な餌植物になるかという話をしようとすると1時間くらいかかるんですが、それなりの条件を備えているわけです。太平洋側は一般的に雪が少ないので、植物が越冬するのにとても危険な地域なんです。冷たくて,乾いた気候ですから。だから、常緑の植物がほとんどないわけです。冬になるとミヤコザサはほとんど唯一の常緑の植物です。
 乙女高原のシカはそんなに樹皮を食べていません。ただ,10年前くらいに盛んに樹皮を食べていた時期があったようで、表面が巻き込んだような状況があり、一部枯れているところもあります。大雪の冬があって、そのときに本当に食べ物がなくなって、食べたんだと思います。樹皮を食べるというのは,シカにとってかなり危険な状態です。日光のように雪が深くていられなくなると,雪の少ない場所に移動してきます。すると,そこは非常に高密度になってしまい,そのときに樹皮はぎが起こります。金華山はシカの密度がとても高いところですが,雪が少ないので,樹皮はぎは起こらないです。樹皮には栄養はほとんどありません。樹皮を食べているんじゃなくて,樹皮の内側の形成層に「あまかわ」という部分があって,そこを食べています。枯れ葉も食べるし,木の枝も食べるし,そういう栄養のないものも食べざるをえなくなります。
 乙女高原の森にはササはあるし、大きな木もありますが,低木類がほとんどないです。これはもう、この20年くらいかけて、シカが一掃してしまったんですね。
 まだシカが入ったばかりのころは、ノリウツギやコマユミといった低木類を食べるんです。ところが、早川なんか林の下に低木どころか何もなくて、土砂崩れまで起きているところがありました。ササを喰い尽くして、食べるものがなくなると、ほんとうに危ないです。
 シカの食害以外の原因があるのかということについては、確かにその可能性はありますが,わかりません。ゲリラ豪雨は確かにありますが,それが直接原因になっているというのであれば,説明がつかないと思います。
 大きなシカ柵を作っても草刈りをしますか? 自然が好きな人って自由に山を歩きたいという感じがあるわけです。だけど、ゲートを開けてお邪魔しまーすというのであれば、もうそれは自然観察とは言えないのではないかと思えます。心情的にはそんな思いがあります。
また、シカだけでなく、キツネやウサギやいろいろな動物も排除するわけで、それでいいのかなと思います。きれいな花が見られていいなあという人はいるでしょうが,では、だれのための自然(保護)なの? 自然って人間の所有物ではありませんよね。このように考えると,とりあえず緊急避難的に実験的に柵を作るのはいいけど、恒久的に柵を作るのが、乙女高原全体を考えたときに本当に自然保護になるの? など、いろいろな課題があります。本当に今、難しい局面にいると思います。

●9乙女高原に通うのは丸10年になります。初年度は花の多さにびっくりし、アサギマダラの乱舞に感動し、2年間で120種類くらいの植物の写真が撮れました。3年目になったら,オオバギボウシとかアマドコロなんかの美味しい草をシカがつまんでいる痕跡をよく見ました。そうしたら,翌年からピシャッと出てこなくなりました。観察して特徴的なことはシートに書いて記録していたのですが、それをみると8年前に出てこなくなったことが鮮明にわかりました。アヤメもしかり。やはりシカの影響であったことが、今日のお話ではっきり判りました。また,ススキは食べられても回復力があることも納得できました。ササの藪もすっきりしてしまった印象があります。ここ3年くらいのことではないでしょうか。

●10シカについての質問です。シカの行動範囲はどれくらいあるのでしょうか? また,冬場、道路に凍結防止のエンカリ(塩化カリウム)をまきますが、それを動物が食べるという話がありますが、本当はどうなのでしょうか?
  ↓
●11高槻さん シカに限らないんですが、野生動物というのは案外行動範囲が狭いです。知らない所に行くのを嫌がります。生まれた赤ちゃんがお母さんと一緒に動く範囲というのは、広くて直径300mくらいの範囲内です。かなり狭いです。ただ、オスの子どもはある年齢(3~4歳)になると、そこを離れます。今までシカが見られないところでシカが発見されて話題になるのは、必ず若いオスです。特に秋、交尾期に若いオスはフラフラします。メスのことばっかり考えているんですね。交通事故にも会ったりします。そのときは広くなります。
 もう一つは,冬が降る地域だと、雪が降って、食べ物が見つけられなくなると、仕方なく下がって、そこで子どもが生まれるんだけれど、お母さんはまた登っていくけれど、子どもはそこに留まって、そこに定着していくということがあります。
 南向きの斜面などでは雪どけが早く,笹が出てきやすいので、そういう場所に集中して移動してくるということもあります。でも、また春になると散らばっていきます。
 シカの密度がまだ低い場合は,雪が少ない年は,冬のはじめに餌を食べ尽くしてしまい、飢え死にしてしまうことがあります。というのも、冬の間に体重が30~40パーセントも減るんです。夏の間に栄養を取って、脂肪分をつけておいて,えさをあまり食べなくても冬を越していけるようにしているんです。だから、栄養のほとんどない枝を食べても枯れ葉を食べてもなんとか生きていけます。
 雪が多い冬だと、冬の始めのころにエサが食べられないんだけれど、脂肪分の蓄積があるので、枯れ葉などを食べながらやり過ごして,本当に栄養がなくなった頃、雪が解けるので、ササが食べられるようになります。本当によくできています。かえって、雪が少ない年は餓死するシカが多いんです。ちょっと意外かもしれませんけどね。
 それから、有蹄類は慢性的な塩分不足で、岩塩なんか置いておくと集まってきます。ただ、私が調査している金華山はまわりが海で塩気があるのか,実験的に塩を置いておいても全然シカが来ないんです。ということで、沿岸部はそうでもないのですが、内陸部は塩不足になるので,日光なんかそうなのですが、塩を置いておいてシカを集めて、それで猟をしたという記録が残っています。塩化カリウムも塩化ナトリウム(食塩)も同じようなものなので,道路にまいておけば舐めにきます。それは栄養になる餌ではなく、ミネラル分ですね。ただ、それを舐めにシカが道路に来ますと,道路での滞在時間が長くなりますから、交通事故の危険性は高くなりますね。

●12シカとの共存というのはとても難しい問題だと思います。山に住んでいるものとして言わせていただくと、もう個人で山仕事はできないですよ,シカに全部やられてしまって。昔はノウサギにやられるということはありました。でも、シカほどではありませんでした。ネットを張らないと植林してもダメですし、ネットは個人でできるようなことではありません。山梨県では戦後,公社造林をやったり、県が補助して造林をやってきたわけですが、そういうふうに広大な面積でないと柵を作ってくれないです。個人での植林はもう不可能です。こういうこともシカの害として考えていただきたいと思います。

●13私の住んでいる座間から相模原(神奈川県)あたりは江戸時代は南北10キロ、東西5キロくらいの馬草場だったんです。ものすごく広い草原だったんです。その中で気になったのは夏草騒動というのと冬草騒動というのがあったんです。馬草場はどちらかというと夏刈ります。ところが、私たちは秋の,もうススキがたねを飛ばして、地下に栄養を蓄えて、もうススキには痛くもかゆくもない時期に刈っているわけです。冬草騒動というのは,馬草場を養生するために、協定で「この地区は冬刈らない」というようなことをやっているわけです。当時、その付近は江戸幕府の直轄領でしたから、江戸幕府に対して「相模原地区は協定違反している」といったことを訴えている文献が残っています。もう一度、刈る時期を検討したらいいと思います。ススキに我々が協力している感じがしてしょうがありません。

●14去年の6月から乙女高原で、シカ柵内外で昆虫と植物の関係を調べている麻布大学の学生です。私が知っている乙女高原はススキ群落が広がる草原なのですが、今日は昔の乙女高原の様子が聞けるとても機会だったです。来年度も植物と昆虫の調査を続けて,今後の乙女高原の将来について考える情報としてデータを取らせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 これで意見交換を終わり、司会を山梨市観光課の網野さんにバトンタッチし、閉会行事に移行しました。
 宮原さんからお礼のあいさつをいただき、内藤さんから諸連絡をしていただいてフォーラムを無事終了させました・・・・おっと、その前に、ちょっとしたサプライズとして今春、大学を退官される高槻先生に芳賀さんから花束を渡してもらいました。高槻先生にはまだずっと乙女高原に関わっていただきたいと思っていますが,節目の記念と今までのご参画への感謝です。
 片付け後、毎回好例となっているゲストを囲んでの茶話会を行いました。大勢が残って,手作りの品々に舌鼓を打ちながら、おおいに盛り上がって情報交換しました。
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2.【活動案内】 ●2014年度総会ならびに座談会●

皆さん、ぜひご出席ください。

  【総 会】
日 時 3月15日(日)午後2時~(準備は1時半から)
場 所 山梨市牧丘総合会館 3階 大ホール
次 第
 1.開会のことば
 2.代表世話人あいさつ
 3.議 事
  ①2014年度活動報告
  ②2014年度収支決算報告
  ③会計監査報告
  ④2015年度活動計画案
   ⑤2015年度収支予算案
⑥新世話人の承認
⑦新旧世話人のあいさつ
  ⑧その他
 4.その他
 5.閉会のことば

   【座 談 会】
今回はとくに話題提供者は決めず、ざっくばらんに話し合います。
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