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 乙女高原ファンクラブ 公認
乙女高原メールマガジン第444号  2020.12.25.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【観察報告】12月20日の乙女高原
NEW! 2.【活動回顧】③たった一人のモニタリング
    3.【活動案内】乙女高原自然観察交流会 2021年01月09日(土)
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0.【ニュースニュース】

●1.前号で生物多様性「山梨県」地域戦略についての記事を書いたところ、大勢の方からご意見ご感想をいただきました。ありがとうございました。たとえば、甘利山倶楽部の小林さんからはこんなご意見をいただきました。
◆山梨の大学の学部に植物学がないので、標本を預かってくれるところがないと、亡くなられた大久保先生がおっしゃっていました。環境省生物多様性センターに標本は預けられたのですが 今年の秋に まだ整理できてないとのことでした。山梨の標本は須玉、大泉からの83点だけ見られるとのこと。全国からの7千点の標本があるうちの…です。いかに植物を研究する人が山梨は少ないことでガッツかりした一件でした。

●2.生物多様性「山梨県」地域戦略もそうなのですが、自然保護に終わりはありません。私はジャーナリストでも評論家でもないので、「メールマガジンに書きたいこと・書くべきことを書いたからもうおしまい」とはいきません。メールマガジンはあくまで「内輪」の話。むしろ、ここからが始まりと言えます。
 ということで、担当課である山梨県森林環境部みどり自然課はもとより、「山梨も戦略ができているよ」と教えてくれた環境省や、「山梨の戦略は環境基本計画の一部の一部に書いてあるよ」と返答してくれた山梨県森林環境部環境総務課にメールマガジンとともに「しっかりした戦略を作ってください」メールを送っておきました。皆さんもよろしければ、これらの部署にメール等を送り、「山梨の多様性戦略を憂いているのはウエハラだけではない!」ということを意志表示していただきたいです。とりあえずは担当課の「山梨県みどり自然課」だと思います。
  電 話 055-223-1520
  メール midori@pref.yamanashi.lg.jp
 本日、「メールの件で話を聞きたい」と、環境省の方から電話があり、意見交換をしました。何か行動を起こせば、何かリアクションがあるものだなあと実感しました。環境省も山梨県の地域戦略には課題があると認識していました。

●3.お一人で乙女高原を訪ねられた井上さんがレポートを書いてくださいました。氷の芸術ともいえる「氷華」のレポートです。じつは、井上さんはもっとすごい(と思われる)発見をなさっているのですが、これはもう少し調べてからお知らせしますね→1

●4.2021年が乙女高原ファンクラブ創設20周年となることから、「乙女高原の保全活動の歴史~植原の目から見た~」という連載を始めています。今回は第3弾。農文協の雑誌『食農教育』20054年1月号に書かせていただいたものをベースにしています→3

●5.(再掲)コロナ禍の今後の状況によって開催不可になるかもしれませんが、来年3 月には乙女高原ファンクラブ20周年を記念した、大掛かりな展示会を予定しています。パネル10枚を使う大規模なものです。山梨市駅前の「街の駅やまなし」が会場です。この展示会には受付係が常駐する必要があります。ご都合がつく方には、ぜひご協力いただきたいと思います。詳しいことが決まりましたら、お知らせします。

●6.(再掲)来年4月22日、乙女高原ファンクラブは設立20周年を迎えます。「自然を守る活動」に終わりはありません。自然も社会も変わり続けているので、「これで分かった」とか「これでおしまい」ということがないのです。今回のコロナ禍のような状況でも、細々とでもいいから、とにかく「続ける」ことが一番大切だと思います。とはいえ人の生涯には限りがありますから、「続ける」ためには「世代交代」が必要です。
 そんなことから、乙女高原ファンクラブの世話人は2年ごとに改任しています(再任はもちろん可)。今年度末(来年3月の総会)は世話人改任の時期です。乙女高原ファンクラブはボランティアの会なので、世話人改任は「立候補→総会で承認」という手順を踏みます。乙女高原の自然を次世代に引き継ぐため、ぜひ立候補をよろしくお願いします。このメールに返信で結構です。

●7.(再掲)「乙女高原の写真屋さん」古屋さんの写真展が開催中です。12月27日まで。場所は写真工房「光」ギャラリー、「国道140号『牧丘トンネル南』交差点より県道206号を窪平方面へ約550m。若月歯科手前を右折してすぐ」、連絡先は0553-35-3052「ご来廊の際はご連絡をお願いします」だそうです。
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1.【観察報告】●12月20日の乙女高原●

※12月20日に乙女高原で自然観察された井上敬子さんがレポートを書いてくださいました。

 12月20日、乙女高原に行きました。12月5日の観察交流会で見ることができなかったシソ科植物の氷華が、数日来の冷え込みで、できているのではないかと思ったのです。
 途中の林道でキセキレイ、コガラ、コゲラ、ホオジロを見かけました。木々はすっかり葉を落とし、見通しがよいので、鳥の姿も見やすい時期になりました。

 途中のサワラ林の所では昨年、氷華を見ましたが、5日の日にはまだできていませんでした。今回はどうかと思って、近づくと斜面に点々と白いものが見えます。車を止めて観察しました。植物は上部が枯れても、まだ根から水を吸い上げていて、その水が冷え込みによって凍り、根元の茎から噴き出したものが氷華です。シソ科やキク科の植物にできるようです。氷が噴き出して白い飴細工のようになります。形は花のようなもの、リボンのようなもの、三角錐のようなものなどさまざまで不思議だし、おもしろいです。サワラ林の所にもいろいろな形のものがありました。
 焼山峠に到着。湿地や細い沢はすっかり凍りついていました。昨年、カメバヒキオコシの氷華を見た小楢山林道へ行こうと思ったら、ゲートの鍵が閉まっていたので、塩平方面に少し下った林道沿いにたくさんあったカメバヒキオコシを見に行きました。落ち葉に覆われていて目立ちませんでしたが、落ち葉をかき分けてみると、やはり氷華ができていました。
 焼山峠に戻り、小楢山林道を歩いてみました。斜面に氷華のできている場所がありました。小楢山への登山道に合流する地点まで行きました。昨年はここにたくさんの氷華が見られたのですが、今回は少なかったです。林道ではいろいろな植物のドライフラワーも見ることができました。ハナイカリ、ヤマホタルブクロ、ミツバベンケイソウ、ヤグルマソウ、アカバナ、ノコンギク、トモエソウ、ジャコウソウ、ミツモトソウ、イケマ、イタドリなどです。種がついているものもあって、ルーペで観察すると、それぞれに違う形でおもしろかったです。植物が子孫を増やすための種子の散布戦略はさまざまで、そのために実や種の形が違っています。それを見ていくのも楽しいです。林道からは金峰山がよく見えましたが、雪は全くついていませんでした。

 焼山峠に戻ると、鳥の鳴き声がします。見るとコガラが数羽、カラマツの中を飛び回っています。しばらく様子を見ているとアカゲラのドラミングが聞こえてきたので、探すとやはりカラマツの幹をつついていました。他にも数種の小鳥が灌木の中で飛びまわっていました。
 ゆっくり観察していたので、乙女高原に着いたのは昼になってしまいました。ロッジ前で急いで昼食。天気はよいですが、風が強く冷たかったです。案内板の裏の温度計は3℃、百葉箱の中をのぞくと-3℃。寒いはずです。

 午後は草原内を観察しました。草刈りですっかりきれいになった草原内にはあちこちに土の小山ができています。モグラの仕業でしょうか。キク科の花の綿毛の種などを観察しながら、ツツジのコースに行ってみました。陽があたらない所があるので、何かの植物に氷華がないかと思って探しましたが、見つかりませんでした。でも霜が残っていました。六角形の結晶が花のようで美しかったです。レンゲツツジの冬芽などを見ながら斜面を登って尾根へ出ました。傘をかぶったようなかわいいリョウブの冬芽が見られました。展望台手前の斜面にはウスユキソウのドライフラワーがたくさんあります。ウスユキソウには三角錐形の透明な氷華ができるので、楽しみにしていたのですが、昼過ぎになって溶けてしまったようです。が、陽当たりの悪いところに少し残っていたのを見ることができました。
 展望台では富士山がよく見えました。風が強いのか雲が湧いて流れています。ヨモギ頭に登ると木の間越しに甲斐駒ヶ岳や白峰三山なども見えました。また青空にダケカンバの白さがまぶしく見えます。その後、ブナじいさんの所に行ってみました。例年なら草刈りボランティア時に落ち葉の布団かけをしてあげるのですが、今年はできなかったので寒そうです。「元気でね」と声をかけ、水が森林道へ下りてみました。法面にはソバナやクモキリソウの、道下の斜面にはオクモミジハグマやメタカラコウのドライフラワーがありました。ここでもコガラ、ヤマガラ、コゲラ、ゴジュウカラなどの姿を見ることができました。
 林道をロッジのほうに戻っていくと、途中の林の斜面にシャベルカーが入って道を作り、木を伐り出していました。ここは夏にはいろいろな花が咲くところです。来年はどうなるのか心配です。
ロッジに戻ると陽も傾き始めてきたので、草原をあとにしました。この日も氷華をはじめ、ドライフラワーや木々の冬芽、小鳥などいろいろなものを見ることができました。冬でも楽しめた乙女高原でした。
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2.【活動回顧】③ ●たった一人のモニタリング●(1994年~1998年ころ)

■ヒカゲツツジ群落をつぶしてヤマハギを植える?!
 乙女高原で始まった『生活環境保全林整備事業』。ノスリの巣がある木まで倒されたことをきっかけに知ったこの事業の計画書を読み,ことはノスリの巣だけでは済まないと直感したぼくは,ゴールデンウィークを利用して現地を歩き回りました。
 計画書の地図を見ながら歩いてみると,もう怒りたいことだらけです。
 第一に,小さな丘への遊歩道が整備されていたのですが,そのピーク付近はヒカゲツツジというクリーム色の花を咲かせるツツジの大群生地でした。たくさんのヒカゲツツジたちが無残にも掘り起こされていました。ここに広場をつくり,まわりにヤマハギを植栽する計画です。
 百歩譲って遊歩道整備は仕方がないとしても,せっかく美しいツツジの群生地があるのに,それを生かした遊歩道にしようという発想ではなく,そのツツジを無くして園芸種を植える整備とは何事か!!と思いました。
 第二は湿地の整備です。ここには,とある希少植物が生えていたはずなのですが,石積みの水路になっていました。積まれた石の下からタゴガエルの声が悲しげに聞こえていました。姿を変えてしまった湿地で,タゴガエルは生きていけるのでしょうか。希少植物はどこかに無事でいるでしょうか。
 水路に沿って遊歩道をつくり,ユキヤナギを植え,親水公園にする予定だそうです。だけど,ここは標高1,500メートル。こんなところにわざわざ水遊びに来る人がいるなんてとても考えられません。整備されてから十年以上経ちますが,ここで水遊びをしている人の姿どころか,歩いている人の姿すら見たことはありません。計画図で「広場と駐車場」となっているところは,帰化植物がはびこるただの空き地になってしまいました。
 第三にカラマツ林の間伐方法です。植えてからほとんど世話をしていないのでしょう。まるでモヤシのような細いカラマツたちです。間伐の必要性はぼくも十分理解できます。でも,ぼくが見たところでは,林の下の方は藪になっていて,この地にもともと生えていた木々が元気に育っていました。何年もかけて徐々にカラマツの間伐を行い,下に育っている次世代の木々と上手に世代交代をさせれば,労少なくして魅力ある『自然の森』作りができると思われました。
 でも,報告書には「全般的に下層の植生の発達は乏しい」とあり,間伐はいっぺんに行われ,藪も全部切り払われていました。そして,わざわざナナカマドやレンゲツツジ,そして,ここには自生していないはずのキタコブシなどを植栽していました。
 この他にもいくつか問題点が見つかったので,簡単なレポートにして,林務事務所に計画の再検討を提言したのですが,時すでに遅しでした。日本の行政システムでは一度走り始めた事業は止められないんですね。「標高1,500メートルの場所に芝生は植えないで欲しい」「頂上広場にヤマハギを植えないで欲しい」といった幾つかを除いて,ほとんどの提言は受け入れてもらえませんでした。

■たった一人のモニタリング
 林務事務所の職員といえば,森のエキスパートです。その人が作った森の計画ですが,ぼくにはどうしても納得できません。
 そこで,事業が行われた後,そこで何が起こるのかをつぶさに観察し,記録してきました。このように(ある事業が行われた後も)継続して調査・観察を続けることをモニタリングと言います。
 モニタリングを行えば,事業による効果や影響を知ることができます。その結果から,事業を行った場所や時期,方法や手順が妥当だったかどうかを評価することもできます。次に事業を行う際には,それらを生かして,よりよい事業に改善することができます。
 ところが日本の多くの事業ではこのモニタリングが義務づけられていません。やればやりっぱなしなのです。いかにたくさんの自然が傷つけられようが,それを事業者が知ることはなく,次にまた同じような事業が行われ,悪循環が続くしくみになっているのです。
 事業者側に事業をよりよくするための,言葉を変えれば,自然を守るためのしくみがない以上,この「負の鎖」を断ち切るには,市民が行動を起こすしかありません。
 ぼくは一人でモニタリングを続けました。なに,たいしたことではありません。いつものように乙女高原の自然観察を続けただけです。自然観察を続けていれば,やがて,いろいろなことが見えてきます。
 ぼくは,モニタリングによって得られた一つ一つの事実から「こういうことが言えるのではありませんか?」ということをまとめ,事業開始から5年後の1998年に林務事務所に提出しました。

■市民の行動は後からじわじわ利いてくる
 強間伐を短期間に行ったことについては,ぼくの予想以上の悪影響が出ていました。
 第一に,笹ばかりがはびこってしまいました。もともと,間伐が行われた森は笹があまり繁っていませんでした。ですから,間伐を少しずつ行い,自然林にうまく移行させれば,森床に多くの草花が生える魅力的な森になると考えられました。ところが,急にたくさんの木を切り,しかも,藪まで払ってしまったので,草花たちも急には分布を広げることができず,その代わりに笹が勢力を伸ばしてしまったというわけです。
 第二に,雪害です。1997年は雪が多い年でした。間伐で残った多くのカラマツがあっけなくバタバタと倒れていました。間伐によって急に風通しのいい林になり,雪の影響をもろに受けたことと,もともと長い間,間伐が行われなかった森なので,木がモヤシのようにひょろひょろしていたことが原因だと思います。なお,同じようにひょろひょろした木ですが間伐のなかった林では,ほとんど倒木は見られませんでした。
 報告書を林務事務所に持って行きました。受け取ってはもらましたが,その後,なんの音沙汰もありません。後で聞いた話ですが,次の担当者はその報告書の存在すら知らなかったそうです。ぼくは無駄骨を折ったわけです。
 でも,この報告書が後からじわじわと効いてきたんです。まるで漢方薬のように。あるいは,時限爆弾のように。「やっぱり言わなきゃならないことは,その時に言っておかないとだめだなあ」と、さらに5年後に実感することになりました。(さらにつづく)
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3.【活動案内】●乙女高原自然観察交流会● 2021年01月09日(土)

・雨や雪の場合、決行するか中止するかは連絡しません。
 各自でご判断ください。
・集 合 午前9時 牧丘の道の駅集合
・持ち物 弁当,水筒等をご用意ください。
     帰りの時間は、集まったメンバーで協議して決めます。

 【乙女高原観察交流会 覚書】scince2015.12
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。

※今後の予定
⑪02月06日(土)09:00~ 牧丘の道の駅集合
⑫03月06日(土)09:00~ 牧丘の道の駅集合
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