噛む



照りの全くない水晶に、大きめの雲母が共生している。
地味な取り合わせで一見パッとしないが、実はかなり珍しく
私の採集箱を覗いても、小さな雲母が付着している物を除けば、これ一つしかない。
標本的に見ても、いかにも鉱物らしい力強さがある。

雲母の色合いはチンワルドの様に金色掛かっているが、
確かにこのポイントでは小さなトパーズが出たと聞いている。
まさに雲母を噛んだと呼べる形状だが、よく観察してみると
水晶も雲母もお互いを意識して成長したのが分かる。雲母は水晶の中に入り込んではいない。

本当は雲母の存在感がもっと大きいし、大きな雲母の向こう側には、
手前と同じ向きの水晶の錐面が、他の雲母と共に隠れている。
しかしそれを表現しようとすると、水晶が石英の様に写ってしまう。
結局一番オーソドックスな角度からの写真を選んだが、満足のいく写真になっていない。
全体を眺めると、アシカの様な形状がユーモラス。

★★★★★★山梨県黒平 産