自然界の神秘



とても不思議な形。
傾いている様ですが、これでまっすぐである事は、幾つもある頭の上線が
水平であることから確認出来ますし、ガタガタな条線からも推測出来ます。
前からは3面が見えますが、裏面は平らで一面しかありません。
だから、六面あるはずの柱面の二つは、どこにあるか分からない。
粘土を介して下と接しているところは母岩との接触点で、その左には下向きに頭があります。
だから、これは両頭の平板水晶で、ほとんどが結晶面です。

一番魅力的なのは左端の形状。これは一体どういう事でなるのでしょう?
ステゴザウルスの背中の様に見えるのがとても奇異で素敵です。
スイス産の「グインデル水晶」という、ねじれたと言う意味の平板型の煙水晶に
これに良く似た形状の柱面があるようで、それと遠い親戚関係なのでしょう。
でも、これは透明ですし、ねじれてもいません。

最初は石英の破片に見えたので、捨てようと思いましたが、
変な石はとりあえず持ち帰る事にしていて、家で仔細に眺めているうちに、気に入ってきました。
理想型の水晶には揺るぎない美しさがありますが、
それとまったくかけ離れている、こんな唯一無二の形状の石には、独特の魅力があります。
自然界の神秘を見るみたいです。

甲府市黒平産