標識




面白いと思ったのは、横になっている部分だ。
両頭の小さな水晶が、透明度の良い親水晶に「刺さっている。」
言葉どおりに、光を反射している左半分は、大きな水晶の内部にある。
つまり親水晶は、小さな両頭の水晶を取り込んで成長している。

今までも、こんな感じで小さな水晶が突き出ている石は幾つも見たが、
内部でこのように結晶が見える石はなかったと思う。
単に気が付かなかったのか、珍しいのか・・・?

さらに両頭水晶の上方にはもう2つ3つ、小さな水晶が向こう側にむかって成長しているが、
それらは内部には結晶部分は無い。だから、こちらは「生えている」となろう。
いや、ルーペでよくよく覗いて見ると、0.5ミリくらい内部までは結晶しているが、
あとは親水晶のC軸と平行に、ばっさりと途切れている。

ちなみに親水晶の、両頭の水晶が突き刺さっている周辺は、あたかもかさぶたの様に
結晶が白くなって歪んでいる。まるで取り込む時に痛みが伴ったかの様である。また、
その下の斜めに白く見える部分は、内包物ではなく、
斜めの「面」であり、親水晶の成長がその面に沿って、一度滞ったように感じられる。

見ればみるほど、鉱物の不思議を感じる石だが、
全体としては山中で見かける標識の様で、親しみを覚える。
☆☆☆☆山梨県八幡山