採集紀行・青空の下で 


去年は、木々の芽吹きの新緑には一週間くらい遅すぎたと感じた事を覚えているから、
今年はぴったりだろうと考えていたのに、今度は若干早過ぎた様だ。
しかも、生憎の曇りであるが、これは予定を合わせているので仕方がない。
山桜には遅すぎるのか、ほとんど目に入らずに不思議に思うくらいだが、紫や白、
それに裂けた形状の葉を持つスミレが咲いているのを見つける事が出来て、春を感じる事は出来る。

今日は2年前とは違ったルートを使ってポイントを目指す。しかし、選んだ沢を詰めている間は
小さな水晶を一つ拾っただけで、ペグマっ気はほぼ無いが、そんな沢は珍しくもないので、次回はスルーするだけである。
ポイントを色々と見てから堀場を決めて、道具を出して準備をしていると、
途中で別れて別ルートで登って来た友人も到着する。この感じでは、成果は無かったのだろう。
彼もほど近くにリュックを置いて採集を始める。
一番良さそうに感じたここは、きっと2年前に自分がやった堀場の延長だと思う。
それならば何となく分かっているから、成果も少しはあるだろうと考えて始めるが、
かなり長い間掘っても、数個の脈石の他は何も出ない。

昼食を食べながら、方向を右に変えてみるかと決めて、食後の休憩代わりに、いつの間にか20メートル以上は離れている
友人の様子を見に行くと、ちょうど今出たんだと、大きい水晶が差し出されて、すごく驚く。
このポイント一帯に落ちているペグマの大きさから推測すると、きっと最大級だろう。
私もその辺りの表面を見て回ると、すぐ上で6センチくらいの石を拾うが
断面積がこの10倍くらいの彼の石とは物量が全然違っていて、小石の様なサイズ感である。
それでも、他にも小さなのが数本と、しっかりとした長石が一つ拾えたので、私も場所替えをする。
最初の拾い物地点を少し掘ると、すぐに照りの良い一本が出るが、
いかんせん真下に彼がいるので落石が危なく、すぐに中断、
長石を拾った、彼とは縦位置の違う場所に移動する。

しかし長石が落ちていたという事から得られるはずの手掛かりはなく、どうやらこれは先人の置き土産らしい。
仕方なく、そのさらに横付近に落ちていた石英の上を掘って、そこでは数本の小さな水晶が出る。
出て来る石はみな、土離れが悪く泥だらけで、物によっては水晶か長石か脈石かも判らない。
しかし、実のところ今日の目標は、その様な可能性のある石なので
いつもとは逆に、土離れが悪いという事がすなおに嬉しい。
とりあえずは怪しい全ての石を袋に入れる。
検分は帰ってからで今から、洗うのがとても楽しみだ。

本数を重ねつつしばらく掘っていると、彼が様子を見に来る。
こっちは小さいけど、そっちはどう?と聞くと、
出どころはよく分からず、そ の後の成果も無いと言う。
日差しは依然少なく、かなり疲れたので下山しようとなり、
私は、ちょうど終わりとなる脈の最後の一山分の土を検分し終えてから、道具をしまう。
帰りもしばらくは、来た時とは違うルートを歩くが、
かなり早いように思える赤いシャクナゲの蕾の他には、何の発見もなく下山する。


裂けた葉を持つ、エイザンスミレ



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