採集紀行・青空の下で
前回の探査では、その更に前に拾ったアマゾナイトの出所は突き止められなかった。
しかし、家で写真を見ながら記録をつけているうちに、自分の考え違いを疑う様になった。
物事を新しい方向に解釈すると、それが山行きのエネルギーとなる。
今日はミツバツツジが見頃になっていて、前回満開だった石楠花は、はっきりと終わりを告げている。
ミツバツツジの方が早いとずっと思っているが、咲く範囲が広く花期も長いせいでそう感じるのかも知れない。
スミレ類は5月初めから、訪れる度に花数が減って行き、こちらも終わりの様だ。
今回はミソサザイが囀らずに、代わりかどうか、コマドリがよく囀る。
そして何よりも、エゾハルゼミ。
これを聴かずして、この時期の山を歩いた気分にはならない。
前回は昼間のいっときだけ、ちらりと声を聞いただけだったが、今日は朝から立派な合唱をしている。
面白いのは新緑で、1回目と2回目では随分と葉が出た印象であったものが、今回は差を感じない。
色が多少しっかりとしたかなというくらいで、意識が新緑から離れてしまったのだろう。
ポイントでの方針は決まっているから、悩む事はあまりない。
途中で一回だけ方向を変えて掘って、これが当たって、やっと晶洞があったと思われる場所が分かる。
前回1日を無駄にしたが、逆にそれが功を奏した面もあり、
美品は出なかったが、それは単なる結果だから全く気にはならない。
今日の目標はあくまでも、数週間あれこれと不要に想像しつづけた出所問題に決着を付ける事で
やっと今夜から、思い悩む事なくゆっくりと眠れる事が一番嬉しい。
午後から曇って風も強くなる予報なので、お昼を食べた後は、次を目指さずにさっさと帰る。
車の脇でノンビリとお茶を飲んでいると、目の前をいつもよりも車が多く横切る。
日が良かったのだろうか。そう思っているとキツネがゆっくりと歩いて行く。
またか!
このアマゾナイトシリーズでは毎回、キツネに会った事になる。
1回目は朝、2回目も朝だが場所は1キロ程度離れていた。
そして今日は夕方に、再び最初の場所で。ただ1回目とは逆の方向に歩いて行った。
同じ個体かはまるで分からないが、なんか同じだと思う。
キツネに惑わされ、見守られた5月であった様な気が、今はしている。
