乙女高原ファンクラブトップ > メールマガジン > 第201号(2008.3.20.)


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
   乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第201号 2008.3.20.
発行者:植原 彰 (乙女高原のある山梨市牧丘町在住)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ▲▼ も く じ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】総 会 3月16日
NEW! 2.【活動報告】座談会 3月16日
   3.【イベント案内】乙女高原案内人養成講座2008
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

  0.【ニュースニュース】
●1.3月16日に2007年度の総会が行われました。→1
2008年度の活動計画が承認されました。サイトで公開しておりますので,ぜひチェックしてください。
→ http://www.kcnet.ne.jp/~otomefc/2007schedule.html
また,2007年度の活動報告ダイジェスト版もPDFファイルで用意しています。
→ http://www.kcnet.ne.jp/~otomefc/2007digest.pdf

●2.総会に引き続いの座談会では櫛形山の保全に取り組む石原さんのお話をお聞きしました。櫛形山を見続けたからこそ気づいた問題点。気づいてから,石原さんがどう考え,何を実行したか?・・・私たちにとって,とても勉強になりました。→2

●3. 2008年5月から乙女高原案内人養成講座を行います。乙女高原を知り,守り,伝えるための様々な講義・実習がてんこ盛り。講座の受講生を募集しています。詳しくはウェブサイトをご覧ください。募集要項・申込用紙をpdfファイルで用意しています。申込み締め切りは4月末日です→3
     →  http://www.kcnet.ne.jp/~otomefc/annainin.html

●4.次回世話人会は4月16日(水)午後7時半から9時まで牧丘総合会館で行います。世話人でなくても参加できます。おいでください。
--------------------------------------------------

 1.【活動報告】
●2007年度 総会● 3月16日

 3月16日,午後1時から会場準備を始めました。多くの方が参加してくださり,あっという間に終わりました。次回は準備の時間は30分でいいなと思いました。
 午後2時から,竹居さんの総合司会で開会。現在,普通会員は204名ですから,過半数は102名。総会の出席者25名,委任状提出96名,計121名で,総会は成立しました。今回も「音信不通」の方がいました。お忘れの方,来年は出欠はガキをしっかり出してくださいね。
 議事は古屋さんの司会で,以下の議題について審議されました。
  ・2007年度活動報告(植原さんより)
  ・2007年度会計報告(坂田さんより)
  ・2007年度会計監査報告(三枝さんより)
  ・2008年度活動計画案(植原さんより)
  ・2008年度予算案(坂田さんより)
  ・その他(乙女高原メールマガジンの報告書作り,お花のパンフレットの増刷)

 それぞれ原案通り可決されましたが,いくつかご意見もありました。特に「お花のパンフレットの増刷」については「有料化すべき」との意見をきっかけに,たくさんのご意見をいただきました。「いろいろな自然公園のビジターセンターで売っている」「無料のところは見たことがない」「無料だと大事にしない」「金額を決めるのではなく,寄付をお願いします・・・という形にすれば?」・・・。有料化すべきときご意見ばかりでしたが,その場では結論は出せず,世話人会で研究・検討して決めていくことになりました。

 乙女高原メールマガジンとは,2000年11月からインターネットを使って配信している,乙女高原の自然の様子やファンクラブの活動の様子を知らせる「電子メール版情報誌」です。この2月に200号を達成しました。このマガジンはパソコンでインターネットをしている人しか読むことができないし,バックナンバーはウェブサイトで読むことができますが,整理はされていません。そこで,マガジンを整理し,写真など
の資料も入れて編集して一冊の報告書にすることを提案し,承認されました。作業量がとても多いので,完成がいつになるかはわかりませんが,楽しみにしていてください。
 なお,お花のパンフは今年度の予算で増刷しますが,メールマガジンの報告書は積み立てた基金(現在60万円)の一部を活用する予定です。
--------------------------------------------------

 2.【活動報告】
●2007年度 座談会● 3月16日
 ゲスト 石原 誠さん(櫛形山森林科学館)
 テーマ シカのウンチから植生を考える?

■やらなければ,何も言えない…ただ「困ったねえ」と言っていただけでは,何も解決にならない。調べて事実を把握しなければ,次の1歩が踏み出せない。

■続ければ,意義あるものに…1年2年と調査を続ければ,素人の調査でも,結果を比べることによって一つの結論を導き出すことは十分可能。

■年月はお金では買えない…調査してなければ過去のデータは絶対に手に入らない。

 総会に引き続いて,座談会が行われました。総合司会は内藤さん。石原さんの話を聞いた後,会場の全員で意見を分かち合いました。
 自然の中を歩いていて「困ったじゃんねえ」と思ったことはありませんか? 「困ったじゃんねえ」と思ったら,それを「何とかしたいじゃんねえ」とも思いますよね。「何とかする」ためには,他の人を説得し,協力してもらう必要が出てきます。「他の人」の中には,行政や研究者,マスコミ等も含まれます。
 他の人を説得するためには,それなりのデータが必要です。「昔はこうだったと思うんだけど」といった感覚や印象や記憶や思いではダメです。そうじゃなくて,記録。自然を守ろうと思ったら,「記録を残すこと」がことのほか大切になるのです。そんな信念で一人でコツコツと調査を続け,その結果,行政をも動かしている石原さんから,最後に聞いたのが冒頭の3つのフレーズです。今,何をしなければならないかを,心に訴えてくるコトバだと感じました。以下,石原さんのお話のダイジェストです。(  )内は植原のコメントです。

自分は素人で調査なんて嫌なんだけど,必要に迫られて調査費0,調査員自分一人で調査している。本当は,調査なんてそんな生半可なものではないが,そんなことを言っていたら,何もできないので,とりあえず,自分一人でできること,しかも,今後,公費が付いた場合に,自分の調査結果が活かせるような精度を保って活動している。

私のフィールドの櫛形山は南アルプスの前衛の山。標高2053b。アヤメ平とはだか山という2つの草原がある。ただし,乙女高原と違って,人が手入れをしていない草原。
どうして草原が森林に遷移していかないのか,アヤメ群落はいつからあるのか不思議だったので,古い資料に当たった。1965年,2002年の航空写真を見比べたが同じように草原はある。明治43年の測量に基づく国土地理院の地図には荒地記号があるが,それがアヤメを示すかは分からない。

はだか山の草原の写真を見比べてみると,95年の初夏はアヤメの花ばかりなのに,2006年は草が茂っているだけ。95年の盛夏はヤナギランなど多様な植物が見られるのに,2006年はハンゴンソウ一色。(同じ場所から同じアングルで撮った写真なので,一目瞭然。凄い説得力だった)

新聞でもアヤメが減ったことを取り上げてはいたが,どのくらい減ったかはちゃんと言ってない。そこで,2006年に,アヤメ平とはだか山のそれぞれ6ヶ所に1メートル四方の方形枠を置き,その中のアヤメの本数を数えた(地道な調査!)。その結果を25年前の巨摩高校自然科学部の調査結果と比べると(25年前の調査結果があったからこそ,比べられた!!),本数は60パーセントに,花の数は8.9パ−セントになっていた。2007年の調査では花は0になってしまった。

巨摩高校自然科学部は草原の面積も測量し,方形枠の調査結果×面積=3000万本のアヤメ →東洋一のアヤメ群落と,櫛形山のアヤメ群落の遺産価値を示すことができた →観光資源化。

アヤメやクガイソウばかりでなく,まわりの木,ウラジロモミやマユミの幹もかじられている。観光課は「アヤメがシカに食べられたので,アヤメ祭りをやめます」と,シカのせいにされてしまった。因果関係がはっきりしたとはとても言えない状況だったと思っていたのに・・・。

草原の植物を食べるのはシカのほかにカモシカもいる。アヤメを見ている人から「カモシカをよく見るよ」という話も聞く。しかし,カモシカはなわばりを持つので,一定の範囲内で増えることはないし,樹皮を食べることもない。一方,シカはなわばりを持たず,樹皮を食べるので,可能性は高い。

2003年から笹の花が咲き,3年くらいかけて全山,笹が枯れてしまった。そのころからシカ?の被害が目立つようになった。東北地方でシカの胃内容物を調べると80パーセントは笹だそうなので,笹が少なくなったことでシカが他の植物を食べてしまうようになったのかもしれないと考えていたが,南アルプス地域のシカの胃内用物は15パーセント程度という調査データを聞いたので,笹枯れは関係ないと思うようになった。今から思えば,このころから調査を始めていれば,とても有効な調査になったかもしれない。年月は買えない。

シカ?が草原に与える影響を調査しようと考えた。「高さ2メートルの網有り,開花期直前のハンゴンソウの刈り取り有り」「網有り,ハンゴンソウの刈り取り無し」「網無し,ハンゴンソウの刈り取り有り」「網無し,ハンゴンソウの刈り取り無し」という4つの1メートル四方の方形枠を2006年に設置し,2007年にその結果(アヤメの数,ハンゴンソウの数)を出した。1つの枠に多いところで300本くらいのアヤメを数えなければならなかった。「網有り・刈り取り有り」のみアヤメの増減なしで,ほかは全部アヤメは減った。おもしろかったのは「網無し・刈り取り有り」の方形枠では,かえってハンゴンソウが増えたということ。ハンゴンソウは毒があるから?

調査最中に,ハンゴンソウが折られたり,かじられたりしているのを発見。島という閉鎖空間では食べるものがなくなるとエゾジカがハンゴンソウを食べるという調査結果があるが・・・。シカの足跡やシカ道は見られなかったが。

シカの数を推測するために,落ちているシカのうんちを調べる方法がある。そのためには,シカとカモシカのうんちを見分けられる必要がある。バラけた感じで100個前後だったらシカ,かたまって200〜300だったらカモシカという目安を設定した。

アヤメ平からはだか山に向かう2.5qのルートを設定した。登山道は外した。そのルートを歩きながら5bごとに1メートル四方の枠を置いて,中のウンチをすべて数えた。枠を置く場所は1回の調査につき450個となる。それを春と秋の2回行う。1回の調査に6日かかる。ウンチが多ければシカが多く,少なければ少ないということになる。また,ウンチの分布によって,シカの分布も分かると考えた。

糞を食べる虫の存在がキーポイントになる。シカの糞をつぶしたところ,中から十数種類の糞虫が出てきた。分解の度合いが知りたかったので,毎月始めに3ヶ所に50粒ずつの新しいシカのウンチを置いておき,月末にそれがどのくらい減っているのかを調べた。その結果と自動温度記録計によって記録された気温と照らし合わせて考えると,日平均気温が5度を超えるとシカのウンチはほぼ100%消えてしまうことがわかった。

雪の影響も加味する必要がある。雪の中は表面よりかえって温度が高いので,気温と地表面の温度を比べれば,雪の量が推測できると考えた。

2年分のウンチのデータを比べてみると,「シカの数が増えている」という傾向が見て取れた。
自分が調査したことを発表したによって,南アルプス市が90万円の調査費を計上し,森林総合研究所に調査委託した。自分のは微々たる調査だったが,行政を動かす力にはなった。

※テープを聞きながら話を要約したのは植原です。したがって,文責は植原にありま
す。
--------------------------------------------------

 3.【イベント案内】
●乙女高原案内人養成講座2008●

 お待たせしました。2003年から3年間に渡って開催した後,休眠状態にあった乙女高原案内人養成講座を開講します。乙女高原を知り,守り,そして伝えるノウハウが満載の講座です。これを機会に,ぜひ,乙女高原のことを知り,ファンになり,そして,乙女のことを伝えるメッセンジャー「インタープリター」になってください。詳しくはホームページで。
    →  http://www.kcnet.ne.jp/~otomefc/annainin.html

第1回 5月25日(日)
 ■開講式
 ■実習「乙女高原の自然」
 ■講義「インタープリテーション」
 ■パネルディスカッション「乙女高原案内人になって」

第2回 6月15日(日)
 ■実習「乙女高原の地形地質」「乙女高原の動物」
 ■講義「自然の保護」「乙女高原の自然」

第3回 6月29日(日)
 ■演習 マルハナバチ調べ隊にインターン(実習生)として参加

第4回 7月13日(日)
 ■実習「乙女高原の植物T」「乙女高原の植物U」
 ■講義「乙女高原の歴史」
 ■講義と質疑応答「今後の活動について」
 ■閉講/修了式

会場 乙女高原 講義・休憩等は乙女高原グリーンロッジ(予定)
定員 30名(申し込み多数の場合は抽選。申し込みしめきりは4月30日)
講師(敬称略)
 北垣 憲仁,時田 恵,小松澤 靖,宮原 孝男,植原 彰,古屋 利雄,小林 茂,坂田英明,由井建蔵,小笠原恭子,内藤邦雄,高橋 徹,加藤信子,依田 昇ほか
--------------------------------------------------



乙女高原ファンクラブトップ > メールマガジン > 第201号(2008.3.20)         →ページトップ