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    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第319号
 2015.1.3.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【書籍紹介】高槻成紀著『唱歌「ふるさと」の生態学』
     2.【活動案内】第14回乙女高原フォーラム  2015年2月1日(日)
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0.【ニュースニュース】
●1.あけましておめでとうございます。今年も乙女高原、乙女高原ファンクラブをよろしくお願いします。
いつもの年なら「正月休みに乙女高原に行きました」という報告をしているところですが(今シーズンは雪が多いので、その分、楽しいと思うんですけどね)、年末に肩が上がらなくなってしまい(これがうわさの五十肩?)、そのままの状況なので、自宅で静かにしています。

●2.谷地坊主のことを新聞に書きました。昨年2014年12月26日付けの毎日新聞(「自然は宝箱」というシリーズ)です。谷地坊主について一般的なことを書きましたが、もちろん載っている写真は乙女高原のものです。
http://mainichi.jp/shimen/news/20141226ddm013070017000c.html
このページに載っているのですが、毎日新聞サイトへの無料会員登録が必要です。すみません。

●3.昨年11月の草刈りボランティアの集合写真が山梨市の広報の表紙になっています。ネットでも閲覧できます。
http://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/gover/magazine/yamanashi/files/koho1501_01.pdf

●4.(再掲)第14回乙女高原フォーラムが2月1日(日)午後1時〜3時半,「夢わーく山梨」で開催されます。「夢・・・」は前回までのフォーラム会場・山梨市民会館の笛吹川をはさんだ反対側です。お招きするゲストは高槻成紀さん。テーマは「乙女高原のシカ問題を調べてわかったこと」。高槻さんが学生さんたちと一緒に実際に調べて分かった乙女高原のシカ問題についてのお話をしていただきます。そして,これからどうするのがよいのだろうかを考えていきたいと思います→2
 ちらしを欲しい方,配布に協力していただける方は連絡をください。必要枚数をお送りします。(ちらしはpdfでもご覧いただけます)
http://fruits.jp/~otomefc/14thforum.pdf

●5.(再掲)第14回乙女高原フォーラム関連企画として,「ようこそ乙女高原へ」展を開催します。今年で10回目となります。会場はフォーラム会場の「夢・・・」ではなく,山梨市民会館のロビーです。1月12日(月)からフォーラムの2月1日まで。乙女高原に関連した「皆さんに披露したいもの(写真,絵,…)」がありましたら,ぜひお持ち寄りください→2

●6.(再掲)ファンクラブの総会は3月15日(日)午後2時からの予定です。今回は2年に一度の世話人改選(選んでいるわけではないのだけれど・・・)です。ファンクラブは市民活動・ボランティア活動をしている団体ですから,その運営をしよう・「縁の下の力持ち」をやってやろうというのは立候補です。ぜひ,世話人に立候補をお願いします。乙女高原を次の世代に確実に譲り渡すために2年間,お力をお貸しください。よろしくお願いします。

●7.(再掲)次回世話人会は1月22日(木)午後7時半から牧丘総合会館です。ファンクラブの会員であれば,どなたでも参加できます。ぜひどうぞ。

●8.(再掲)『乙女高原大百科』(A5判600ページ)好評発売中です。1冊2,000円。送料は360円。ですから,送料込みで,1冊なら2,360円,2冊なら4,360円となります。3冊以上の送料については要相談。郵便振込でご送金ください(別途,送金手数料がかかります)。
http://fruits.jp/~otomefc/daihyakka.html
 郵便振替口座等は以下の通りです。
・口座番号 00220-8-71093
・加入者名 乙女高原ファンクラブ

●9.毎年,草刈りボランティアで記念写真を撮ってくださっている古屋さんがお仲間と一緒に東京・渋谷のNHKギャラリーで写真展を開催します。古屋さんのテーマはもちろん(!)乙女高原。ご都合のつく方はぜひご覧ください。
期 日 1月19日(月)13:00〜25日(日)16:30  開催時間は初日・最終日を除いて10:00-18:00
場 所 NHKふれあいギャラリー3階(NHK放送センター・NHKホールと同じ敷地内)
テーマ 幻想の森 〜 マレーシアの蝶、乙女高原の森と花たち

●10.乙女高原とは直接関係ありませんが,本メールマガジンン配信者の植原が講師を務める「自然観察会で絵本を使おう」セミナーが行われます。2月7日(土)午前10時〜12時半。場所は東京の日比谷公園にある「緑と水の市民カレッジ」というセミナーハウスです。主催はNACS-J日本自然保護協会と東京都公園協会。すみませんが,参加費がかかります。NACS-J自然観察指導員なら500円、NACS-J会員なら1,000円、一般は2,000円です。先着30名です。申し込みはお早めにどうぞ。
http://goo.gl/sO3uoW
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1.【書籍紹介】●高槻成紀著『唱歌「ふるさと」の生態学』ヤマケイ新書

 乙女高原フォーラムとしては前例のない2度目のゲストとなる高槻成紀さんが新しい本を出されました。

 まず、唱歌に目をつけたところがさすがです。
 文部省唱歌とは,1910年(明治43年)の『尋常小学読本唱歌』から1944年(昭和19年)の『高等科音楽一』までの教科書に掲載された楽曲のこと。簡単にいうと、昔の小学校の音楽の教科書に載っていた、文部省お墨付きの歌です。今の音楽の教科書にもそのいくつかが載っているんですよ。たとえば,小学校1年生の「うみ(♪うみはひろいな)」「かたつむり(♪でーんでんむーしむし)」、2年「春がきた」「虫のこえ」、3年「春の小川」「ふじ山」、4年「まきばの朝」「もみじ」、5年「こいのぼり」「冬げしき」、6年「おぼろ月夜」「われは海の子」などです。いずれも日本の昔ながらの風景や季節感があふれている歌だと思いませんか? ぼくは「観察会や小学校での環境教育はこれらの歌をきっかけにできるよ」と提案しています。たとえば、初秋・夕方の観察会で「♪あれマツムシが…」で始まる「虫のこえ」には5種類の鳴く虫が登場するけど、そのうち聞いたことあるのは?…といった感じです。

 高槻さんが本を出されたことで,あらためて「ふるさと」(高槻さんは本のタイトルだけひらがなの「ふるさと」で、本文は「故郷」と表記していますが、小学校学習指導要領には「ふるさと」とあるし、高槻さんご本人も書いておられますが,「故郷」だとどうしても「こきょう」と読んでしまうので,ここではひらがな表記にします)の歌詞をよく読んでみて、驚きました。長い年月、多くの人といっしょに、自然とじかに関わりながら、その中で「関係性(いろいろな意味があります。気候と植物との関係、植物と動物の関係、動物と動物の関係、それら自然と人間(社会)との関係、そして、その関係性の時系列的な変化)」を探ってこられた高槻さんのような方にとって、「ふるさと」は、まさに当時の自然・当時の生態系が閉じ込められたタイム・カプセルです。このタイム・カプセルを掘り出して紐解き、現状と比べることによって、高槻さんには保全生態学上の課題が見えてきます。高槻さんはそれを目次で表現されています。6章が異質なものに見えるかもしれませんが,これについては後述します。
  1章 「故郷」を読み解く
  2章 ウサギ追いし−  里山の変化
  3章 小ブナ釣りし−  水 の変化
  4章 山は青き−    森林の変化
  5章 いかにいます父母−社会の変化
  6章 東日本大震災と故郷
  7章 「故郷」という歌
  8章 「故郷」から考える現代日本社会

 ところで、皆さんはウサギを追いかけたことがありますか? ぼくはノウサギを見かけたことがある程度で、「(子どもが)追いかける」対象の動物だとはとても思えません。ところが、高槻さんは「ウサギはどこにでもいた」といいます。ウサギの棲息地は茅場です。茅場つまり乙女高原みたいなところが減少したことが、ウサギの減った原因だと述べています。そして、茅場の減った背景には日本の人々の生活様式の変化に伴う里山の変化があったといいます。「ウサギ追いし」からどんどん話が発展し,他のことにつながっていく様は,まるでミステリーのよう。「ウサギ追いし」から今のウサギの減少までを説明するのに、ウサギの生態・生息場所の説明、茅場の説明、茅場のある里山の説明、里山の現状の説明など,説明しなければならないことがいっぱいあるのですが、これら全てを説明するのに高槻さんくらい適役の人をぼくは知りません。

 さて、目次を読んで違和感のあった「東日本大震災と故郷」です。いくらご自分の調査フィールドだったところが被災したからといって、感情的に「ふるさと」と東日本大震災を関連づけるのは無理があるだろうと、読む前は思いました。でも、以下の文章を読んで「うーむ」とうなってしまいました。言われてみれば、その通りです。
「原発事故後の福島の里山で起きたことは、原発事故というきわめて特異なできごとによる特殊なことであるには違いない。しかし、里山に人がいなくなると何が起きるのかという意味では、現在過疎化が進んでいる日本中の里山に共通の課題を先取りしたことでもあり、その意味では普遍性をもつできごとでもあった。」
 東日本大震災と「ふるさと」の関係性までも探り当ててしまったのは、やはり東北で四半世紀を過ごした生態学者である高槻さんだからこそだと思います。

 以上,述べてきましたように、この歌は高槻さんに出会うために生まれた歌なんじゃないかと思えるほどです。これから高槻さんに会うたびに、高槻さんが「ふるさと」(の化身)に見えてしまいそうで、コワイです(笑)。
 最後に、この歌がタイム・カプセルとして高槻さんに紐解かれて本当によかったと思いました。大げさに聞こえるかもしれませんが,この本には、「ふるさと」から導き出された、ぼくらのこれから進むべき道も記されています。高槻さんだから、タイム・カプセルだったから、掘り起こすことができましたが、もう少し後だったら,「ふるさと」は化石になっていたかもしれません。いや、もしかしたら、もうすでに…。

高槻成紀『唱歌「ふるさと」の生態学〜ウサギはなぜいなくなったのか?』ヤマケイ新書,2014,山と渓谷社, \800+税
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2.(再掲)【活動案内】●第14回乙女高原フォーラム●

日 時 2015年2月1日(日) 午後1時〜3時30分
場 所 夢わーく山梨 3階 大集会室
主 催 山梨市,山梨県,乙女高原ファンクラブ
定 員 ありません。どなたでも参加できます。事前申込み不要。
参加費 無 料

●テーマ 乙女高原のシカ問題を調べてわかったこと
 乙女高原ではかつての「花咲き乱れる」という草原がススキ群落になってきました。これはどうもシカのせいらしいといわれていますが、よくはわかりません。シカがいるのは確かですが、群落をそんなに変化させるほどの影響があるのかどうか・・・。そこで乙女高原ファンクラブが作った柵の調査や、草原の刈り取り調査などをすることで、このことを検証しています。柵の中ではたくさんの花が咲くようになり、蜜を求めて昆虫も訪問するようになりました。こうした調査でどういうことがわかったかを報告して、これからどうするのがよいのだろうかを考えるきっかけにしたいと思います。

●ゲスト 高槻 成紀さん
 麻布大学獣医学部教授。シカと植物の関係を研究し、2012年からは学生とともに乙女高原でも調査をしている。著書に「シカの生態誌」(東京大学出版会)、「野生動物と共存できるか」「野生動物を守りたい君へ」(いずれも岩波ジュニア新書)などがある。

※「ようこそ乙女高原へ」展]
 2015年1月12日〜2月1日 山梨市民会館ロビー
 1月12日10時半から展示作業を行います(作業後,ファンクラブの予算でお昼ご飯を提供します)
 乙女高原に関わる展示物(写真,絵など)がありましたら,ぜひ展示しませんか?

※ちらしができました。欲しい方,配布に強力してくださる方,ご連絡ください。
なお,pdfでフォーラムのちらしを見ることができます。
http://fruits.jp/~otomefc/14thforum.pdf
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