カワイイあの子を
「あれ? きょーこサン?」
「あら、加賀くん。来てたの?」
「ん、書類取りに。きょーこサンは何、休日出勤?」
「ええ、ちょっとね」
「どれどれ。何見てんの」
「うちの、新しい子。ほら」
「…あそこにいるヤツ?」
「そう。可愛いでしょ」
「……そーか?」
「ああ見えて結構、デキる子なのよ」
「へー。……詳しいのな」
「ええ、一晩、好きにさせてもらったから」
「……はい?」
「見た目もなかなかだし、触った感じ、反応も悪くないんだけど……もうちょっと、強引に来てもいいっていうか……
多少扱いづらくてもいいから、もっとこっちをがんがん揺さぶってくれるくらいの方が気持ちいいのに、ってのが正直な感想ね」
「え? え? 何が?」
「だから、あの子の」
「は? うそ、マジでアイツの話?」
「そう言ってるじゃない」
「え、じゃああんた、アイツと?」
「? なんでそんな面白い顔してるのよ」
「なんでって……」
「あ、もしかして加賀くん、羨ましいの?」
「ばっ!」
「それならそうと言ってくれればいいのに。あ、吉田チーフ、ちょっと!」
「ん?」
「加賀くんも興味あるらしいんだけど、撮影が終わったらあの新型、借りていい?」
「……んん?」
「そう、ありがとう。ね、加賀くん、OKですって!」
「……『うちの新しい子』って……そこで雑誌の撮影してる、あの新しいクーペのコトかよ……」
「あら? どうかしたの? なんで座り込んじゃったの? 具合でも悪いの、ねえ、加賀くんたら!」
[2013年10月]