出動!葵探偵局


「局長ひとり、局員ひとり、葵今日子探偵事務所……なんか人員構成からして怪しいな」
「こんな怪しいとこにイキナリ取材に来てるお前も充分怪しいぞ、新条サンとやら」
「うわ見た目が全力で怪しいヤクザな局員に絡まれるとこからスタートとかこの取材絶対手間取りそうな厭な予感」
「端っから失礼な野郎だなー」
「わー! ちょっと何するんですかやめて離して加賀さーん聞こえますか助けてーええええええええええ!」
「……って、今、外から長く尾を引いて聞こえて来た悲鳴は」
「あなたのお弟子さんの風見くんっていう少年助手の声じゃないですか」
「ねえねえ加賀くん窓の外見て、風見君が拉致されかけてるわよ」
「あ、はじめまして所長さん、どうもお邪魔しております」
「ご苦労様新人記者さん。ほら、貴方も見て、風見くんが押し込まれた車がどんどん遠ざかって行くわ」
「だー! 依頼すら来てねぇのに何の脈絡もなく探偵助手が誘拐されてんじゃねぇ!  今日子さんもブンヤさんもさりげなく初対面挨拶交わしながら暢気に見守ってんじゃねーよアホか!」
「絵に描いたような説明的長台詞ですね」
「意外と苦労性なのよ加賀くんて」
「それより解決に向けて何か動いてくれませんか。あなた、局長さんでしょう?」
「私は単なる経営者。実働部隊は加賀くんよ」
「ってやっぱ俺の仕事?」
「頑張ってきてください加賀さん」
「言ってねーでお前も来い!」
「あれ? おれってばなんか巻き込まれてる展開?」

「と、関わりのないブンヤさんまで、引っ張ってきてはみたものの」
「何の手掛かりもない訳で」
「……どうしよ?」
「おれに訊かないで下さい」
「うーん」
「大体、本気で探すつもりがあるんですか」
「一応ある」
「一応かよ! ……風見くんに個人的執着心があるのかって疑われるくらいの熱意で探してくれないと、取材する側としては面白くないんですが」
「ソレダ!」
「え?」
「ブンヤさんお前天才! 執着してる奴に探させりゃいい! えーとぴのぽのぱっと、あ、もしもーし、坊っちゃんいるー?」
「なんだってぇハヤトがいなくなった? 冗談じゃない、僕の目の届かない場所へ逃れようったってそうは行かないぞ!」
「うわ、なんか唐突にきらきらした人! 誰ですかあれどう見ても日本人じゃないんですけど」
「待っていろハヤト、草の根分けても捜し出してやる! 来い、ランドル家私設部隊!」
「おー、出た出た人海戦術」
「CGみたいな光景ですね」
「風見ハヤトを発見しました!」
「早っ」
「で、どこだって?」
「ガラパゴス諸島です」
「えーガラパゴスぅ? 海外じゃーん! ……俺パスポートないから行けないわー帰って寝るー」
「あんたそれでも探偵ですか! っていうか探してんのはあんたのお弟子さんでしょう!」
「あらパスポートくらいどうってことないじゃない。ちょっと待ってね。えーっと、もしもし? 葵今日子ですけど」
「……局長さん?」
「はい、取ったわよ許可」
「は?」
「だから、パスポートなくてもOKって許可。ほら、さっさと準備をしてちょうだい」
「手続き早っ! つーか、電話一本で済むもんですか!?」
「ドコに電話してダレに頼んだんだアレ……?」
「局長さん……底知れない方ですね……」
「何をぐずぐずしている! いいからさっさと僕のヘリに乗れ!」
「ジェットじゃなくてヘリなのかよ」
「っていうかヘリで行けるのか? 本当に?」
「でもあっという間にガラパゴスね〜」
「なんだかんだ言ってついてきてんだ今日子さん……」
「ああっ! 見てください、あれ、あんなところに人が!」
「まあ、風見君だわ」
「おーホントだ」
「加賀さぁーん……」
「アホー! 探偵助手のクセにあっさり攫われてんじゃねーよ!」
「すみませぇーん……」
「てことは、隣にいるのが黒幕?」
「あ……あの人は……!」
「え? 局長さんはご存知なんですか?」
「兄さん!」
「今日子!」
「えええええ」
「中の人ネタ(cv:池田秀一)かよ」
「駄目よ兄さん、過去のわだかまりに縛られて、次の世代にまで手を出してしまったなんて!」
「つーか過去のわだかまりで犯罪すんなよ。発想が古いぞ」
「そうかい? 金田一的には充分スタンダードな発想だと思うがね」
「でもコレ金田一じゃないですよね」
「よく言ったぞブンヤさん」
「ふっ、正論……か。最早、私の言い分は世間に受け容れられないものらしいな」
「兄さん……貴方はもう、とっくに道を誤ってしまっていたのよ……お願い、諦めて自首して!」
「今日子……。仕方ないな、お前が、そういうなら……」

「わーん、加賀さーん! 怖かったですー!」
「あー分かった分かった、分かったから俺の服で鼻水を拭くな。あと坊っちゃんにちゃんと礼を言え」
「わーん!」
「あれ? 局長さんは、あの人と抱き合っとかなくていいんですか?」
「え? なんで?」
「だってお兄さんなんじゃ」
「嘘よ」
「ええええええええええ」
「なんでそんなウソ!?」
「何かやらないと面白くないかと思って」
「うん、まあ、せっかくついて来たんですしね……」
「向こうも適当に合わせてくれてたし、割とノリのいい人なんじゃない? 顔もいいし、キープしておいたらそれなりに使えるかも」
「つ、使えるって何に? ねぇ何に!?」
「……結局今回のいちばんの謎は、」
「今日子さんって何モンなんだ?ってコトだったな……」


  [CAST]
   巻き込まれ新聞記者――新条直輝
   局長――葵今日子
   雇われ探偵――加賀城太郎
   探偵助手(少年探偵)――風見ハヤト
   財閥次期当主――カール・フォン・リヒター・ランドル
   謎の怪人――名雲京志郎


[2012年5月]