For you.【の、コメント】
『サイバーフォーミュラ イラストレーションズ』の中に、加賀くんのサングラスに今日子さんが映っている、という絵があります。あれがなんか妙に好きで。
ふたり揃ってサングラス掛けてる絵とかないかな、お揃いって可愛くないか、あ、でも今日子さんがそーいう可愛らしいコトするかっつーとしなさそうだよな、
加賀はこっそりお揃いとかにして陰でくっくと笑っているのかも知れない、プレゼントかなんかで自分が持ってるのとおんなじ型のを贈ってさ、
なんも知らずにソレ掛けてる今日子さん見てニヤニヤしてんの、でも贈り物する時点で不審がられるかも知れんなぁニヤニヤ!
などという妄想の流れで、さりげなくクリスマスプレゼントを贈る加賀、という話になったのでした。サングラスじゃなくなっちゃったけど。
> だからそのレザーブレスも、決して非難するような対象ではなかった。けれど。
品物をアクセサリーにするのは割とあっさり決まったのですが、男女共用できるような、サイズも価格も手頃な装身具……ってのが思い付かず暫く悶々としました。
結局、FANATIC◇CRISISの『Moonlight』という曲の中に「擦り切れたレザーブレス」というフレーズがあるのを聴いてこういうことに。
> 一度帰ってシャワーを浴びて、などという暇は端から望めなかったから、着替えも化粧も執務室の片隅で済ませている。
> 本当なら髪もアップにするつもりだったが、時間的に無理だと判断してやめた。代わりに緩く編んで片側に垂らし、柔らかい金色のリボンで結んで飾った。
咄嗟のアレンジにしてはいい出来だと思っていたのだが、華やいだ広間に出て来てみると、いささか砕け過ぎたスタイルのように思えて気が引ける。
三つ編みの一本にリボンを交ぜて編む、っていうスタイル好きなんです。
自分はやりませんが(短いので!)。
>「グラスをお下げしましょうか、オーナー?」
> 途端、冴えた銀色を閃かせて、誰かの手がするりと空のグラスを抜き取った。
>見覚えのあるレザーブレスに、聞き覚えのあるその声。驚いて振り向くと、ちょうど視線がぶつかった。
>「…………っ」
> 心臓が跳ねた。別になんの悪事も働いていないのに、妙な後ろめたさで息が詰まる。
どの位置に立ってどっちの手をどう伸ばせばこの構図が作れるか、あーでもないこーでもないと考えながら書きました。笑。
加賀と今日子さんってあんまり身長差がないんですよねぇ。
> さらりと今日子の手を交わし、加賀は片手を上げてみせた。
>「まあ一応、クリスマスってことで」
> 手首に絡まる銀色が、照明を受けてきらきら輝く。間近で見ると尚更、似つかわしくないほど上品な、随分と高価そうなものに思えた。
>「新品など用意してみたワケなんですけど。ダメ?」
生まれて初めて読んだ宮部みゆきが『レベル7』でしてね、確かその中に、「だって今日は、クリスマスだから」っていうフレーズがあったんですよ。印象的な使われ方で。
(※間違ってたらすみません)
「まあ一応、クリスマスってことで」はそのリズムその響きを踏襲しています。密かに。
> 言いながら、手放したばかりのブレスレットを小さく弾く。涼しく澄んだ音で答える、完璧な高貴。或いは優美。
ここは実は塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優美なる冷酷』を拝借。(借り切れてない)
> 溜め息が漏れた。否定出来ない、満足の吐息。呆れながらも、許してしまう以外に仕方ないのだ。だって今日は、クリスマスだから。
>「……『まあ一応、クリスマスってことで』ね」
ほらっ、ここにも宮部リズム!(笑)
> もうちょっとスマートに出来ないものかしら、と脳裏を掠めた皮肉は一瞬で消える。
> 彼らしい陽気さの裏に隠れた、彼らしくもない純情な策略を、今日子は素直に愛おしいと思った。
フツーに贈り物にするのは恥ずかしいのでこんな手の込んだ押し付け方をするのだ、と、この今日子さんは理解している。
という一文でした。
[2014年8月]