とか(―― Gazing at you.)


 愛されたい とか、思っているわけではない。
 そこまで身の程知らずではない。
 支えてあげたい とか、考えているわけでもない。
 そんな大きな存在にはなれないのはもう、どうしようもないほど判っている。

 ただ遠く憧れる、その鮮やかな速度。
 先へ先へと走り抜ける何か。
 目映く貫くもの。遠く。

 自分のためだけに走り、自分のためだけに戦う。
 きっとそんなことなんだ とか。
 思ったりもして。

 だから嬉しかった。ここにいることを許してくれた、それだけで。
 足手まといだとか、重荷だとか。邪魔だとか、言われなかったから。
 それだけで。

 何も出来ないけど、何も出来ないから、
 だからわたしは、見ているから。

 走り方とか。戦い方とか。生き方をいつも、見ているから。
 覚えておくから。
 残していくから。

 その眼差しとか。背中とか。声、とか。
 あなたの、たましいのいろ とか。

 そう、あなたのことを、
 いつも。


[2012年9月]