2014読書記録
昨年に引き続き。
本棚作成の野望には全く近付いていない現実。

※漫画と、漫画・アニメ作品の小説版(スピンオフ含む)は除く
※読んだ時系列順です
※「☆」は再読もしくは再々読とか再々々読とか、とにかく非初読の印です



1 森見登美彦『太陽の塔』
 日本ファンタジーノベル大賞受賞の、モリミーのデビュー作。「これぞ後のモリミーである」みたいな要素が見え隠れするのは楽しめたけど、全体的には凡庸な印象かなー。


2 エミリ・ブロンテ『嵐が丘』
 冬休みの課題図書(個人的策定)として。いえーいWuthering Heightsいえーい。読むだけで体力を消耗しました。登場人物みんなオカシイよ…まともな人がひとりもいないよ…!


3 道尾秀介『龍神の雨』
 友人が貸してくれました。初道尾。巧みで、質のいい小説、但し全く救いは無い。笑。わくわくに引っ張られてでなく、不安に追い立てられて先へ先へと読み急いでしまうタイプですね。


4 山本周五郎『樅ノ木は残った』
 歴史モノ、それも名高いモノをと思って読みました。淡々と落ち着いて誇り高い物語。宇乃ちゃんとの関係性がそこはかとなく官能的なのが印象的。


5 円城塔『道化師の蝶』
 やだもうこの人天才。発想がおかしい(=褒め言葉)。煙に巻かれているのやらこっちが煙と化しているのやら、地に足がつかなくなるカンジが癖になります!


6 吉田修一『悪人』
 友人が貸してくれました。非常に力のある小説で、面白かった。後味にはじんわりと哀しいものがありますが、九州北部に暮らしたことのある人間には、本題とは別の懐かしさが感じられてよいです(笑)


7 はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ9(前夜祭内人side)』
 前後編の前編に当たるので読後感が半端だった記憶が。まあ創也が安定の創也でした。笑。相変わらずヒロインの魅力を実感できずにいます。


8 ジョナサン・スウィフト『ガリヴァー旅行記』
 分厚かった……長くかかった……。確かにコレはお子さまには到底読ませられませんな。風刺的な思想発想はともかく、下ネタ(汚い方)がキツくてちょっとしんどかったです。


9都会のトム&ソーヤ10(前夜祭創也side)
 後編。個人的にはあまり盛り上がらなかった。創也ごめん。


10 法月綸太郎『生首に聞いてみろ』
 のりりんらしい、衒学趣味に溢れた一冊。ヒロインが魅力的だっただけに読後感の悪さが残念。映像化が可能なら、映画かなんかにした方が判り易くしかもカタルシスが増すかも。


11 L・M・ビジョルド『戦士志願』
「身体はひ弱、頭は上等、度胸は極上のヒネクレお坊っちゃん主人公が、戦乱の宇宙を舌先三寸で見事に世渡りして行く話」。豪華絢爛なSFエンタテイメント、主人公の個性的な魅力に惚れ惚れです。


12 東野圭吾『探偵ガリレオ』
 全体通して、なるほど売れるわー。と。大がかりすぎない、けれど意外性のあるトリックと、湯川助教授の印象的なキャラクタ。草薙くんのフツーっぽさがいい緩衝剤になってて好きでした。


13 小野不由美『ゴーストハント1 旧校舎怪談』☆
 何度読んでも「巧いわー」の一言に尽きます。 特にナルの正体(?)に関しては、分かってて読むとなるほどねェという要素が多くて、小野主上の脳髄の奇特さに唸らざるを得ません。


14 円城塔『Self-Reference ENGINE』
 フィリップ・K・ディック賞特別賞。変態だ! この人、すっげぇ変態だ! (※最大限の賛辞です)ってなる。いくら読んでもワケわかんなくて、ふりまわされて煙に巻かれて咳込んで、嗚呼、もっと翻弄されていたい!


15 荻原規子『風神秘抄』
 相変わらず描写と人物造形が巧みで唸る。充分すぎるくらいファンタジーなんですけどね、結局のところボーイ・ミーツ・ガールでしかない印象。取り敢えずトリヒコかわいいー。四角関係もアホくさくてかわいい。笑。


16 辺見庸『もの食うひとびと』
 インパクトと力があり、理想と迷いが同居して、それでいて地に足が着いている。のに、間違いなく放浪記。コミカルとシリアスのごたまぜ感が素直と言うかリアルと言うか、で、ちょっといいなと思いました。


17 三秋縋『スターティング・オーヴァー』
 生徒が貸してくれたので。読後感は上遠野浩平のブギーポップシリーズのそれに近いかな。「クリスマスの奇跡」がやや陳腐ですが、でもそのおかげでオチが大層映画的になっていると思います。『Love, actually』みたく。


18 秋目人『黒百合の園 わたしたちの秘密』
 生徒が貸してくれたので。味が恩田陸に近かった。山本文緒や桐野夏生も思い出した。つまり女怖ぇ。深夜アニメで受けそうですが、しかしそうするとある種の叙述トリックで成り立っている本筋に支障を来たしかねないのが惜しい。


19 池井戸潤『下町ロケット』
 「That's the entertainment!」。如何にも新聞連載とか連続ドラマとかにしたら映えそうな、一難去ってまた一難、最後の最後は大団円、な感じ。個人的にはもっとハードさが欲しかった……。


20 エラリィ・クイーン『チャイナ橙の謎』
 なるほどこういう話だったのかー。時代背景と欧米的文脈がないと純粋推理としては楽しめないかも。エルはやっぱこれっくらい軽いっつーか、遊んでる方が好きだな。


21 ハヤカワSFマガジン創刊50周年記念アンソロジ『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』
 “宇宙開発モノ”のアンソロジー。いやーSFって本当にいいもんですね! 好きだ! 『月その六』と『献身』、それと表題作がよかったです。


22 海堂尊『チーム・バチスタの栄光』
 思ってたよりずっと軽やかで、読みやすくて面白かった。“ミステリ”って言われたら「んー?」って気もするが、勢いと軽さがあってとても魅力的な本でした。後味はよくなかったけど。


23 西尾維新『零崎曲識の人間人間』
 生徒が貸してくれたので。中二的というか(笑)、新鮮な気持ちになれました。しかし死に過ぎるし殺し過ぎる。エンタメだと解ってはいるけれど、好きじゃないなその傾向。独特のセンスは健在。


24 川上弘美『センセイの鞄』
 初めての川上弘美。 あー、“小説”を読んだなー!ってカンジ。終盤の展開と予想されたオチがあんまり自分の好みに合わなかったです。つかず離れず、やっぱりつかず、で終わってもよかったのになぁ。


25 坂木司『和菓子のアン』
 久しぶりの坂木司。今まで読んだ坂木作品の中でこれがいちばん好きだわ。若干キャラ立ちがラノベラノベしている感はあるものの、総じて皆さん魅力的だし、ほこほこした満足感の残る、後味のいいお話でした。


26・27 ダニエル・キイス『24人のビリー・ミリガン』(上下巻)
 これは衝撃的な本ですね……まさに「事実は小説よりも奇なり」というか。 不謹慎なのかも知れませんが、面白かったです。ものすごく。すっきり大団円!にはならないところがノンフィクションですわな。


28 北村薫『空飛ぶ馬』
 “日常の謎”の名手・北村薫のデビュー作にして、<円紫さんと私>シリーズの第1作。なんたる巧手。ほのぼのと穏やかに見えて読者に対する要求水準が高。あと、ちっともほのぼのじゃない話がちょいちょいぶっこまれてる辺りがホント油断ならない(笑)


29 エラリィ・クイーン『ローマ帽子の謎』
 名高き“国名シリーズ”第1作。うーむ古典の薫り。エルがまだ若くて小生意気で、捜査網に対する影響力もそんなに無い辺りがちょっと微笑ましかったです。


30〜36 アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(1〜7)』
 やっと読んだぜ「大人向け」! なるほどデュマ先生はエンターテイナー。売れっ子になるわけですわ。登場人物の数が多くしかも関係性が入り乱れてるので、その把握が大変でした。


37 ハヤカワSFマガジン創刊50周年記念アンソロジ『ここがウィネトカなら、君はジュディ』
 “時間モノ”のアンソロジーです。表題作、ほんのり後味がよくて気に入りました。何よりもタイトルが秀逸! 他には『いまひとたびの』の、シンプルだけど希望に満ちた解釈が好き。


38 伊藤計劃『ハーモニー
 遺作にして、日本人初のフィリップ・K・ディック記念賞特別賞獲得作。「ユートピア=ディストピア」の定番の構図ながら実に見事な世界観。価値判断の基準を根元からがんがん揺さぶられる感じが堪らんのです。


39〜43 司馬遼太郎『国盗り物語(1〜4)』
 前半は斉藤道三、後半は織田信長(に振り回される明智光秀)を主に描いたお話です。高校時代、クラスメイトに薦められてから早や15年……か……?(年齢がバレる) やっと読めた感慨。主人公たちがちゃんと魅力的でよかった。


44 三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』
 映画化もされており続編も映画になり、直木賞も獲り、人気も評価も高いシリーズ第1作。……個人的には別にどうってこと、なく。『風が強く吹いている』の方が断然面白かったなー。


45 江戸川乱歩『黒蜥蜴』
 お約束展開てんこもり! なので、そこらへんの面白さは無いですねぇ。しかしこの「萌えるし燃える」設定が三島由紀夫を駆り立てたのだとしたら、それは乱歩の「功績」だよなと思いました。


46 黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』☆
 初読は小学校3、4年くらいの頃なので、かなり新鮮な気分で読みました。素直に面白いですわー。子どもならではの斜め上を行くエピソードがいっぱいで、飽きない。勿論ただ面白いだけじゃなく、「教育の在り方」という意味でも興味深い読み方の出来る本だと思います。


47 エラリィ・クイーン『ギリシャ棺の謎』
 これも“国名シリーズ”ですね。最も古い事件なので、エルが失敗だらけで初々しい(笑) やっぱり、英国文化に通じていないと、推理を楽しむのは難しいかなって気がします。


48 マーギー・プロイス『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』
 ニューベリー賞受賞作ってことで話題になってたのと、授業の予習代わりに。予想以上に読みやすく、期待以上に面白かった。作者さんがアメリカの方なのがとても嬉しいな。


49 上橋菜穂子『精霊の守り人』
 国際アンデルセン賞を獲って、話題になっていたのでこれを好機と読んでみました。孤高の女剣士たち、各キャラクタも魅力的ですが、物語そのものに比較文化学的な匂いがするところがすごくいい。文化的多元性を感じるというかね。


50 リチャード・バック『かもめのジョナサン』
 五木寛之“創訳”の、完全版をチョイス。意外と面白く読めてしまったことに吃驚。解釈は色々でしょうが、神格化と信仰、盲信、「宗派」の分裂……ってなコト考えながら読んでしまった自分は本来史学畑の人間です。


51 岡田淳『雨やどりはすべり台の下で』☆
 中学校の国語の教科書にあった「スカイハイツ・オーケストラ」を含む連絡短編集。“やさしさ”ということについて色んなことを思わされます。少しものがなしくて、結末はじんわり。よい児童文学。


52 森絵都『カラフル』
 結末まで読んで、何故このタイトルなのかがすとん!と腑に落ちて満足でした。ひろかちゃん理論は衝撃的だし、一種の叙述ミステリとしてのオチも気が利いてます。


53 アイザック・アシモフ『黒後家蜘蛛の会4』
 アシモフ一流の“日常の謎”連作短編集第4弾。ともすればマンネリになるところ、攻撃的なくらい捻りをぶっこんで来てくれて、さっすがアシモフ!と思うのでした。ヘンリーまじヘンリー。


54 小関智弘『ものづくりに生きる』
 一応、実業系高校に関わる身なので。“職人さん”への憧れに火を点けられるような本でした。経験と実感のこもった名言にたくさん出会える辺りも素敵。


55 有栖川有栖『海のある奈良に死す』
 作家アリス。トラベルミステリっぽい雰囲気。ちょっと後味がよろしくない、かな……アリスにはよくあることだけれど……。犯人の“失言”を見抜けなかった自分の迂闊さが悔しいです。


56 ミヒャエル・エンデ『ジム・ボタンの機関車大旅行』
 実はこのシリーズ読むの初めてです。まだ幾分ぎこちない感じもありますが、如何にもエンデ的な思想やモチーフが垣間見られて楽しい。お姫さん魅力的だなぁ! 好き!


57 陳舜臣『小説十八史略(1)』☆
 読み直し。第1巻は比較的読みやすいので大分頭に入って来ましたが、やっぱり陳舜臣の文章ってちょっと合わない。それにしても中華の悪女は規模が大きくていいですねぇ。


58 マララ・ユスフザイ&クリスティーナ・ラム『わたしはマララ』
 浅学菲才の身なりに少しは勉強しようじゃないかと。興味深く読みました。人名地名等馴染みのないところも多く、一読しただけで理解出来た気がしない。地図を手元に用意してじっくり読み直したいです。


59 陳舜臣『小説十八史略(2)』☆
 第2巻。時代が下ってくると読みにくい……。春秋戦国から漢の最盛期くらいまでの範囲なのですが、やはり始皇帝と、劉邦・項羽の存在感は別格ですねぇ。


60 アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記T 影とのたたかい』☆
 お話自体は比較的シンプルですが、端正で巧妙な世界観に魅せられます。肌の色や言語の違い、宗教の解釈の差異、魔法の効き方まで地域によって異なっていたりっていう、厳密で現実的(?)な描写が好き。


61 アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記U 壊れた腕環』☆
 少年ゲドから青年ゲドへ。土臭く埃っぽく、湿って薄暗い匂いのする、“異文化”の作り込み方が素晴らしいです。特に前半、ゲドが出てくるまでのとこが怖くてなぁ……。大好き。


62 原田マハ『カフーを待ちわびて』
 軽めで読みやすく、わりかし面白かった。ヒロインは好みじゃなかったけど、おばぁが魅力的なのが、全編通して良かったな。 沖縄文化を(雰囲気づくりの為だけじゃなく)きちんと取り込んで書こうとしている姿勢に好感。


63 小川糸『つるかめ助産院』
 ふわっとした優しい文体の、おんなのひとらしい雰囲気の物語。色んな人が色んな事情や色んな傷を抱えているのですけど、それらがすべて解明されたり解決されたりするかっていうとそうでもなくて、なんとなく有耶無耶なままでも人生は続く、って感じが、安っぽくなくてよかったです。


64 アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記V さいはての島へ』☆
 青年ゲドから壮年ゲドへ。伸び盛りのアレンと、出し尽くしていくゲド、の、鮮やかな対比がこの歳になると尚更沁みます。大賢人になったゲドの言葉ひとつひとつに重みがあって、そこを味わうのは気持ちいい。


65 アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記W 帰還』☆
 そして、最早無力であるゲド。こんなにも難解な思想を孕んでいたのかと驚く。どんな生き方をしたって人生は悩ましいものだけれど、テナーの生き方とその悩みを、羨ましいなと思ってしまうのが自分の現状です。


66 アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記X アースシーの風』
 これのみ初読、長い長い物語の完結。壮大な話だと思っていたが、ここにきて更に広がっちゃうとか倒れ伏すしかない。こうなると外伝もきちんと買って読みたいなぁ。



昨年よりだいぶ冊数は減りましたが、今年も本の世界は果てしなく豊かでした……(恍惚)
自分的ベストは円城塔『Self-Reference ENGINE』と伊藤計劃『ハーモニー』同率1位で。
オススメとか語り合いのお誘いとか(笑)ございましたら是ー非ー。


[2014年12月]