血は争えないけれど


「母ちゃん、オレも進路決めたんだけど」
「え? 叶の三者面談ってまだだいぶ先じゃなかった?」
「うん。でも、高校の資料もらってきたから。はいコレ」
「……航空高校?」
「そ。滑空なら16歳からライセンス取れるし、事業用ライセンスも18歳からだから。なるべく早く取りてーんだ」
「……取って、どうするつもりなの?」
「いずれアクロバット飛行チーム入って、経験値上げたらエアレース出て、んでもってトップ取りまくる」
「…………」
「あ、やっぱ呆れた?」
「……呆れた。中学生が描く将来設計にしては、ちょっと過激すぎやしない?」
「これでもだいぶ我慢してたんだって。せめて兄ちゃんの進学先がはっきり決まるまでは、ってさ」
「まだ決まってないじゃない」
「だって、どーせどこだって受けたら受かるんだろ?」
「……そうね」
「ま、小難しい話は兄ちゃんに任せて、オレはパイロットになるからさ。ん? むしろアビエイターってんだっけ?」
「アビエイターねぇ……」
「いずれ派手に勝ちまくってバッチリ稼いでやるからさっ、3年間は学費ヨロシクね〜♪」
「……いいけど、貴方、サイバーは?」
「はぁ!? じょーだん! お断りだね、あんなの!」
「そうなの? 私から見ても、貴方は充分素質があると思うし……加賀くんもちょっと、期待してたみたいよ?」
「……父ちゃんにはちょっと悪いかなって気もしないことはないけど、」
「けど?」
「けど、やっぱヤダ。」
「……ずいぶん嫌われたもんね」
「だって、考えてもみろって、」
「?」
「サイバーだぜ? おんなじカテゴリなんだぜ?
 どんなに拒否したってぜーったい、『ブリードJr.』って呼ばれるに決まってんじゃん!」
「……呼ばれるでしょうね。確かに」
「ブリードって何だよブリードって! やってらんねーっての、だっせぇ!」
「……おいコラ。人がいねぇと思って好き勝手言ってんじゃねーぞ坊主」
「ってててててて! な、ナニすんだよ父ちゃん!」
「あら加賀くん。いつ帰ってたの?」
「『やっぱヤダ』から聞いてた」
「そう」
「って母ちゃん『そう』じゃなくて! 止めさせろって! いててててててて!」
「誰がやめるかぃ。悪かったなダサくて。俺さっき傷付いたぞ。けっこー傷付いたぞ。謝れコラ」
「そうよねぇ、正直あの名前はどうかと思ってたのよね……」
「ってちょっと今日子さん! 今のコメントはどーゆーこと!?」
「才能はともかく、名前まで受け継ぐ必然性はないわよね。懐かしいわぁ、何度登録名を変えさせようと思ったか……」
「……どーせダサいですよぅ(しくしく)」
「あ、イキナリ拗ね始めた」
「あらほんと。こういうところも受け継ぐ必要はないと思うわよ、叶」
「へーい」
「(しくしくしくしくしく!)」

→なんていうか、いつもいつもごめんなさい加賀くん。ヘタレな君がとても好きです(告白)

[2010年5月/6月再録]