純白サディスティック
「謀略だッ!」
「……何よ突然」
「『倍返し』だとか『通常は三倍』だとか、『給料の三ヶ月分』とか、世間に色々仕組まれすぎだろ!」
「後半だいぶ間違ってない?」
「なんだよこれ。なんだよこれ……! たかがチョコのひとつやふたつもらったのに返すよーなモノじゃねーよ……」
「割とお手軽な方だと思うけど。これだって、そうは言っても5000円くらいだし」
「フツーこんなちっぽけな菓子6個に5000円も払わねーっつの! アンタらの基準おかしいって!」
「でも、美味しいわよ? ほら」
「…………それは認めっけど、」
「フロランタンも開ける?」
「……いただきます」
「お茶のお代わり淹れるわね」
「あ、俺コーヒーの方が嬉しい」
「じゃあ私もそうしようかしら。ちょっと待ってて」
「……(もぐもぐ)」
「はい、どうぞ。ちょうどコスタリカを貰ってたからそれにしたわ」
「……これもお返し?」
「ええ。5種セットで」
「…旨い」
「ん、ちょうどいいわね」
「…………」
「もう、いつまで渋ってるの?」
「だって、なんつーかさ……うあ、ちくしょう、知ってんだろこーいうのニガテだって!」
「うん。知ってる」
「……そのクセそーやってニコニコして待ってるとか性悪」
「そうなるって判ってるのに回避策を取らない貴方が好きよ」
「うっわピンポイント爆撃」
「燃えた?」
「灰になる勢いです」
「あら、じゃあ今日にはふさわしいわね」
「真っ白ってワケですからねッ! 一応、……気持ちだけはケガレないつもりですが」
「ありがとう。……嬉しいわ、ケーニヒスクローネは大好き」
「……正解?」
「大正解」
「、よかった……」
「なんてね」
「は?」
「いいのよ別に、外したって。貴方がくれるなら、なんだって嬉しいんだから」
「……追加爆撃?」
「素直に困ってくれるところも好きよ」
「また追い打ちかけてくるあたり実に性悪」
「そういうのが好きなんでしょ?」
「まーな」
「苦手なのは分かってるけど、見てると嬉しいの。貴方が困ってるところなんて滅多に見ないから」
「見せないよーに苦労してんだよ」
「ありがとう。うれしい」
「…………倍返しにも届いてねぇと思うけど」
「はいはい、それはもういいから」
「……後で喰おーぜ、コレも」
「後でね。コーヒー要る?」
「いる」
[2014年3月]