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    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第268号 2012.3.17.
  発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町在住)
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  ▲▼ も く じ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】2011年度総会と座談会
NEW! 2.【活動計画】2012年度活動計画
NEW! 3.【活動報告】座談会「山梨県のシカ管理の現状と展望」
NEW! 4.【活動案内】5月13日 遊歩道づくり
NEW! 5.【活動案内】スミレ観察会
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0.【ニュースニュース】
●1.3月11日(日),乙女高原ファンクラブの2011年度総会と座談会が無事終了(→1)。2012年度の活動計画も承認されました(→2)。活動計画の一覧表はホームページでご確認ください。
http://fruits.jp/~otomefc/2007schedule.html

●2.総会後の座談会では,山梨県のシカ対策の最前線に立っておられる県みどり自然課の小俣さんからお話をお聞きしました(→3)。

●3.次回の乙女高原ファンクラブ世話人会は4月18日(水)午後7時半から9時まで牧丘総合会館で行います。ファンクラブ会員であれば世話人でなくても参加できます。おいでください。
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1.【活動報告】2011年度総会と座談会

 1時半から有志で準備。多くの方が準備や受付事務をしてくださいました。そして,定刻の2時には総会を開始。参加者は21人。委任状は111人分。合計132人で,普通会員の過半数である114名以上なので,総会が成立したことを司会の三枝さんが宣言。代表世話人あいさつは宮原さん。前代表世話人である古屋さんも元気な姿を見せてくださり,あいさつしてくださいました。

 議事の議長は代表世話人の宮原さん。2011年度活動報告は事務局の植原から。スクリーンに写真を映し出して報告させていただきました。会計報告は内藤さんから。概要をいいますと,昨年度からの繰り越しを含めない純粋な今年度の収入は約92万円。うち,個人からの寄付金が約37万円,助成金が約51万円,その他でした。半分以上は助成金でした。支出合計は約89万円。収入の範囲内でした。内訳の概要は印刷費約43万円。例年と違ってスミレのガイドとフォーラムのちらしを委託したので金額が大きくなりました。会報送付などの通信費が約12万,備品費が約11万円などでした。2012年度への繰越金は約54万円です。会計監査報告を加々美さんが行ってくれました。会計と事務局を分離し,誤解を受けないようにお金の管理をしていることまで触れてくださいました。
 その後,事務局より2012年度の活動計画と予算案の提案があり,承認されました。今年の注目点は,昨年に引き続いて,案内人でありスミレ・フィールドガイド編集代表である依田さんを講師に春先3回のスミレ観察会を行うことと,10月に群馬県みなかみ町で開催される全国草原サミットへの参加です。全国で草原を守る活動をしている人たちに直接,会ってみませんか?

 途中,お忙しい日程を割いて山梨市長の竹越さんが参加してくださり,ごあいさつくださいました。また,東日本大震災が起きた時刻には亡くなられた方々に黙祷を捧げました。

 さて,おいしい茶菓子を三枝さんと芳賀さんが準備してくださり,それに舌鼓を打ちながら,座談会は内藤さんの司会で,山梨県で野生鳥獣保護の最前線に立っていらっしゃる小俣さんからシカの管理計画についてお話を聞きました。小俣さん,休日だというのに,わざわざ乙女高原のためにおいでくださり,ありがとうございました。
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2.【活動計画】2012年度活動計画(概要…月・日・曜・時間・活動名)

5 13 日 9:30〜12:30 第13回 遊歩道づくり
5 13 日 13:30〜15:30 第2期 スミレ観察会その1
5 27 日 10:00〜14:30 第2期 スミレ観察会その2
6 10 日 10:00〜14:30 第2期 スミレ観察会その3
6 24 日 10:00〜14:30 第10期 マルハナバチ調べ隊(初夏編)
7 ? ? ? 市内小学校の自然教室への支援
8 5 日 10:00〜14:30 第10期 マルハナバチ調べ隊(盛夏編)
8 19 日 10:00〜12:00 乙女高原を歩こう
8 19 日 13:00〜15:00 遊歩道の杭作り
9 9 日 10:00〜14:30 第10期 マルハナバチ調べ隊(初秋編)
10 27-28 土日 全国草原サミット・シンポジウムに参加 群馬県みなかみ市
11 23 金祝 9:30〜13:00 第13回 乙女高原の草原を守る!
   【2013年】
1 ? ? ? ようこそ乙女高原へ展[ 展示物の募集。 山梨市民会館
1 27 日 13:00〜15:30 第12回 乙女高原フォーラム 山梨市民会館
3 10 日 14:00〜17:00 2012年度 定期総会 牧丘総合会館
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3.【活動報告】座談会「山梨県のシカ管理の現状と展望」
        小俣 謙さん(山梨県みどり自然課自然保護担当)


 座談会の小俣さんのお話のダイジェスト版です。文責は植原にあります。

・シカの生息域が広がっている。暖冬で雪が少ないなど温暖化の影響で高標高地でも冬をすごせるようになってしまった。北岳周辺では標高1700メートルあたりで越冬している。
・狩猟者が少なくなったことも,シカ増加の原因の一つ。「オオカミがいなくなったからシカが増えた」という方もいるが,オオカミは今から100年も前に絶滅しているので,シカが増えた直接の原因ではないだろう。
・シカ自体,急激に増えるポテンシャルを持った動物である。メスは1年たつと子どもを産めるようになる。高い繁殖能力を持つ。
・平成22年度までに県内の97%の場所(216メッシュのうち,210メッシュ)でシカが確認されている。
・山梨県のシカ管理のゾーニングは,「南アルプス」「八ヶ岳・秩父」「富士北麓・南都留」の3つ。(植原注:だいたい県土全体を3等分している感じ)
・狩猟者によるシカ目撃率を見ると,県全体で,平成15年の約0.5(頭/人/日)から平成22年の約1.6(頭/人/日)と増えている。
・ある一定のルートを歩いて,どのくらいの糞塊があるかを数える糞塊密度を見ても,県全体で,平成13年の約13(個/km)から平成22年の約33(個/km)と増えている。
・(植原注: 目撃率グラフを見ると,高いレベルが南アルプス,低いレベルが富士北麓・南都留なのに, 糞塊密度グラフでは, 反対に,高いレベルが富士北麓・南都留,低いレベルが南アルプスになっていて,逆の傾向を示している。まだまだ科学的に信頼できるレベルのデータになっていないなと感じた。調査頻度や調査密度を高めないと,データの信頼度も高くはならないだろう)
・以前牧場があった場所や牧場で, 糞塊密度が非常に増加している傾向がある。
・そのほかにも区画法(ある区画内のシカを数える調査。その日にいたシカの数を数えることになる)という方法で,シカの生息密度の推定をしている。
・いずれのデータも平成13年以降,「シカが増えている」ことを示している。
・平成22年のシカ推定生息数は,山梨県全体で,多く見積もって約5万9千頭,少なく見積もって約1万3千頭,中間値は3万6千頭としている。今のところ,データを集めれば集めるほど,数値が動いてしまう。もっと集まると信頼のおけるデータになるのではないか。
・シカの捕獲数はずっと500頭程度だったのだが,平成12年度くらいに少しずつ増え始め,平成16年には1000頭程度。この後,捕獲条件がだんだん緩和され,平成18年には約3000頭,平成21年には6000頭を越えるようになった。
・捕獲数がこんなに増えているのに,まだシカが増えているのだから,もっと捕らなければならない。
・「狩猟」による捕獲はほぼ頭打ちになっていて,「管理捕獲」を増やさないと,シカの捕獲数は伸びない。
・木の皮剥ぎ状況調査をしたところ,富士山麓と八ヶ岳南東麓,秩父山地南麓で被害が多い。
・農業被害は2〜3千万円くらいでほぼ横ばい。林業被害はだんだん多くなり,平成21年に3億円までに増え,22年には2億円に減った。林業被害が多く出ている。
・昭和60年に狩猟免許を持っていた方はのべ7000人。平成22年で3000人と少なくなっている。しかも50歳以上の方がほとんどで,それ以下の方は500人程度しかいない。このままでは狩猟者は絶滅危惧されてしまう。
・シカは越境移動するので,他県と情報交換しながら捕獲等をしなければならない。
・平成24年から第2期ニホンジカ保護管理計画が始まる予定。保護管理の目標は以下の3つ。
@農林業被害の軽減(シカによる農作物被害、造林木被害を軽減する)
A生物多様性の保全と再生(シカによる過度の採食圧で植生劣化等が生じている地域において、採食圧を軽減して生物多様性を再生し、長期的に保全する)
B県内のシカ地域個体群の安定的存続(県内でシカ地域個体群が絶滅することのないよう安定的に存続させる)
・目標を達成させるために計画対象区域を3つにゾーニングする。
@農林業ゾーン(標高1,000m以下の地域)
A共生ゾーン(標高1,000m以上で鳥獣保護区及び特別保護地区以外の地域)
B生態系保全ゾーン(標高1,000m以上で鳥獣保護区及び特別保護地区に含まれる地域)
・目標を達成させるために,@からBの施策を総合的に進める。
@個体数管理(被害が出ない程度の数にする。市町村等による農林業被害軽減を目的とした管理捕獲と県(県猟友会に委託)による自然植生被害軽減を目的とした管理捕獲。いずれも通年。狩猟に関しては,狩猟期間を3月15日まで1カ月間延長し,捕獲頭数の制限撤廃,特例休猟区制度の導入を行う。その他, 東京都、長野県など隣接都県との共同捕獲も行う)
A生息環境管理(餌環境の安定化。農耕地及び農耕地に接する林縁の管理)
B被害防除(防護柵等の設置等。自然植生の防除柵については来年度は市町村への補助事業として甲州市の大蔵高丸と南アルプス市の櫛形山に大型柵を設置する予定)
・モニタリング調査(糞塊密度調査、区画法。出猟カレンダー調査。農林業、自然植生被害状況調査)も続け,シカの生息数の動向を探る。
・シカの目標密度は, 農林業ゾーンで1頭/?,共生ゾーンで2〜4頭/?,生態系保全ゾーンで1〜2頭/?。この数値を積み上げると,全県で5000頭程度となる。生息推定数(中間値)が3万6千頭なので,3万頭も多い(植原注:ということは,山梨に生息しているシカ7頭のうち6頭は捕らなければならない計算になる)
・急を要する施策は,シカの頭数を緊急的に減らすこと。とはいえ,シカを捕る人が激減している。
・いろいろな意味で,シカ対策にご協力いただきたい。

Q)捕獲の効果は?
A)生息数が多いところで集中的に捕獲すると効果が出てきているが,狩猟圧がかかると,別の場所にシカが移動するケースも出てきている。全県的にみると,効果が出たというデータは出ていない。伸び率が減った程度である。

Q)効果を大きくするためには?
A)1日に捕る制限を撤廃するなどして,狩猟の効果を最大限に大きくして,まずは緊急的に個体数を減らしたい。

Q)生態系を守るための管理捕獲は?
A)今年度は1000頭だが,来年度は2500頭を予定している。

Q)狩猟による個体数管理は本当にでききれるのか?
A)乙女高原については,山梨市による管理捕獲をお願いしている。1年2年では無理だが,数年かけて減らしていきたい。できることはいろいろ考えたい。銃だけでなく囲い罠を使うとか。

Q)富士山北麓の伐採地にシカが増えているという件については?
A)森林なので更新しなければならないので伐採している。こういう場所はシカが増えるので,捕獲圧を強めていきたい。シカが増えないようにやっていきたい。
Q)あんな広い場所で捕獲圧が本当にかかるのか?
A)いろいろな方法でやっていきたい。

Q) 例えば動物愛護団体などから狩猟についての抵抗はないのか?
A)市町村に意見が来ていることは聞くが,このままにしておくと生態系が損なわれるという説明をしている。施策は実行していく。今後,捕獲頭数についてはモニタリング調査の結果から調節していく。

Q) シカの管理について,マクロに考えて狩猟圧を高めるだけでは,ミクロに考えて,特定の生態系の保護が間に合わないという状況も生じると思う。乙女高原にも大きなシカ柵の設置予算をお願いしたい。
A)山梨県・山梨市を含めて,乙女高原が貴重な生態系であることは認識している。捕獲を待っていたら復活できないものであれば,柵を作り,頭数を減らし,ゆくゆくは柵を撤去するというのが理想だと思うので,検討の対象としてはいる。予算の話なので,ここできっちりお答えできないが。

Q) 山梨で人的な被害は出ているのか?
A)ヤマビルは峡南,韮崎等でシカが持ち込み,増えている。山菜取りの人も食われている。特に峡南は人家近くまで。あと多いのは,交通事故。車(高速道路も),電車(身延線や中央線の北杜市)。

Q)シカ肉の加工処理施設を将来的に増やす計画はないのか? 今後の展開は?
A)今のところ,県内では富士河口湖と丹波山の2箇所にある。ウシやブタは法律があるが,野生動物の肉については法律がなく,県でガイドラインを作って運用している。一番ネックになるのは,シカを捕獲してから施設に持ち込むまで2時間以内という条項である。というのは,シカは内蔵に熱を持っていて,どんどん腐敗していくので,2時間が限度だと言われている。山奥で捕ったものは2時間以内で運び込むのは難しい。シカ肉はまずいというイメージもある。1頭あたりから取れる肉の量も少ない。なかなか進んでいないが,鳴沢の道の駅でシカ肉ソーセージを売っている。大塚ニンジンと一緒にソーセージを作ったという話もあった。

Q)イノシシが区に出てきて,猟友会長さんに相談したら,おりをかけてくれた。そうしたら,イノシシやシカが入った。おりをもっと増やせばいいのではないか?
A)おりを設置するというのはいいアイデア。いろいろな方法で捕獲したい。

Q)自然植生の被害はどう把握しているのか?
A)山岳レンジャーや自然監視員から報告をあげてもらっている。

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4.【活動案内】5月13日第13回遊歩道づくり

 古くなった杭を交換し,ロープを張り巡らし,遊歩道をはっきりさせます。ご家族で参加できる作業です。春の乙女高原で,いい汗をかきましょう。ただし,天気が悪いと寒いです。防寒具もお忘れなく。
 終了後,依田さんを講師にスミレ観察会をします。こちらも予定に入れておいてください。

■主催 山梨市 山梨県 乙女高原ファンクラブ
■日時 5月13日(日) 午前9時半から12時半まで
 (少雨決行。雨天の判断は各自でお願いします)
■集合 乙女高原グリーンロッジ前
■持ち物 べんとう,雨具,軍手。
 かけや(大きなトンカチ),なたなど道具がある方はご持参ください。
■服装 作業のできる服装(まだ寒いので,防寒の準備も)
■問い合わせ・申し込み先 山梨市役所観光課 電話0553-22-1111(代表)
※保険には主催者で加入します。
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5.【活動案内】スミレ観察会

第1回 5月13日(日) 午後1時半から3時半
第2回 5月27日(日) 午前10時から午後2時半
第3回 6月10日(日) 午前10時から午後2時半
(少雨決行。雨天の判断は各自でお願いします)

 春,乙女高原には見つかっているだけで18種類のスミレがかわいい花を見せてくれます。といっても,いっぺんに・一ケ所で見られるわけではありません。少しずつ時期をずらし,生息場所をずらしています。そんな乙女高原のスミレをスミレ・フィールドガイドの編集代表・依田 昇さんの案内で観察します。
なお,参加者のみなさんにはできたてホヤホヤの『乙女高原フィールドガイドV 乙女高原のスミレ・ウォッチング』をもれなくプレゼント!!

■集 合 乙女高原グリーンロッジ前
■持ち物 べんとう,水筒,雨具,筆記用具,
     観察用具(ルーペがあると便利です),図鑑など。
■参加費 無料。
■講 師 依田 昇さん(乙女高原案内人。スミレ・フィールドガイド編集代表)
■問い合わせ・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(このメールに返信を)
※行事災害保険にはファンクラブで加入します。
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