いう形勢である。したがって、「戦没」の問題は、過去だけではなく、現在そして未来のそれであるということになる。その前方の戦雲をはらいのけることができるまでは、これらの声を忘れることをしてはならないはずである。はらいのける仕事に不可欠であるところの真の生命肯定の思想は、その深い根を、これらの声のようなところから掘りおこしてくるのでなければならない。それゆえに、その仕事の完了の後の幸福な時代にも、これらの声は、尊い遺産としてひとびとの記憶のなかに生きつづけるであろう。

   一九六二・一二・二二

  
 戦没学生記念像 「わだつみのこえ」  本郷 新(1950年作品)  
■本郷新(ほんごう・しん)  1905〜1980                      
 北海道生れの彫刻家。1928年、東京高等工芸学校彫刻
 部卒。  高村光太郎に師事。 1939年、新制作派協会彫
 刻部を創立・参加。 「わだつみのこえ」で日本平和文化賞を
 受賞。 「氷雪の門」「嵐の中の母子像」など、作品は平和を
 テーマにしたものが多い。 国際彫刻展への出品入賞多数。
 著書に『彫刻の美』1942、作品集『本郷新』1975 がある。 
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