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   乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第211号 2009.1.28.
発行者:植原 彰 (乙女高原のある山梨市牧丘町在住)
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  ▲▼ も く じ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】第8回乙女高原フォーラム 1月25日
NEW! 2.【イベント案内】2008年度総会 3月15日
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  0.【ニュースニュース】
●1.第8回乙女高原フォ−ラムが無事終了しました。名簿を確認したところ,参加者は88名。櫛形山で活動している方,甘利山で感動している方,八ヶ岳で活動している方・・・から情報提供いただきました。「シカ問題」にどのように向き合っていけばいいのか考え続けなければならないことがわかりました。(→1)

●2.乙女高原ファンクラブの総会が3月に行われます。ファンクラブの世話人の任期は2年です。今年度から来年度にかけてが世話人改選です。今回の総会では新しい世話人の承認も行われます。会員であれば,どなたでも世話人に立候補できます。乙女高原ファンクラブを安定的に継続させていくために,ぜひ,多くの方に世話人に立候補していただきたいと思っています。よろしくお願いします。(→2)

●3.(再掲)乙女高原に向こう林道はすべて冬季の通行止めです。杣(そま)口から柳平(琴川ダム=乙女湖)までは通年通行できますが,そこから先は車両通行止めです。ただ,歩いていくことは可能です。

●4.「ようこそ乙女高原へ」展W,ご覧いただけますか? この展示は1月29日で終了ですが,展示のうち「アサギマダラ調べ隊」のパネルについては,2月8日(日)に行われる山梨市ボランティア大会(会場 山梨市民会館)で展示していただけることになりました。まだご覧になってない方は,ぜひ,どうぞ。

●5.次回世話人会は今週の水曜日(2月18日)午後7時半から9時まで牧丘総合会館で行います。世話人でなくても参加できます。おいでください。
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 1.【活動報告】
●第8回乙女高原フォーラム● 1月25日(日)


 寒いけど,とてもいい天気でした。今日のこのフォーラムのために,市から6人,県から5人,ファンクラブから24人,計35人がスタッフとして集まってくださいました。11時に集合して準備を開始する予定でしたが,早く来てくださった方たちでどんどん会場づくりが進んでしまいました。全体で打ち合わせをし,係ごとに打ち合わせをした後,分かれて作業に取りかかりました。

 定刻の午後1時。竹居さんのアナウンスでフォーラムがスタートです。まず,塩山高校放送部が作ってくれたビデオ作品を見ていただきました。高校生の皆さんがファンクラブの活動を取材し,5分の番組に仕上げたものです。若い感性で,上手に編集してあるなあと思いました。

 里吉さん(市)司会による開会行事では,中村市長さんと渡邉峡東林務環境事務所長さんからあいさつをいただきました。

■プログラム1 活動報告と「乙女のシカ」問題提起
 植原がプロジェクターの写真を活用し,乙女高原での1年間の活動の様子を紹介しました。活動の内容は,以下の6項目です。
 1)遊歩道作り(5月11日の予定でしたが,雪のため,1週間延期)
 2)乙女高原案内人養成講座(第4期)
 3)乙女高原案内人の活動(案内活動,シダの研修会,救急法研修会)
 4)マルハナバチ調べ隊
 5)アサギマダラ調べ隊(幼虫調査,マーキング調査)
    ※乙女でマークされたチョウが兵庫と高知で再捕獲
 6)草刈りボランティア

 次に乙女高原のシカの現状について
 「減っている草(アマドコロ,オオバギボウシ)」
 「増えている草(ハンゴンソウ,マルバダケブキ)」
 「新たに食われている草(クガイソウなど)」
 「幹や枝の皮を剥がされている樹木」
という項目で報告し,シカの痕跡(糞,角研ぎ跡,足跡)について説明しました。こういったものを覚えていれば,山林でこれらに遭遇した時に「あ,ここにはシカがいるな」ということがわかるからです。

■プログラム2 乙女高原のシカ今昔物語
 シカ猟50年以上という古屋さん(ファンクラブ代表世話人)のお話を聞きました。
 以下,古屋さんのお話のダイジェストです。
・乙女高原周辺はシカ猟の行われるエリアである。言ってみれば,自分たちの猟のなわばりのようなものだった。(過去も現在も)
・今は山奥ばかりでなく,里山にもシカがいるので,近くで猟ができるようになった。
・猟は冬季に行われる。雪が降ると足跡の確認ができるので,雪が降ると猟のシーズンだ。
・合図は,弾を撃った空のケースを鳴らした。長く吹くと「帰ってこい」,ピッピッと短く鳴らすのは「いたぞ」という合図。クマでもイノシシでも,この合図は同じ。
・犬を連れたセコと呼ばれる人たちがシカを追い出す。タツマと呼ばれる人が銃を持って獲物が来るのを待つ。セコが1発撃つのは,追い出している時,2発撃ったら「(シカが)出たよ」という合図。
・平成17年度の調査で県内のシカの推定個体数8400頭,年間の被害総額は1億7千万円。シカ対策が県の林業行政の中でも大きな問題になっているのが現状。

・戦争時,優秀な銃はすべて軍に取り上げられた。軍が持っている銃だけでは不足して,猟銃まで使わなければならなくなったからだ。おろかな戦争だった。
・戦後,優秀な銃はなく(軍に取られてしまったので),ほとんど廃銃に等しいものだった(村田銃など)。撃っても出ないものもあった。猟の精度は上がらなかった。弾はなまりを解かして型に入れて作った。
・当時は林道などないので,歩いて猟に入った。猟場に到着するまで3時間も歩かなければならない。
・猟はシカの寝ている場所(ネヤ)を探すことから始まる。昔は,かなり奥まで行かないと,シカには会えなかった。ネヤは倉沢山にいくつか,山梨高校の寮があったあたり,高原西のワルサワ,ジゴクサワなど。ネヤのどこにいるのかわからないが,シカの痕跡から,どのネヤにいるか推測した。
・当時はシカは少なく,貴重な存在だった。

・昭和30年代くらいになると,猟具もよくなった。銃も水平2連,ライフル,自動銃など。銃所持には厳しい条件が課せられている。
・また,昭和30年代には林道も整備された。シカが逃げてしまっても,林道を使って簡単に先回りできるようになった。

・最近,シカが増え,いろいろなところで目撃されるようになった。
・有害獣駆除ということで,1年中,シカをとることができるようになった。1日に2ブロックで10頭以上しとめたこともある。
・シカ,イノシシは増えたが,狩猟対象の小動物(ウサギ,ヤマドリ,キジ)は少なくなった。
・牧丘地区の狩猟者は,多い時で150名いたが,今は40名。日本全国で狩猟者が減っていて,それはシカが増える一つの原因になっているのではないか。

■プログラム3 シカが増えたらどうなるの?
 いよいよ今回のフォ−ラムのメイン・星野さん(東京農工大)のお話です。ファンクラブ代表世話人の坂田さんがプロフィールを紹介したのち,お話いただきました。

@全国的にシカが増えている
・環境省の調査によると,過去25年間で,シカの分布域が1.7倍に広がっている。
・増えてきた原因として,捕食者であるニホンオオカミの絶滅(100年も前に絶滅しているのだが・・・),森林の伐採(森が伐られると,そこは草原状になり,一時的にエサが増える),温暖化による積雪量の減少(シカは雪が苦手),狩猟者の減少などが考えられている。
・シカの害は農林業だけでなく,森林などの自然生態系,草原などの半自然生態系にも見られるようになり,国立公園・国定公園でも被害が広がっている。
・シカは1日に1s程度のエサを食べる。このことから考えると1日に1頭あたり10uの森林や草原が必要となる。
・好き嫌いはあるが,いろいろな植物を食べている。

A奥多摩におけるシカによる植生被害(80年代と現在を比べて)
・奥多摩の西側(東京側)で特に生息分布域が広がり,密度も高くなっている。
・奥多摩の亜高山帯のコメツガ帯では,森の下に生えていた木や草がなくなり,すっきりした林になってしまった。下にはコケが生えているくらい。多くの植物が減少した。オオカメノキやマユミ,カニコウモリなどだ。増えたのはヘビズノネゴザなど。
・防火帯の草原は乙女高原に似た景観で,いろいろなお花が生えていたが,ワラビ,マルバダケブキだけになってしまった。林縁はアザミなど多様な植物が生えていたのに,マルバダケブキばかりが目立つようになってしまった。非常に多くの植物が軒並み減少した。増加したのはマルバダケブキとワラビなどシカが食べないもの。それから,小さくて,シカに食べられないで済んだもの。
・ササ草原では,ササの間にヤマハハコやウスユキソウが見られていたのに,ササは残ったが,他の植物は減少した。
・シオジ林の林床には,オシダやウワバミソウなどたくさんあったのに,それらが消えてしまった。岩の間にわずかに残っただけ。
・ミズナラ林では,シシウドやオオバギボウシなどがあったのに,まったくなくなってしまった。
・ブナ林では,林床のスズタケまで食べられてしまった。場所によってはスズタケが無くなったことによって,表土が流されてしまったところもある。
・減少した植物は,特に中・大型の草と低木が多い。これらはシカにとって食べやすい植物である。
・減少している植物たちの絶滅リスク(絶滅する恐れ)を計算したところ,ユキザサはこのままでは2030年に絶滅確率100%,シロバナエンレイソウでは2050年,レンゲショウマ2030年,コオニユリ2020年,コウリンカはロゼットを作って生き残れそうなのか2090年という計算結果が出た。
・奥多摩では狩猟もしているし,防護柵も作っている。

B乙女高原の現状
・今年,乙女高原,櫛形山,三窪高原,霧ヶ峰など11箇所の山地・亜高山高原で植生調査をし,80年代の調査結果と比べてみた。
・シカの糞粒を数えてみると,11地点の中ではシカの草原利用度は少ない。
・乙女高原での調査で出てきた植物は1987年75種,2008年84種。このうち,2008年に見られなくなった種は18種,新たに見られた種は27種。
・ホタルサイコ,コウゾリナなど比較的大きな草は減少。ヘビノネゴザ,ヤマアワなどは増加。シカの影響が始まっているのではないかと思われる。
・乙女高原は11箇所の中で最もこの20年間の種組成の変化が少なかった。
・櫛形山や大菩薩などは20年間で種多様性が低くなってしまった。車山や乙女高原は逆に種多様性が高くなっており,現在の多様度指数は11箇所の中では乙女高原が最も高い。

C草原へのシカの被害
・草原で見つかった糞粒数と植物の種数の増加率の相関を調べてみると,糞粒数がある一定以下だったら,増加率は高くなったり低くなったりするが,ある数値を超えるとグンと減ってしまう。ある程度シカがいると,踏みつけや採食によって,草原にある程度の攪乱をもたらし,それが多様な植物が生える条件をもたらすが,それが大きすぎると,全体にダメージを与えてしまうことが原因だと考えられる。

Dもし,このままシカが増えたらどうなるのか?
・植物たちが減少し,土壌流失まで起こるようになってしまったら,取り返しがつかなくなるだろう。
・シカが増えると,植物の種組成が変化する(減る種,増える種がある)。
・また,下草がなくなる・シカの背が届く範囲の木の葉が食われるなど,階層構造も変化する。単純化する。
・すると,それらが,昆虫や鳥や他の動物たちの生存にも影響を与える。例えば,シカが藪を食べてしまうことによって,藪に住んでいる鳥が減ってしまう。

・対策としては,シカの個体数を減らすこと。狩猟が必要だ。
・ところが,狩猟者は絶対数が減っているし,高齢化が進んでいる。
・里でも狩猟できるようになってしまったので,山奥の狩猟は減っている。できれば,山奥にも入っていただきたい。
・もう一つはシカが入らない場所を作ること。保護柵だ。
・植物が減る前に「予防的に」行う必要がある。
・ススキ草原は残りやすい(ススキをさわると手を切ることがあるが,シカも嫌う傾向がある)ので,まだチャンスはあるし,事実,とてもいい状態で草原が保たれている。
・柵は景観上良くないが,シカの個体数をどうこうできるようになる前に,小さなものでいいので(むしろ,小さいものの方がいい)とにかく(応急処置として)柵を作り,残したいものを確実に残すことを提案したい。

■プログラム4 質疑応答・意見・情報交換
 フロアの皆さんから質問や意見を出していただきました。
【甘利山倶楽部の方より】柵を作ったら,他の場所にシカが逃げてしまうことはありませんか? 甘利山でもシカは増えている。食害があります。ギボウシなど食べられています。木に対する食害も千頭星にあります。マルバダケブキは甘利山では増えましたが,標高2000メートルを超えた千頭星では減っています。
【星野さん】非常に大きな柵を作ってしまうと,シカをほかの場所に誘導してしまうことはあるかもしれませんが,今,奥多摩でやっているのは比較的小さい柵です。私たちがやっている一つの柵は,一辺が15メートルか20メートルです。植物の絶滅を防ぐための柵です。

【春日居の森林ボランティアの方】テレビで見たんですけど,アメリカでシカ害を減らすためにオオカミを放したというのを見たことがあるんですけど。
【星野さん】アメリカやヨーロッパではオオカミという捕食者を生態系に入れて,コントロールしようとしている事例はあります。日本でもそれを提唱する研究者がいますが,いろいろな課題があって,それらをクリアしていかないと難しいと思います。

【ファンクラブの方】都道府県などがシカを取ることに奨励金みたいなものを出すというようなことはやっていないのでしょうか?
(これについては,いろいろな方からご意見が出ましたが・・・,県で保護管理計画を作っており,それに伴う捕獲数が決められていて,それに対しては一頭いくらという補助金が出ており,それは,市町村と県とで出しているのだそうです)

※ここで録音していたテープが終わってしまいました。

 そのほかにも,いろいろ意見が活発に出されました。
 閉会行事では,ファンクラブ代表世話人の古屋さんからお礼のあいさつ,同じく坂田さんから諸連絡があり,フォーラムの全日程が終了しました。
 すぐに片付けを始め,片付けが終わったところで,星野さんを囲んだ,これも内容の濃い茶話会を行いました。全部が終了したのは4時半ころでした。

 たくさんのスタッフの皆さん,参加してくださった皆さん,ありがとうございました。ご意見・ご感想等がありましたら,ぜひ,お聞かせください。
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 2.【イベント案内】
 ●2008年度総会● 3月15日(日)


 今年度の活動を振り返り,来年度の計画を立てる総会を3月15日(日)の午後,牧丘総合会館で行います。今から予定に入れておいてください。
 詳細は後日,お知らせします。
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