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    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第237号 2010.10.17.
  発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町在住)
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  ▲▼ も く じ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【観察報告】10月の乙女高原
    2.【活動案内】草刈りボランティア 11月23日(火・祝)
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  0.【ニュースニュース】
●1. 10月13日の朝日新聞によると,「エサ不足 クマ襲撃」という見出しで,福井・富山・山形でクマが人を襲ったとありました。新潟でクマが出たニュースもありました。これらクマのニュースに,ぼくは違和感があります。というのも,乙女高原を観る限り,今年はミズナラの「なり年」どころか「大豊作」という感じです。理由はよくわかりませんが,ぼくの経験だと,木の実の「なり年」「不なり年」は様々な木の種類でシンクロしているし,他地域ともシンクロしているようです。今年,乙女はミズナラをはじめ,ヤマナシもマユミもズミも豊作です。となると,山は木の実が豊富なので,今年の秋はクマなんて里には出てこないだろうと予測していたからです。
 さて,福井,富山,山形,新潟・・・と見て,「あれ,みんな日本海側じゃん」と気づきました。もしかして,ナラ枯れの影響ではありませんか? 9月に新潟県は妙高高原で行われた自然観察指導員講習会((財)日本自然保護協会・新潟県自然観察指導員の会・共催)に行ってきたのですが,森の中に葉が全部赤茶色になっているミズナラの木が何本かありました。これがナラ枯れで,カシノナガキクイムシという小さな甲虫によって木が衰弱し,場合によっては枯死してしまうそうです。新潟は特にひどくて,全国の被害約1万2千ヘクタールの3割は新潟だそうです。
 今年,年まわり的には木の実は「なり年」ですが,ナラ枯れによるどんぐり不足や,もしかしたら夏から秋の猛暑の影響による木の実不足が起こり,クマが人里に出てきているのではないでしょうか。
 どなたか,この「推測」に対するご意見をください。
 ちなみに,2010年9月現在,山梨ではナラ枯れは確認されていません。

●2.「山と渓谷社」という出版社(山登りをする人の間では,『山と渓谷』という月刊誌がチョー有名。様々な図鑑も出しています)が創業80周年を記念して今年7月に「日本山岳遺産基金」を設立しました。第1回の日本山岳遺産認定地の発表会を,なんと山梨県で行います。じつは,乙女高原も日本山岳遺産にノミネートされています。ぜひ,発表会に足をお運びください。はたして乙女高原は選ばれるでしょうか???
 なお,記念講演をしてくださる登山家の戸高雅史さんは,乙女高原案内人の加藤さんによると,「人間として本当に素晴らしい人です。単独無酸素マナスル登山で、あと300Mで引き返してきて有名な人です。K2には、世界で始めて単独無酸素で登頂しています。それよりも何よりも、信念があり,自然との付き合い方が素晴らしい。真摯に山と向き合っています」とのこと。楽しみですね。
 入場無料・事前申込み不要ですが,参加ご希望の方は,できれば,ファンクラブ事務局までご連絡をお願いします(このメールに返信で結構です)
  ・「第1回日本山岳遺産サミットin山梨」(主催 山と渓谷社)
  ・日時 11月3日(祝・水)14時〜18時
  ・会場 甲府商工会議所5階多目的ホール
  ・プログラム
   第1部 日本山岳遺産 認定地発表(認定証の授与)
   第2部 基調講演「親子登山のすすめ」戸高雅史さん(山中湖村在住)

●3.11月2日(火)午前9時に焼山峠集合で「焼山峠周辺の美化清掃」が行われます。主催者は山梨市。乙女高原ファンクラブは乙女高原周辺を担当し,おもにごみ拾いを行います。主催者で昼食を準備してくれる都合がありますので,ボランティアとして参加していただける方は、事前にファンクラブ事務局までご連絡をお願いします(このメールに返信で結構です)。軍手,ゴミ袋は主催者で用意していただけます。雨天の場合10日(水)に延期です。

●4.多くの方から,草刈りちらし配布協力のメールをいただきました。ありがとうございます。まだ,ちらしの残部がありますので,さらに,配布協力してくださる方はご連絡ください。

●5.次回の乙女高原ファンクラブ世話人会は10月20日(水)午後7時半から9時まで牧丘総合会館で行います。ファンクラブ会員であれば世話人でなくても参加できます。おいでください。

●6.このメールマガジンを書いている植原は,笛吹市春日居町にある山梨岡神社の境内での定期的な子ども向け自然観察会に関わっています。次の観察会は,11月3日(水・祝日)午前9時45分から12時です。自然観察と絵本の読み聞かせのコラボです。対象は小学生。ぜひ,お子さん連れ・お孫さん連れでおいでください。楽しいですよ。
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1.【観察報告】●10月の乙女高原●

●その1 10月3日

 林道ではセキヤノアキチョウジやヤクシソウがきれいでした。
 午前中は湿地コースを調査。びっくりしました。遊歩道の木製階段に突如,ガイコツが落ちていたのです。シカの頭の骨です。下あごの部分はありませんし,鼻先も欠けていましたが,きれいに白骨化していました。持ち上げて,歯をじっくりみました。「草喰い」であることがよく分ります。臼歯がじつに発達していました。
 地面がなんとなく赤っぽくみえるところがありました。近づいてみると,たくさんの落ち葉。真っ赤には真っ赤なのですが,トゲトゲしてないという感じの色です。ウリハダカエデの葉でした。

 午後からは,焼山峠からのコースを歩きました。
 歩き始めてすぐ,「クモの糸」がやたら体にくっつきます。その後もずっと。でも,それはクモの糸ではありませんでした。いもむしの糸でした。頭上の木の枝からいもむしが糸を出して,ぶらさがっていたのです。木の葉を食べていたいもむしが,どうしてレスキュー隊さながらの空中パフォーマンスをしているのでしょう? 冬眠場所を探している? それとも,さなぎになる場所? レスキューいもむしが何匹いるのか歩きながら数えてみました。1時間で,なんと47匹も。同じ種類のいもむしに見えました。

 もう一つ,すごい(数の)発見は,「エビフライ」です。3メートル四方の場所に,エビフライそっくりの松ぼっくり(アカマツの実)の「芯」が100個も。ニホンリスが食べた跡に違いありません。リスが集団(家族?)で来ていたのでしょうか。
 カケスの羽根が散乱しているのも見ました。きっと鳥のしわざでしょう。なぜなら,羽根の軸にひしゃげたような跡がないからです。鳥はピンセットのような,そのくちばしで羽根をむしるので,「羽根がきれいなまま」なのです。カケスを殺ったのはタカかな。

 ロッジにもどり,トイレに行ったら,入り口にヒメヤママユ(ガ)の成虫が5匹もいました。ガの仲間はオスがメスの臭いをかぎつけて,メスの元に飛んでいきます。そのため,オスの触角は高性能レーダー顔負け。まるで櫛の歯のようになっていて,空気中を漂っているごく薄いメスの臭い(化学物質)を捉えます。おかげさまで,触角の形でメスとオスが見分けられるというわけです。
 草原の中は,ヤマラッキョウが目立っていました。

●その2 10月11日

 林道の紅葉・黄葉はかなり進みました。ヤマブドウ,マユミ,ヤマウルシ,ヌルデの赤がきれいです。
 今日は,草原内をゆっくり歩くことにしました。
 まずは「森のコース」
 ベニテングタケという,傘が赤くて,白い点々のある,かわいいきのこを見つけました。といっても,まだ地上に出たばかりのあかちゃんきのこです。
 ヤマナシの木の下に行きました。ヤマナシの実がたくさん落ちています。しゃがんで,手の届く範囲の実を集めただけで20個。すごくいっぱいです。こんなにたくさんのヤマナシの実を見たのは初めてです。乙女高原で4本のヤマナシの木を確認していますが,遊歩道から見えるもう一本のヤマナシにもたくさんの実がなっているのが双眼鏡で確認できました。

 「草原のコース」ではミヤママルハナバチがヤマラッキョウの蜜を吸いにきています。足に花粉バスケットがついてないので,オスではないかと思いました。
 ススキにオツネントンボ(類)が止まっていました。冬を越すトンボです。
 ススキの白い穂が風になびいて,日の光に当たって,とてもきれいです。カンタンのルールールー・・・という低い声が響いています。
 大きなシカ柵の中にはリンドウの花がたくさんあるように見えました。数えてみると,柵内には6株。外ではどう探しても3株です。やはりシカの影響でしょうか? シカ柵の中のほうが多かったです。
 マユミの枝に,たわわに実が付いていました。冬が楽しみです。木が葉を落とすと,この赤がとてもきれいに目立ちます。ズミも実をたくさん付けていました。

 無人のロッジに戻り,お昼を食べました。東屋の隣にあるミズナラの木は,駐車場にどんぐりを落としてくれるので,ミズナラの「なり年」「不なり年」を知らせてくれるメッセンジャーです。今年はすごい「なり年」。足を置けば,必ずどんぐりを踏んでしまうくらい。要するに,足の踏み場がありません。
 今日は,いろいろな木の実が豊作であることを確認しました。

●そして 10月16日

 秋晴れの中,大窪山遊歩道を歩きました。ミズナラの葉もだいぶ茶色くなってきました。落ち葉が積もり始めていて,地面が隠れてしまい,テンの糞が見つかりにくくなっているように感じました。

 大窪山山中にはアズマシャクナゲがたくさんあります。シャクナゲの葉はまるでセンスを広げたように輪になって枝についていますが,その輪のまん中,つまり,冬芽の上ばかりに他の木の落ち葉がたまっていました。まるで,シャクナゲの芽が寒さをしのぐために毛布をかぶっているように見えます。
 コースの途中に,ドイツトウヒがあります。おそらくカラマツを植林する際に一緒に植えたものだと思うのですが,この実がばかでかく,はじめは何という名前の木なのか,見当がつきませんでした。長さが15センチもあります。図鑑の写真と見比べてみると希少種であるヤツガタケトウヒに酷似していて,ちょっとワクワクしたのですが,結局,違いました。さて,ドイツトウヒの「巨大松ぼっくり」ですが,これもたくさん落ちていました。やっぱり木の実の「なり年」というのは,いろんな木でシンクロしているのでしょうか。

 遊歩道を出て,車道を乙女に戻ります。途中,道脇にはたくさんのナギナタコウジュが咲いていました。草原のリンドウとともに,秋の終わりを告げる花です。たくさんのニホンミツバチが花粉と蜜を集めに来ていました。どこからともなく一頭のトラマルハナバチも飛んできて,蜜を吸って,飛んでいました。

 ロッジでお昼を食べ,草原内を一周しました。ススキの根元にフユノハナワラビを見ました。そのうちの2本は胞子葉も伴っていました。葉が出ている脇からすっと背を伸ばして,その先に胞子のうを付けています。触ってみたら,黄色っぽい煙のようなものが出てきました。これが胞子なんですね。
 ブナじいさんのところまでも行きました。きっとブナも豊作だろうと思ったのですが,どういうわけか,ブナの実を見つけることはほとんどできませんでした。ブナだけは不作なんでしょうか。
 ヒトツバカエデの淡い黄葉が見事です。

 秋の乙女高原もいいですよ。空は高いし,静かだし,秋晴れの日だったら,富士山がとてもきれいに見えます。
 ただ,気になったのは,この時期に見られるオヤマボクチ・ハバヤマボクチの「昔のパーマの機械」みたいな「巨大下向きアザミ」の花が一個も見られなかったこと。モリアザミの花にも一つしか出会えませんでした。知らず知らずのうちに,顔見知りが一人二人といなくなってしまうようで,寂しいです。これもシカ?
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2.【活動案内】
 ●乙女高原の草原を守る!!草刈りボランティア● 11月23日(火・祝)

 今年で第11回目となる乙女高原の草刈り作業。キッズボランティアとして今年も「ブナじいさんの根元に落ち葉のふとんをかけましょう」という活動を行うことが決定(もちろん,これに参加してもよし,大人と一緒に草刈りをしてもよし)。親子でぜひ,おいでください。
 晩秋の高原でいい汗,かきましょう。

■日 時 11月23日(火・祝) 少雨決行 荒天の場合,28日(日)
     午前9時半から午後2時
■集 合 乙女高原グリーンロッジ
■持ち物 弁当,飲み物,軍手,雨具,おわん・はし(豚汁用),
     お持ちの方は,かま,なた,刈り払い機などの道具。
■参加費 無料(主催者負担で保険に加入)
■内 容 草刈りと,刈った草の運び出し。ロープ回収,草原内のゴミ拾い
     キッズボランティア,豚汁作りなど

焼山林道(塩平〜焼山峠)は通行止めです。くれぐれも「そま口〜柳平・乙女湖〜焼山峠」ルートを通っておいでください。

刈った草はできるだけ運び出します。
そして,遊歩道に敷き入れたり(遊歩道の土が流れるのを防ぐため),軽トラで道路脇の崖崩れのあった斜面に運びます。そこに草のたねを供給し,草原を再生したいからです。これらの作業意図を共通理解し,参加された方々に指示していただくボランティア・スタッフを募集しています。作業がより有意義なものになるように,能率よく,参加者がストレスなくできるよう,ご協力をお願いします。

キッズボランティアとして「ブナじいさんの根元に落ち葉のふとんをかける」作業を行います。基本的には「子ども向け」のプログラムですが,「草刈りがしたい」というお子さんは草刈りをしていただいても結構ですし(ただし,保護者が責任持って),大人でこのプログラムに参加したい方も歓迎します。ここでもボランティアスタッフを募集します。
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