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    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第240号 2010.12.5.
  発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町在住)
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  ▲▼ も く じ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】草刈りボランティア 11月23日(火・祝)
   2.【活動案内】乙女高原フォーラム 2011年2月6日(日)
NEW! 3.【オピニオン】ナラ刈れについて
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0.【ニュースニュース】
●1.今日、乙女高原にいつもの生態系総合モニタリング調査の一環で行って来ました。1日中よい天気で風も穏やか。ぽかぽかあったかくて、最高でした。でも、日陰には先日の雪が結構残っていました。そんな季節になりました。

●2.11月23日。当日は朝まで雨でしたが,天気は急速に回復し、今年の草刈りも無事終了。「連続雨降らず記録」は11(年)となりました。来年の草刈りを今年以上に充実したものにするため,参加なされた方は反省点(よかったことも悪かったことも)をお届けください→1

●3.「シカ・人・乙女高原の今と未来」というテーマで行われる第10回乙女高原フォーラム。すこしずつ内容が固まってきました。ゲストの高槻成紀さんのご講演の題は「シカが植物群落におよぼす影響:草原への影響は複雑」となりました。どのように複雑なのかワクワクしますね→2
 フォーラムのチラシ兼ポスターをサイトに掲載しましたので、ぜひご覧ください
   http://fruits.jp/~otomefc/10th.forum.pdf   (pdf 396kb)

●4.秋の乙女高原で「街の鳥」に出会っています。
 10月29日には、どうも上空を見慣れない白っぽい鳥が旋回してると思ったら、ドバト(公園や大きな神社の境内等にいるやつ)でした。5羽いました。一羽がロッジの庭に下りたので、双眼鏡でじっくり見たところ、頭の羽毛が抜け落ちていていました。なんか無防備な感じに飛んでいるので、猛禽の恰好の餌食になるんじゃないかと思っていたら、案の定、11月14日の草刈りボランティア下見の時、駐車場わきにドバトの羽根が散らばっているのを見ました。
 冬の乙女高原に行くと深い雪の日も、たいがい2羽の(夫婦の?)ハシブトガラスが迎えてくれ、「こんな雪の中、どうやって生き延びているんだろう」と思うのですが、11月27日に行ったときは、たくさんのカラスが盛んに鳴きながら草原上空を飛び回っていました。20羽はいます。何しに来たんだろうと思って観察を続けたら、マユミの木に鈴なり状態で止まっていました。マユミの実をついばんでいます。今年の乙女はマユミが豊作です。里のカラスがとれを目当てに標高が1700メートルもある乙女に来たというのでしょうか。

●5.乙女高原は星空がきれいなことでも有名ですが、じつは今、乙女高原ファンクラブのトップページは乙女高原案内人の杉田さんが撮られた獅子座流星群の写真を掲載しています。ぜひご覧ください。
   http://fruits.jp/~otomefc/

●6.ナラ枯れについてのご意見のうち、東京在住の小澤さんのご意見を掲載します。山梨県の周りの都県ではナラ枯れが報告されており、山梨での発生も時間の問題といわれてはいます→3

●7.(再掲)次回の乙女高原ファンクラブ世話人会は12月15日(水)午後7時半から9時まで牧丘総合会館で行います。ファンクラブ会員であれば世話人でなくても参加できます。おいでください。

●8.(再掲)乙女高原案内人要請講座で動物の講師をしていただいた都留文化大学の北垣憲仁さんが牧丘に来て,講演されます。12月18日(土)午後1時〜2時。牧丘総合会館3階ホール。演題は「野生動物との出会いを通じて」。入場無料。山梨県教職員組合東山梨支部主催の「平和・環境を考える集い」での講演ですが,どなたでも聴講可能で,入場無料だそうです。
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1.【活動報告】
 ●第11回乙女高原の草原を守る!!草刈りボランティア● 11月23日

 前日は一日中かなり強い雨。
 当日、ぼくは5時に起きて、林道をふさいだ木(強い雨で倒れた?)をどかしたり、トイレのチェックをしながら、6時ごろ乙女に着きました。その間、ずっと雨。しかも深い霧。天気予報は回復すると言っているし、雨は急速に小降りになっていたので「大丈夫、できる」と判断し、県の事務局の川島さんと準備を始めました。

 「今年は天気がこんななので、参加者は少ないかな。現に、悪天候のため参加を見合わせる団体も出てきているし」と心配しましたが、結局、今年も200人を越える参加者が乙女の草原を守るために集まってくれました(204人)。

 それに、「あいにく」が「雨」のまくら言葉みたいになっていて、雨というとイベントのかたき役のように言われていますが、悪いことばかりではありませんでした。
 もし、夜の早い時間に雨が止んで、天候が回復していたら、放射冷却により、朝方冷えこみ、道路が凍結していたかもしれません。実はファンクラブ代表世話人の古屋さんは、道が凍っていないか心配で、前日の夜10時ころ焼山峠まで下見に行ってくださったんですよ。朝まで雨だったので、かえって凍結の心配がなかったわけです。
 手刈りの皆さんは濡れた草をつかまなくてはならなかったので、大変だったと思います。草を運ぶのも濡れた分だけ重さが加わりますから大変です。一方で、機械刈りでは、草に水気があった方が刈りやすいし、湿っていたため、ほこりが立たず、アレルギーをお持ちの方からは「今年は思いのほか楽でした」との感想をいただきました。
 林道の落ち葉を集めてブナじいさんの根元に敷くキッズプログラムも、落ち葉が濡れているために風に飛ばされることなく、林道にたくさん積もっていたので、短時間にいっぱい集めることができました。ちりとりを30個も用意したので、落ち葉を集めたり、袋に入れたりするのに、手を冷たくすることはありませんでした。

 もう11回目の草刈りです。続けることに意味があります。流れは例年通り。
 開会行事のあと、班ごとの打ち合わせをして、作業に入りました。
 子どもたちには去年に引き続き「ブナじいさんに落ち葉のふとん」キッズプログラムを用意しました。12時までは作業をし、恒例の温かいトン汁とお茶を参加された方に配りました。トン汁には長蛇の列ができました。完売(売ってはいませんが・・・)でした。
 お昼を食べたら、これも恒例の記念写真。この写真が来年の草刈りチラシに使われます。各班の作業内容を発表してもらう「分かち合い」、そして、閉会行事。
 今年も重篤な事故や病人はなく、無事に終わらせることができました。終了後、ロッジを会場に、有志でお茶会をしました

 さて、今年の新機軸は、刈った草の活用です。林道脇の斜面が崩落し、草がまばらにしかはえてない所があるので、そこまで草を運んで入れました。乙女高原の草のたねを供給し、そこを乙女高原のような草原にしようという実験です。じつは去年も試みたのですが、運んだ草をことごとく誰かに運び去られてしましました。そこで、今年は「ここの草は持って行かないで」という看板を立てました。今後、どうなっていくか楽しみです。

 なお、開会行事のあと、少し時間をいただいて、田丸グリーン基金さんからの活動協力費贈呈式を行いました。田丸グリーン基金さんから活動協力費をいただくのはこれで7回(年)目です。ありがたいことです。

 いちいちお名前は挙げませんでしたが、山梨市・山梨県・乙女高原ファンクラブのたくさんのスタッフの皆さんがいたからこそ無事終わらせることができました。
 また、多くの団体の皆さんのご参加も心強かったです。ぜひ、企業のCSRの絶好の機会としてもご活用ください。

 来年の草刈りを今年以上に充実したものにするために「こういうところはよかったよ」「こういうところは直したほうがいいよ」といったご意見をぜひお届けください。来週、世話人会がおこなわれますので、できれば今週中(11日まで)にいただけると、助かります。
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2.【活動案内】
 ●第10回乙女高原フォーラム● 2010年2月6日

日 時 2011年 2月6日(日)午後1時〜3時30分
場 所 山梨市民会館 3階「千鳥の間」
   http://www.mapfan.com/spotdetail.cgi?SPOTCODE=SHH0BL1
主 催 山梨市,山梨県,乙女高原ファンクラブ
テーマ シカ・人・乙女高原の今と未来
定 員 ありません。どなたでも参加できます。事前申込み不要。
参加費 無 料
ゲスト  高槻成紀(たかつき・せいき)さん(麻布大学教授)

 【開催趣旨】
 乙女高原フォーラムでは前々回から連続して「シカ」をテーマにしています。増えたシカたちが草原内の草を特定の種類から順に食べてしまったり,周囲の森の木の幹を剥いでしまったりして,ここ数年で乙女高原の自然を急激に変えているという危機感からです。フォーラムで学んだことやフォーラムで培ったネットワークを活用して具体的な対策も始めました。あくまで研究目的ですが,2010年5月,草原内にシカ防護柵を設置したのです。柵の内と外とでは,微妙な変化が生まれつつあります。
 今回のフォーラムでは,乙女高原に設置したシカ柵のモニタリングの途中経過を報告したり,山梨各地でシカ食害に取り組む方々のお話を聞いたり,ゲストとしてお願いした高槻さんの講演をお聞きしながら,今後,私たちが乙女高原でシカたちとどのようにつきあっていったらいいか,一緒に考えていきたいと思います。

 【高槻さんのプロフィール】
東北大学、東京大学を経て、現在麻布大学獣医学部教授。専門は動物生態学。宮城県金華山のシカに次いで、五葉山のシカの研究をする。その後、各地の野生動物の調査にとりくむ。また海外でもスリランカのアジアゾウ、モンゴルのモウコガゼルなどの保全研究も手がける。著書に「北に生きるシカたち」(どうぶつ社)、「歯から読みとるシカの一生」(岩波書店)、「シカの生態誌」(東京大学出版会)、「野生動物と共存できるか」(岩波ジュニア新書)など。

※開催1カ月ほど前から,会館ロビーにて「ようこそ乙女高原へ」展Xを開催する予定です。こちらもぜひ,見に来てください。
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3.【オピニオン】 ●ナラ枯れについて●

 以下は、東京の小澤さんよりいただいたメールです。福井の矢村さんからは、福井新聞に載ったナラ枯れの記事を送っていただきました。10月16日付けで、「ナラ枯れ過去最悪か」「猛暑で樹木弱り感染」「福井倍増88ヘクタール前年度比」との見出しがありました。お二人ともありがとうございました。
 なお、山梨県では、森林総合研究所から注意を喚起する情報が出されていて、それによると、他見から入ってくるシイタケ原木や薪に神経をとがらせているようです。
   http://www.pref.yamanashi.jp/shinsouken/documents/76675236103.pdf

●ナラ枯れについて
  調べてみましたが、カシノナガキクイムシ(以下、カシナガと記す)の起源はまだよくわかっていないようです。 ただ南九州などには戦前からあったという文献記録があるようです。
    http://www.fsm.affrc.go.jp/Nenpou/other/nara-fsm_201003.pdf

 カシナガの分布域として台湾、インド、東南アジアとあるので、カシナガは穿孔性昆虫であり、流木にのって南九州にやってきたのではと推測しました。となれば自然分布ですので、南九州のカシナガは外来種ではないということになります(もちろん、人為的にやってきた可能性も排除できません)。

 しかも、南九州では今回の日本海側のような爆発的な広がり方をしていませんので、何らかの抑制因子(多分天敵)があるのだろうと思います。それに対して、日本海側での状況は、飛び地発生で、外来種に見られるのと同様の広がり方ですので、天敵を伴っていないと考えられます。何か偶発的な侵入があったのではないかと思います。

 つまり、まとめるとこういう推理(仮説?)になります。
 もともと南日本には自然分布(流木などが起源?)のカシナガがいた。しかし、天敵(寄生バチ)などの存在で大きく広がるようなことはなかった。今回のカシナガはそれとは別に日本にやってきた(流木の可能性もあるが、輸入材が起源かもしれない)。天敵が存在せず急速に広がった。
 南日本のカシナガが今回の発生地に運ばれた可能性もあります。

 カシナガの遺伝子を調べる、シイタケの原木、あるいは製紙チップの移動経路をトレースするなどすればある程度はわかるかもしれません。
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