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乙女高原ファンクラブ 公認
乙女高原メールマガジン 第244号 2011.2.10.
発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町在住)
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▲▼ も く じ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】第10回乙女高原フォーラム その1
2.【活動案内】2010年度定期総会と座談会 3月13日(日)
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0.【ニュースニュース】
●1.今回で第10回となる乙女高原フォーラム(テーマは「シカ・人・乙女高原の今と未来」),盛会でした。縁の下の力持ちとしてフォーラムを支えてくださったスタッフの皆さん,講師・報告者の皆さん,参加してくださった皆さん,ありがとうございました。
なお,フォーラムのダイジェスト版が地元ケーブルテレビで見られます。
山梨CATV・デジタル111ch・アナログ9chで2月18日(金)〜20日(日) 21:00〜の「ほっと山梨ワイド版」という番組です(→1)
●2.(再掲)3月13日(日)午後2時より乙女高原ファンクラブ定期総会を行います。
今回は世話人の改選が行われます。乙女高原ファンクラブの世話人には,会員であればどなたでも立候補できます。任期は2年間です。ファンクラブを発展させるために,多くの方に立候補していただきたいと思います。よろしくお願いします(→2)
●3.総会後の座談会の話題提供者を,乙女高原で昆虫相調査を行っている槐(えんじゅ)真史さんにお願いしました。槐さんは博物館の学芸員で,ご専門は博物館学・地域自然誌学です。お話のタイトルは
「 虫の目から見た乙女高原の過去と今
〜昆虫相調査の中間報告〜 」
ぼくは乙女高原で何回か槐さんにお会いしているのですが,いつも小さなお子さん二人を神奈川から連れて来ての,つまりはお子守り兼調査をしていらっしゃいました。一人で小さな子二人の面倒をみるのだけでもたいへんなのに,それで調査もしているなんて,まさに家庭と仕事の両立,これぞイクメンと思いました。そんな槐さんのお話をお楽しみに。
●4.次回世話人会は2月23日(水)午後7時30分から牧丘総合会館です。ファンクラブ会員ならどなたでも参加できます。ぜひおいでください。
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1.【活動報告】 ●第10回乙女高原フォーラム●
2月6日,穏やかな日曜日。午前11時にスタッフ集合。全体で打ち合わせをした後に,各係ごとに分かれて打ち合わせ・準備を開始しました。予定の12時までには講師・報告者の皆さんもお集まりになり,プロジェクターの映り具合を確認していただいた後,昼食と打ち合わせを行いました。
そして,午後1時,いよいよフォーラムがスタートです。司会は山梨市観光課の藤原さん。山梨市長の竹越さんと峡東林務環境事務所長の杉山さんからご挨拶をいただいた後に植原がマイクを引き継ぎ,パート1として乙女高原ファンクラブの取り組み報告をファンクラブ世話人の三枝さんから,@シカ柵設置の中間報告を同じくファンクラブ世話人の竹居さんからそれぞれしてもらいました。パート2は県内でシカ問題に取り組む3地域からの報告をいただきました。A櫛形山から広瀬さん,B八ヶ岳南麓から吉柳さん,C三窪高原から志村さんと雨宮さんです。パート3として,今回のゲスト高槻さんのお話をたっぷりお聞きしました。講師紹介をファンクラブ世話人の芳賀さんにしていただきました。そしてフロアからの質問に答えたり意見交換したりする時間を取り,最後にファンクラブ代表世話人の坂田さんがお礼のあいさつをし,フォーラムが閉幕しました。
片づけが終わった後は,ファンクラブ恒例の茶話会。茶話会に残ってくださった方が30名を越えていたので,今回はお一人一人から一言を聞く時間は取らず,おしゃべりをする時間としました。
スタッフの皆さん,講師・報告者の皆さん,参加してくださった皆さん,ほんとうにありがとうございました。ここで学んだことを糧に,乙女高原の自然を守っていきましょう。@からCについての概要を以下に載せます。
高槻さんのお話については、次号のメールマガジンをお楽しみに。
●@乙女高原へのシカ柵設置中間報告
遊歩道づくりが行われた2010年5月9日,草原内に2箇所,湿地に1箇所の計3箇所にシカ柵を,多くのボランティアの皆さんのご協力により設置した。 設置後,ほぼ1週間に1回のペースで,それぞれのシカ柵の周囲の状況と内側の状況をカメラで撮影し,観察できたことを記録した。
6月5日には,柵の外でタムラソウとシシウドの食害(両者とも葉)が認められた。7月10日には,今度は柵の外でタムラソウとハンゴンソウの食害(両者とも葉)が認められた。シカ柵の外は内側に比べて草丈が低くなっていた。7月25日にはシカ柵の内側でラン科のミズチドリが,乙女高原では4年ぶりに開花した。8月8日には,柵の内側で今年初めてオミナエシの花を確認した。柵の中では3株のオミナエシがあったが,草原内の遊歩道を歩いても1株しか見つからなかった。クガイソウやカワラナデシコの個体数も柵内の方が多いように見えた。
●A櫛形山からの報告(南アルプス市みどりしぜん課 広瀬和弘さん)
地元の巨摩高自然科学部による昭和56年の調査によるとアヤメ平、裸山の総数で株数約2千9百万本というアヤメ大群落があったのだが、当時から開花数の減少が指摘されていた。平成19年にはほとんど咲かなくなってしまい,アヤメ祭りも中止せざるをえなくなった。
そこで,平成19年,南アルプス市櫛形山アヤメ保全対策調査検討会を設置し,アヤメの状況を調査して原因を特定し,対策を考えることにした。そして、当時話題になったニホンジカの「食害」から守ればアヤメはどうなるか・・・まずはネットを張ってシカという要因を除去し,ネット内外にコドラートを設置し,植物の生育に違いが出るのかを観察することにした。ネットの内外では植物の生育に非常に大きな違いが出た。また,無人のカメラを設置したところ,シカが草を食べている様子が写っていた。
平成21年,ネットの中ではテガタチドリが復活した。22年には四十数株のアヤメが復活開花した。
今後の課題として次のようなことが考えられる。
・ネットは果たして永久に設置するのか
・ネット資材の有効活用(登山道整備や再利用)
・大規模ネットには定期的メンテナンスが必要だが過大なコスト、負担)
・大規模にネットを設置すると野生動物の移動に影響が生じる⇒他地域への被害拡大
・櫛形山の資産の再評価が必要
・草原維持のための人為的な作業とモニタリング
・野生動物の適正頭数管理(モニタリング)
●B八ヶ岳南麓からの報告(八ヶ岳自然クラブ シカ・グループ代表 吉柳俊孝さん)
八ヶ岳南麓でシカ調査を行うきっかけは2000年のシカ観察会だった。定期的な調査は2002年から八ヶ岳南麓におけるシカの生息状況を調べるために行っている。
調査地は標高約1200メートル。面積は約1?。ほとんどは県営牧場の放牧地と採草地。調査ルートは往復4.5キロメートル。高原道路を自家用車で走りながらサーチライトでシカの姿を探し,観察する。見られた場所と頭数を記録している。毎年,12月から翌年3月まで,おおむね月3回調査を行っている。
今までの調査の結果から,1)シカは増えている 2)ひとつの群の頭数も増えている(群が大きくなっている) 3)12・1月は特に多く出現する…ことが分かった。
シカが増えることによって,幼樹の食害,樹皮はがし,牧草の減少,庭や菜園の食害,鉄道の運転障害,自動車との衝突…といった問題が生じている。
今後の課題として,1)調査結果の検証 2)八ヶ岳自然クラブ内の他グループとのデータ交流 3)夏季の調査…の3つがある。
●C三窪高原からの報告(甲州市観光協会会長 志村 功さん,
甲州市観光交流課 雨宮洋太さん)
三窪高原は昭和47年,「三窪のレンゲツツジ及び生息地」として県の自然記念物に指定された。レンゲツツジ以外の草花の宝庫でもある。歩道やトイレの整備を行政が行っている。
レンゲツツジの減少に危機感を持ち,平成15年に実態調査を行った。平成17年にはシカによる食害を確認した。平成16から17年にかけて奥多摩の多摩川水系から分水嶺を越えて富士川水系に爆発的に拡大したと理解している。三窪高原ツツジ祭りを開催していたが,平成18年の三窪高原ウォークを最後に休会した。
平成19年よりシカ柵を設置し始め,平成21年までに9カ所設置した。鉄パイプ・鉄鋼による柵,鉄パイプ・忌避剤混入ネットによる柵,樹脂皮膜鋼管・忌避剤ネットによる柵と,様々なタイプの柵を設置した。それぞれメリット・デメリットがある。
平成22年にはシカ柵内でレンゲツツジの実生を確認した場所にポールを建てた。計100本になった。実生が他の草の陰になったところもあったので,実験的に草刈りをしてみた。草刈りしない,草刈りして草を持ち出す,草刈りして草を放置するという3つの実験区画を作った。今年の春以降に実験の経過を観察したい。
今後の課題として,1)広域連携(国、東京都水道局、県、多摩川源流協議会、多摩川源流研究所、大菩薩観光協会、甲州市観光協会、大学、その他同じような悩みを抱える団体等) 2)調査(シカの生態調査。GPS。) 3)イベントの開催(植樹イベント)等がある。
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2.【活動案内】
●2010年度定期総会と座談会●
日時 3月13日(日)午後2時〜
机や椅子を並べる作業を1時30分から行います。お手伝いいただける方はこの時刻までにお願いします。
場所 牧丘総合会館 3階大ホール(場所は以下アドレス参照)
http://www.mapfan.com/m.cgi?MAP=E138.43.2.5N35.43.58.2&ZM=11
総会のプログラム概要
・2010年度活動報告
・2010年度決算報告と会計監査報告
・2011年度活動計画
・2011年度予算
・世話人の改選
世話人は2年ごとに決めています。会員であればどなたでも立候補できます。総会で承認されれば2年間世話人としてファンクラブの運営に中心的に関わっていただきます。みんなの財産である乙女高原を次世代に確実に譲り渡すために2年間,骨を折っていただけませんか?
座談会
・話題提供者 槐(えんじゅ)真史さん
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