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    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第329号
 2015.8.8.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】マルハナバチ調べ隊(8/02)
NEW! 2.【視察報告】奥日光の谷地坊主とシカ柵(7/26-27)
     3.【活動案内】乙女高原を歩こう (8/23)
NEW! 4.【活動案内】マルハナバチ調べ隊(9/06)
NEW! 5.【活動案内】9月の草刈り実験 (9/13)
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0.【ニュースニュース】

●1.毎日うだるような暑さが続いていますね。
 乙女高原では2010年から百葉箱内で1時間ごとの気温を測定していますが,「その年の最高気温」は2010年が26.5℃,2011年25.5℃,2012年27.0℃,2013年27.5℃,2014年26.0℃。今年のデータはまだ回収していませんが,甲府盆地がどんなに猛暑でも,乙女高原はこんなもんです。涼しい風が吹く乙女高原にぜひおいでください。
 なお、新聞報道(2015.8.6.山梨日々新聞)等でご存じのことと思いますが、今年中に乙女高原全域を囲うシカ柵が設置されます。もちろん、シカ柵は景観に十分配慮されて設置される予定ですが,とにもかくにも,「シカ柵のない乙女高原」は今年が見納めです。あるいは,来年から復活していく「乙女高原の花野(はなの)」の,今年がスタートラインともいえます。そんな乙女高原の草原の様子をぜひ,まぶたに焼き付けておいていただきたいと思います。

●2.今年2回目のマルハナバチ調べ隊が開催されました。今回,なんと子どもたちがマルハナバチの紙芝居をしてくれたそうです!! ぼくは都合が悪くて欠席でしたが、三枝さん、芳賀さん、内藤さん、井上さんがスタッフを引き受けてくれました。ありがとうございました→1

●3.「乙女高原の湿地に谷地坊主がたくさんあるよ」という話はいろいろなところでしています。ところで,全国で谷地坊主が有名なところって、どこだと思いますか? 一カ所は北海道の釧路湿原。ここでは、谷地坊主が釧路市指定の天然記念物になっています。昨年、行って見てきました。
※メールマガジン→ http://fruits.jp/~otomefc/maga313.html
※ブログ→ http://blog.goo.ne.jp/otomefcact/e/b779a8fd1ead6569a60958a8be78e051
もう一カ所は奥日光の戦場ヶ原の湿原です。今年の夏、この戦場ヶ原を歩いてきました。谷地坊主のこともですが、なんと、ここに設置18年目となるシカ柵もありました。その様子をレポートしました→2

●4.8月23日(日)は乙女高原の自然観察会「乙女高原を歩こう」。この日は,谷地坊主一つをまるまる切り取って、輪切りにし、その様子を観察する・・・という前代未聞のプログラムを実施します。ぜひ、ご参加ください→3

●5.今年度いっぱいで牧丘・三富地区の4つの小学校が統合され、一つの小学校になってしまいます。牧丘第一・第二小学校から乙女高原の案内を依頼されていますが、この2つの小学校から案内を依頼されるのもこれが最後となります。乙女高原案内人の皆さん,ぜひ、案内活動にご協力をお願いします。なお、すでにお知らせしました通り、本当に微々たるものですが,案内活動には交通費が至急されます。
・9月2日(水)午前9時から11時半。牧丘第一小学校5年生16名のガイド
・9月9日(水)午前9時半から11時半。牧丘第二小学校5年生6名のガイド
 立候補してくださる方は,このメールに返信してください。

●6.NHK総合テレビ日曜の朝「さわやか自然百景」のロケが進められています。先日は、今なにかと話題になっているドローンを草原の上に飛ばせて、鳥の目で乙女高原を見る・・・という撮影をしていました。どんな作品に仕上がるのか楽しみですね。放映日が決まったら、ご報告します。

●7.次回世話人会は9月16日(水)午後7時半から牧丘総合会館です。ファンクラブの会員であれば,どなたでも参加できます。ぜひどうぞ。

●8.乙女高原での活動ではありませんが、夜の自然観察を楽しみませんか? 神秘的なセミの羽化シーンが見られる可能性が高いです。
 8月14日(金)午後7時から8時半。笛吹市春日居町鎮目の山梨岡神社の境内がフィールド。
 対象は小学生20名ですが,大人の見学もできます。ご相談ください。
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1.【活動報告】 ●マルハナバチ調べ隊● (8/02)

 都合が悪くて,植原は欠席でした。その夜、さっそく三枝さんから報告の電話をいただきました。「いやー、乙女高原も暑くて,たいへんでした」とのこと。参加者は11人。

 さて、午前中はラインセンサス調査。結果は以下の通りだったそうです。

Aさん
・ミー 計26頭 (→ノハラアザミ14,ノアザミ1,クガイソウ6,クルマバナ4,ヤマハギ1)
・トラ 計04頭 (→ノハラアザミ3,ノアザミ1)
・オオ 計09頭 (→マルバダケブキ2,クガイソウ7)

Bさん
・ミー 計38頭 (→ノハラアザミ18,ノアザミ2,クガイソウ12,クルマバナ1,ヤマハギ1,タチフウロ4)
・トラ 計04頭 (→ノハラアザミ3,ウツボグサ1)
・オオ 計09頭 (→マルバダケブキ2,クガイソウ7)

マルハナバチ・ラインセンサスといっても,人によって見ているマルハナバチは少しずつ違っているので,数も違ってくるのは当然です。マルハナバチ総数はAさんが39頭,Bさんが51頭。多い方の51頭としても,この時期にしては,はやり少ないです。ですが,昨年の11頭と比べると,少し回復している感じがしました。ちなみに今までの8月のマルハナバチ・ラインセンサス調査の結果は以下の通りです。

(年) (天気) (マルハナバチ総数)
・2004  曇    47
・2005  ?    64
・2006  曇   295 (最高)
・2007  曇    49
・2008  曇    68
・2009  曇    63
・2010  曇    47
・2011  曇   35
・2012  晴   65
・2013  曇   69
・2014 曇 11 (最低)
・2015 晴 51

午後から、いよいよマルハナバチ紙芝居をさくやくん・はなちゃんの二人の小学生がやってくれたそうです。いやー、聞きたかったなあ。もっとも、事前に三枝さんがシナリオを書いてくださり、それを読めばいいようになっていました。さすが、準備万端だと思いました。

紙芝居の後は、いよいよ待ち伏せ調査。自分で決めた花の前で15分間マルハナバチを待ち伏せし、記録します。結果は以下の通りでした。

・マルハナダケブキ 調査者4人 合計55分 合計26頭(トラ1,オオ20,ミー4,ホン?1) 1時間当たり28頭
・クガイソウ 調査者6人 合計90分 合計23頭(トラ1,オオ8,ミー14) 1時間当たり15頭
・ヤマハギ 調査者1人 合計15分 合計10頭(トラ1,オオ1,ミー8) 1時間当たり40頭
・ノハラアザミ 調査者1人 合計15分 合計04頭(ミー4) 1時間当たり16頭
・イケマ 調査者1人 合計10分 合計02頭(トラ1,オオ1) 1時間当たり12頭

最後に一言感想を書いていただき、調べ隊を終わりにしたそうです。

・マルハナバチのかんさつができて よかったです。わかりました(子ども)
・おーちゃん,みーちゃんが見れてよかった。最後のまくらなげが楽しかったでーす。また来たい(子ども)
・ホンシュウハイイロマルハナバチが見れてうれしかった。かみしばいをして、ちょっとはずかしかった。うるさかった。ちょっとわかりやすかった(子ども)
・ほんちゃんを見られてうれしかった。紙芝居はたいくつの4文字で終わった。大人以外、みんなまともに聞いてなくて、イライラした(子ども)
・おおちゃん、みいちゃんをみて、うれしかったです(子ども)
・昨年よりマルハナバチを見ることができました。楽しかったです。今年、シカ柵ができると会報から知りました。乙女高原の花畑が復活することを祈ります(大人)
・マルハナバチの紙芝居を作ってみました。わかりやすかったと。マルハナバチの見分けがやっとつくようになりました(大人)
・暑かったが、日陰は涼しく,さわやかだった。マルハナバチも、前回に比べると多くいて、よかった。シカ柵内にオミナエシやワレモコウが多く,マツムシソウもあって,すばらしかった。早くシカ柵が完成するとよいと思う。子どもたちがマルハナバチの紙芝居をやって、ほほえましかった(大人)
・乙女高原でも30℃あり暑かったが,日を遮れるところでは涼しく,快適でした。先生のいない調べ隊は初めてで、寂しかったですが,さくやくん・はなちゃんの紙芝居、早口で緊張感が伝わってきました(大人)
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2.【視察報告】 ●奥日光・戦場ヶ原の谷地坊主とシカ柵● (7/26-27)

■はじめに
 「谷地坊主」でサイト検索をし,一番ヒットするのが「釧路湿原を中心とした道東の谷地坊主」,次が「谷地坊主という名の神戸の焼鳥屋さん」,「マンガ・釣りキチ三平に出てくる谷地坊主(登場人物の名前)」,そして「奥日光の谷地坊主」です。つまり,谷地坊主が有名な場所となると,釧路湿原と奥日光ということになります。釧路湿原は昨年訪れて,谷地坊主について見たり聞いたりしてきたので,今回は2015年7月26日から27日にかけて奥日光を訪ねることにしました。
 行く前に,奥日光の谷地坊主が掲載されているサイトを調べていて,気になる記述がありました。奥日光・戦場ヶ原の遊歩道に設置されている看板です。看板にはこうありました。
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川の中をよく見ると,丸くもり上がった草の株が見られます。スゲの仲間が株をつくっているもので「谷地坊主」と呼ばれています。これは水位が変動するところにできるもので,体が水につからないようにしているのです。 環境省。
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 これは,ぼくがいままで谷地坊主の形成について学んできた見解や観察結果と異なっています。私は自分が学んできたことや観察してきたことをもとに,毎日新聞「自然は宝箱」に次のような記事を書いています(2014.12.26)。
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 山地の湿地に彼らはいます。どう見ても「ゲゲゲの鬼太郎」の頭髪のような不思議な塊。名前は谷地坊主。谷地とは湿地のことです。
 細長い葉を持つスゲという植物の一群がありますが,谷地坊主を作っているのは,その中でも湿地を好む特定の種です。春から秋にかけてスゲの地下茎がよく生長した後に,冬に根元の土が凍ると,霜柱が地面を持ち上げるように,株ごと持ち上げられます。さらに,翌年の春先には持ち上がった根元が雪解け水でえぐられ,株全体が少し高くなります。それを繰り返して数十年後には,全体的に丸みのある独特な形になるそうです。
 水の流れが速すぎると根元を削りすぎてしまうし,遅いと根元をえぐれません。ほどよい速さの水の流れが必要です。冬に根元の土が十分凍るほどの厳しい寒さも必要です。かといって,雪の多い地域ではあまり見かけません。雪の下はかえって保温されてしまうからです。
 このように,さまざまな条件が重なってようやく谷地坊主が生まれるのです。
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 奥日光の谷地坊主のでき方と,釧路湿原や霧ヶ峰,乙女高原の谷地坊主のでき方は違うのか?――それを確かめることが,今回の旅行の目的に加わりました。


■日光自然博物館での情報収集
 華厳の滝の入り口付近に,栃木県立の日光自然博物館がありました。じつは,訪ねたときにスムーズに対応していただくために,出かける10日ほど前に,この博物館に手紙を出しておきました。
7月26日の午後,博物館を訪問しましたが,私の手紙はどういうわけか行方不明になっていて,どなたも心当たりがないという。でも,営業係長の森田孝道さんがていねいに対応してくださいました。奥日光の谷地坊主観察スポットを地図上で教えていただいたり,博物館の谷地坊主の展示を見せていただいたりしました。ただ,一番知りたかった「奥日光の谷地坊主はほんとうに,体が水につかないように」あの形になっているのか,そして,その見解はいつ,だれが出したものなのか・・・はご存じありませんでした。また,奥日光の谷地坊主に関する観察記録や研究記録も「わからない」とのことでした。


■中禅寺湖畔の谷地坊主
 宿は中禅寺湖畔にとりました。翌7月27日早朝,一人で湖畔を散歩しましたが,その途中で谷地坊主らしきものを見ました。乙女高原で見慣れている谷地坊主の環境とはまったく違って,「ちょろちょろとした流れのある谷状の湿地」ではなく,湖畔の岸にあります。こんな環境にある谷地坊主ならば,環境省の看板にあった「水位が変動するところにできるもので,体が水につからないようにしている」という説明も納得できます。
 でも,乙女高原でも,谷地坊主のように見えて谷地坊主ではないスゲ株が観察されています。谷地坊主の葉の生え際の部分は地面(水面)から盛り上がっており,ちょうどまんじゅうの上に草が生えているように見えます。ところが,「谷地坊主のように見えて谷地坊主ではないもの(私は個人的に「谷地坊主もどき」と呼んでいる)」は地面(水面)すれすれが葉の生え際になっています。この「もどき」も,特に冬になると「ゲゲゲの鬼太郎の頭」そっくりになってしまうので,間違いやすいものです。もしかしたら,湖畔のこれも「もどき」かもしれないと思い,崖を降りて確認しましたが,地面の盛り上がり(というより,この株の根がからみあったもののようだった)があったことから,谷地坊主であると判断しました。
 観察できたのは,この一つのみ。孤高の谷地坊主でした。


■奥日光・戦場ヶ原の谷地坊主
7月27日は1日かけて戦場ヶ原周辺を歩いて,谷地坊主を探しました。車を赤池自然情報センター前の駐車場に置き,センターの展示を見て,国道から赤沼の中の谷地坊主を観察し,自然研究路を歩きました。泉門池のほとりで弁当を食べ,小田代原も見て,赤池まで戻ってきました。そこから車に乗って,光徳池の近くまで行き,光徳沼の谷地坊主を観察しました。

❶赤池自然情報センターでの谷地坊主情報
 ここの説明も「・・・水が増えても水没しない高さまで育っているものが多く見られます」と,谷地坊主の形成は水位の変化が原因であるというものでした。

➋赤池の谷地坊主(?)
 赤沼自然情報センターから国道に出ると,道路はすぐに小川を渡っていました。その小川の岸辺に谷地坊主らしきものを見つけました。次に,国道のガードレール越しに赤沼を見ようと思いましたが,背の高い草に邪魔されて,なかなか中が覗けませんでした。しばらく歩いて,ようやく草が途切れ,中が見える箇所があったのですが,双眼鏡で確かめてみると,流れのありそうな水辺に谷地坊主らしきものの群れが見えました。2箇所とも近寄って,「ゲゲゲの毛髪」をめくって中を確かめることができない場所だったので,ほんとうに谷地坊主だったかどうかは確認できませんでした。

➌戦場ヶ原・湯川の谷地坊主
 いよいよ戦場ヶ原の遊歩道を歩き始めました。ホザキシモツケの花が大群で咲いており,見事でした。イブキトラノオ,ハクサンフウロ,ワタスゲ,クサレダマ,コバギボウシなど,乙女高原では馴染みのない花にもたくさん出会えました。また,巨大な望遠レンズをつけた三脚付きカメラを持っている人にも多数会いました。野鳥,とくにノビタキをねらっているようでした。ルアーの釣り竿を持っている人にも出会いました。私は遊歩道から外れないで谷地坊主観察をしたので,それがほんとうに谷地坊主だったか十分確かめきれない箇所もあり,でも、それは仕方のないことだと思っていました。ところが,釣り竿を持っている人は,当然だが,遊歩道を外れて,川の中に入っていきます。同じ場所なのに,ハイカーと釣り人で自然に対するマナーが異なっているというのは大きな課題だと感じました。
 遊歩道にほぼ平行に流れる湯川の岸辺に谷地坊主らしきものが見られましたが,前述の通り,近づいて確認することはできませんでした。中には遠くから見ても谷地坊主だとわかるものもありましたが,遠くからだとあやしいものもありました。

 谷地坊主の看板は戦場ヶ原に2つありました。そのうちの一つは谷地坊主が群落を作っているところにありました。ちょろちょろとした流れのある谷状の湿地であり,乙女高原の谷地坊主環境に似ていました。遠くから見ても,谷地坊主と分かりました。

 ようやく遊歩道のすぐ近くで谷地坊主が観察できる場所がありました。接写で穂の写真も撮れました。

 2枚目の谷地坊主看板は,開けた場所にありました。ヨシが生えていたことから,乾燥化が始まっているのではないかと思いました。確かに谷地坊主のようなものは見られましたが,谷地坊主といえるほど発達していない感じがしました。というより,今より乾燥化してなかったころは,ここにも水の流れがあって谷地坊主が発達していたのに,乾燥化が進んだことによって,谷地坊主が発達しなくなって(崩れてしまって?),このような景観になってしまったのではないかと思われました。

❾光徳沼の谷地坊主
 戦場ヶ原から小田代原へのハイキングを終え,車に乗って光徳沼に向かいました。駐車場に車を置き,車道の反対側にある光徳牧場の柵に沿って歩いていくと,その沼がありました。今日1日歩いた中で,一番多くの,立派な,そして谷地坊主らしい谷地坊主が見られたのがこの沼でした。
 ここは特に柵もなかったので,持参した長靴に履き替え,一つ一つの谷地坊主をじっくり確認しました。谷地坊主は,いずれも流れの岸辺に並んでいました。
 流れの岸辺や流れの中に大きな株が見られました。流れがなく,乾燥化が進んでいる箇所にも少しは谷地坊主が見られたが,崩れかけている感じがしました。


■小田代原のシカ柵
 7月27日には,戦場ヶ原とともに奥日光を代表するもう一つの湿原である小田代原も歩きました。ここにはシカ柵が設置されていて,湿原を周回する遊歩道を歩くためにはシカ柵の中に入らなくてはなりません。シカ柵内に入る扉は片開きや観音開きではなく,回転式で,目新しかったです。シカ柵の手前にはグレーチングもありました。シカは足が細いので,足がはまりそうで,嫌がるのかなと思いました。回転扉の左右20mほどは金属製でしたが,それ以遠は電気柵になっていました。
 このシカ柵は栃木県と環境省が平成9(1997)年度に設置したそうです。周囲は3km。設置されてから18年も経過しているシカ柵があることに,まず驚きました。
 シカ柵の外も歩いてみましたが,コバギボウシやクガイソウ,イブキトラノオなどがシカ柵内と遜色なく咲いていました。一見して、シカ柵は必要ないのではないかと思われるほどでした。

 しかし,帰ってから調べてみると,なんと戦場ケ原一帯全体がシカ柵で囲われていたのです。つまり,今日歩いた赤沼も戦場ヶ原も小田代原も全部まとめてシカ柵の中だったのです。小田代原のシカ柵の外側に戦場ヶ原のシカ柵が二重に張りめぐらされていたということです。唯一,シカ柵外だったのが光徳沼でした。もう少し看板等でハイカーに「皆さんが歩いているのはシカ柵の中です」ということを説明したほうがいいと思いました。
 なお、戦場ヶ原全体の柵設置は平成13(2001)年度。事業主体は環境省。総延長はなんと17㎞にもなるそうです。柵は国道を交差していたはずですが,気づきませんでした。それもそのはず。道路上は柵で通行止めにしたり,扉を作っていちいち開け閉めするわけにもいかないので,グレーチングを設置しているのだそうです。

 シカ柵設置の根拠となっている「戦場ヶ原及び周辺地域へのシカ侵入防止柵設置にかかる基本方針(第3回日光国立公園戦場ヶ原シカ侵入防止柵設置検討会 H12.10.2 合意)」には,このような記述があり,興味深く読みました。「柵の設置はあくまでも緊急避難的措置と位置づけ,必要性が薄らいだ時点で,柵の撤去について検討する。」
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3.【活動案内】●乙女高原を歩こう● 8月23日(日)

 乙女高原を歩きながら動植物の観察をし、湿地で谷地坊主の観察をします。
 乙女高原で谷地坊主をじっくり観察する初めての試みです。ぜひご参加ください。一つの谷地坊主を切って断面の様子を観察したりします。

■日 時 8月23日(日) 小雨決行 午前10時から午後2時半くらいまで
■集 合 乙女高原グリーンロッジ
■持ち物 弁当,水筒,筆記用具
■参加費 無料。
■内 容 動植物の観察。谷地坊主の観察。
■問い合わせ・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(このメールに返信を)

※行事災害保険にはファンクラブで加入します。
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4.【活動案内】●マルハナバチ調べ隊● 9月6日(日)

 今年も愛くるしく,乙女高原随一のインタープリターであるマルハナバチたちの働きぶりをじっくりと見せてもらいましょう。

■日 時 9月6日(日) 雨天中止 午前10時から午後2時半くらいまで
■集 合 乙女高原グリーンロッジ
■持ち物 弁当,水筒,筆記用具,時計(腕時計や携帯電話の時計で十分です)
■参加費 無料。
■内 容 午前中は調査の説明とラインセンサス調査。午後はまちぶせ調査。
■問い合わせ・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(このメールに返信を)

※行事災害保険にはファンクラブで加入します。

※年に3回調査をするマルハナバチ調べ隊は,今年で13年目。
 第1回 6月28日(日)・・・楽しく終了。ラインセンサス0。
 第2回 8月 2日(日)・・・楽しく終了。ラインセンサス51。
 第3回 9月 6日(日)・・・今回
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5.【活動案内】 ●草の刈り取り実験● 9月13日(日)

 草原内で違う時期に刈り取りをし、その影響をモニタリングし、刈り取りに対する草原植物の反応の違いを明らかにします。刈り取り実験区は,ひとつの処理について10m四方の方形区。今年は実験・調査の3年目です。このプロジェクトは麻布大学野生動物学研究室との協働事業です。

①6月区:6月に区内の全植物を刈り取って効果をみる。
②9月区:9月に区内の全植物を刈り取って効果をみる。
③11月区:11月に区内の全植物を刈り取る(現行の刈り取りの効果の確認)。
④2度刈り:6月と9月に区内の全植物を刈り取って,2度刈りの効果をみる。
⑤選択刈り:6月に区内のススキのみを刈り取って効果をみる。
⑥刈り取りなし:全く刈り取りをしない区。

・刈り取りは地上部10cm程度の部分を機械または手刈りで刈り取ります。
・刈り取り直後に主要種について30個体程度を選び、ビニールテープでマーキングします。
・その後10月まで、毎月草丈の測定をします。


●草の刈り取り実験
その1=6月の刈り取り 6月14日(日)・・・無事,終了
その2=9月の刈り取り 9月13日(日)小雨決行 午前10時から12時30分

■集 合 乙女高原グリーンロッジ
■持ち物 ある方は軍手 必要な方は弁当,水筒など
■参加費 無料。
 ※刈り払い機使用も大丈夫な保険に加入します(ファンクラブで負担します)。
■問い合わせ・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(このメールに返信を)-
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