乙女高原ファンクラブトップ > メールマガジン > 第333号(2015.10.3)



□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第333号
 2015.10.3.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【参加募集】乙女高原観察交流会
    2.【活動案内】草刈りボランティア(11/23)
    3.【活動案内】乙女高原フォーラム(2016/1/31)
NEW! 4.【書籍紹介】高槻先生の本2冊
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

0.【ニュースニュース】

●1.9月29日に、ニュースレター1503号(通算57号)を郵便局から発送しました。今回の「封筒詰め作業」は鳴沢村の加藤さんにやっていただきました。加藤さん、ありがとうございました。
 ニュースレターの発送までの手順は、
 ①事務局で編集・印刷→
 ②封筒詰め係のお宅に宅配便で送付→
 ③係の方による封筒詰め。作業終了後、事務局に返送(着払い)→
 ④事務局が郵便局に持ち込み、「料金別納郵便」にて発送
・・・という4段階です。
 ファンクラブの事務局が(市町村合併に伴い)(当時)町役場から植原宅に代わった時点から、加藤さんと牧丘の竹居さんのお二人にこの封通詰め作業をずっとお願いしてきましたが、牧丘の古屋さんと大月の井上さんも立候補してくださいました。今後、このお二人にも封筒詰め作業をお願いしていきます。
 発送までの流れを見ていただければわかりますように、この作業は自宅でできる作業です。どなたかボランティアで作業をしていただけないでしょうか? ニュースレターは年に4回発行していますので,4人でやれば年に1回、8人でやれば2年に1回で済みます。立候補よろしくお願いします。

●2.「(ニュースレター発送は)年に4回」と聞いて、「あれ、ウチには年に1回、4月にしか来ないなー」と思った方は、乙女高原ファンクラブのサポーター会員です。
 乙女高原ファンクラブの会員には「普通会員」と「サポーター会員」の2種類あります。
 サポーター会員は年に1回ニュースレターをお送りしています。総会参加の義務はありません。普通会員は年に4回ュースレターをお送りしています。総会参加の義務がありますが、もちろん都合のつかない場合もあるでしょうから、そのときは事前に委任状ハガキを出していただければ問題ありません。両方とも入会金・年会費はなく、寄付は任意です。
 乙女高原のこと、乙女高原ファンクラブの活動をできるだけ多くの方にリアルタイムでお知らせしたいので,サポーター会員の方はできるだけ普通会員に変更してください。
 また、「ニュースレターが届いてない」という方はファンクラブの会員ではありません。よろしければ、この機会に入会を検討してください。
 いずれも、このメールに返信で結構です。「入会」「会員」について詳しくは以下を。
http://fruits.jp/~otomefc/nyuukai.html

●3.案内人の山本さんに案内をお願いしていたにもかかわらず、雨により延期になってしまった牧丘第二小学校5年生6名の乙女高原ガイドですが、10月23日(金)に行われることになりました。午前9時半から11時半です。子どもたちをガイドする今年最後の機会です。よろしかったら、山本さんと一緒にガイドをしてみませんか? 参加希望の方はメール返信を。

●4.2006年、07年の2年間、月に一度のペースで案内人による「乙女高原勉強会」が行われていましたが、その復刻版とも言える「乙女高原観察交流会」を案内人の山本さんが提案してくださいました。とても魅力的な提案だと思います。参加してみたいなあと思った方は,ご連絡ください。日程等の調整をしましょう→1

●5.乙女高原の草刈り作業に何度もご参加いただいている山梨県立大学の箕浦先生のご配慮で、県立大学の「環境論」という講座の1コマとして、乙女高原とファンクラブの活動を紹介する授業を植原がさせていただきました。10月2日の午後です。「最近、大学では学生の私語やケイタイなどで授業が成立しない」なんて話を聞いていたので、ちょっと心配しながら授業をしたのですが、まったくの杞憂でした。学生さんたちは、とてもまじめに、そして熱心に講義を聞いてくれました。授業後に書いた感想を見せていただいたのですが、こちらがうれしくなるような文章を大勢の学生さんが書いてくれました。乙女の草刈りにも大勢参加してくれるといいな。

●6.「乙女の草刈りに若い人にたくさん参加してもらいたいじゃんねー」という反省があったので、今年は県内の全高校・大学・短大に草刈りボランティアのちらしを送付してみました。郵送料が結構かかりました。「これで多くの若者に参加してもらえるかなあ」と期待が膨らみました。
 ところが、10月2日の県立大学での講義後、ある学生さんから「どうやったら乙女高原に行けますか?」と聞かれ、、ハッとしました。「(車は)1人1台」というのをなんとなく「常識」みたいに思っていた自分に気づいたのです。そうでした、世の中、自家用車のない人もいっぱいいます。高校生や大学生なら、なおさらです。
 土日祝日にバスが運行されていることを、もっと知ってもらったほうがいいと思いました。皆さん、乙女高原へは塩山駅からバスで行けます(焼山峠までですが・・・)。ただし、予約が必要です。
http://eiwa-kotsu.com/timetable/ohdarumi-line.php

●7.次回世話人会は10月21日(水)午後7時半から牧丘総合会館です。ファンクラブの会員であれば,どなたでも参加できます。ぜひどうぞ。

●8.乙女高原の保全活動について多大なご協力をいただいている高槻先生ですが、今年3月、麻布大学退官後も「麻布大学いのちの博物館」を開館させるために大学に残られ、9月15日に無事開館したそうです。高槻先生の博物館・・・ぜひ見てみたいですね。
http://www.azabu-u.ac.jp/sp/life-museum/
 さて、最近、高槻先生の本が2冊出ましたのでお知らせします。
①福音館「たくさんのふしぎ2015年10月号,367号」『食べられて生きる草の話』
②朔北社『動物のいのちを考える』高槻成紀編著、 政岡俊夫・太田匡彦・新島典子・成島悦雄・柏崎直巳・羽澄俊裕 共著)  詳しくは→4

●9.今年も山梨市主催の「焼山峠周辺の美化活動」が行われ、ファンクラブにも協力依頼がきました。10月29日(木)(雨天の場合,11月16日(月)) 午前9時 焼山峠集合で,ファンクラブは乙女高原周辺を担当します。昼食・軍手・ごみ袋、ごみ挟みは当局で準備してくださるそうです。都合がつく方はご参加いただけませんか? 些少ですが旅費が出ます。弁当の数を報告しなければなりませんので、ご参加いただける方は10月14日(水)までに事務局までお知らせください。
--------------------------------------------------------------

1.【参加募集】●乙女高原観察交流会●

(以下、山本さんの提案です。「参加したいな」という方は返信ください)
乙女高原とその周辺の森を中心とした観察を兼ねた交流会のご案内です。

皆さんそれぞれ乙女高原ファンクラブ行事に参加されたり、個人で乙女高原を訪れたりされているかと思います。乙女高原を訪れる日を定めて、一緒に観察したり話し合ったりする交流の機会が持てたらいいなと考えました。
毎月第1土曜日(仮設定)を観察交流会日として、乙女高原に集まりませんか。
高原や森の植物や昆虫などの自然について、四季の変化や経年変化を観察し、日当たりの良い草地、木陰となっている林床、湿地帯などの環境による違いや、生物間どうしの関係を理解することで、自然環境の変化とどうかかわっていくか一緒に学んでいいきたいと思います。
乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
道の駅「花かげの郷 まきおか」に9時集合して、相乗りで乙女高原に行くようにしたいと思います。
乙女高原に直行される方は、ロッジ駐車場に9時半集合とします。
電車で来られる方は、車で来られる方に、山梨市駅でピックアップしてもらえるようにしたいと思いますが、参加者どうしの話し合い事項となります。
途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。
--------------------------------------------------------------

2.【活動案内】 ●草刈りボランティア● 11月23日(月・祝)

・日 時 11月23日(月・祝) 少雨決行
 ※荒天の場合29日(日)午前9時半から午後2時
・集 合 乙女高原グリーンロッジ
・持ち物 弁当,飲み物,軍手,雨具,おわん・はし(豚汁用),
     お持ちの方はかまなどの道具。
・参加費 無 料(主催者負担で保険に加入)
・内 容 草刈り,草の運び出し,ロープ回収,ゴミ拾い,
     キッズボランティア,豚汁作りなど

■注意事項
・一般参加の皆さんは手刈りのみにしてください。
 (刈り払い機使用は,恩賜林組合の皆さんなど,主催者がお願いした方のみとします)
・林道への路上駐車は厳禁です。できるだけ相乗りで来てください。
 (刈り草をゴミ収集車に入れる作業をしなければならないので,路上駐車が一番困ります)
・「午前中の作業終了→記念写真→昼食」という流れにします。
 (以前は昼食後に記念写真を撮っていましたが,午前の作業終了直後です。
  作業を時間で区切りますので,ご承知おきください)

■乙女高原の草刈りで、スタッフ・デビューを!!
 今回で16回目となる乙女高原の草刈り作業は、乙女高原の女神様に守られているのか、この15年間、一度も雨に降られたことがありません。また、自画自賛・我田引水かもしれませんが、行政(市・県)・市民(ファンクラブなど)・企業(田丸、ジェイチームなど)による理想的なパートナーシップ(協働)が機能しているイベントです。晩秋の高原で一日いい汗をかいてください。
 もちろん、この草刈り、課題がないわけではありません。最大の課題は、御多分に洩れず「高齢化」。かく言うぼくも、この草刈りをスタートした時点では30代でしたが、16年経った今は50代です。いつまでも元気で続けられる保証はありません。できるだけ若い人たちに参加してもらいたい、バトンの受け手になってもらいたいという思いが年々強くなっています。また、この思いは,今、ファンクラブの活動を中心に担ってくださっている方々の共通の思いでもあります。
 高齢化への対策で、まず思い浮かぶのが若い人の「参加」です。10代、20代、30代,40代、もちろん50代以上の若い人の参加も大歓迎です。
 高齢化に伴って必ず生じるのが「スタッフの数の減少」「スタッフの固定化」ですから、高齢化に対する一番即効性のある対策は、もしかしたら「若さ」よりも「(スタッフの)数の多さ」かもしれません。多くの皆さんが「参加者」としてだけでなく、「参加者のお世話をする人(スタッフ)」として参加していただけたら、ありがたいです。

■スタッフの例(詳しくは事務局にお問い合わせください)■
 1駐車場係   →朝、車の誘導など(林道は緊急車両とゴミ収集車以外は駐車禁止)
 2受 付    →朝、受付と班分け、資料と飲み物の配布など
 3班の世話役  →各班の段取り。草刈り場所の提示。作業の進み具合を本部に連絡など
 4キッズ班世話役→子どもたちをブナじいさんに誘導。作業の支援など
 5豚汁係    →豚汁の調理。炊事用ゴム手袋等は支給します。

 なお、当日朝来て、すぐにスタッフができるよう、マニュアルを準備し、各係にそれぞれ市・県・ファンクラブ世話人の誰かが配属されていて、その方から仕事内容が教われるようになっていますが、1週間前に「草刈りボランティアの下見と準備の会」を行いますので,その場でスタッフ仕事の確認ができます。

■草刈りボランティア 下見と準備の会■
 11月15日(日)雨天決行 10時 ロッジ前集合。午前中で終了。
・内容 キッズのルート作り、草原の区割りのテープはり、ロッジやトイレの清掃、備品等の確認
・午後 せっかくですからお弁当を食べて、午後から乙女高原の自然観察というのはいかが?

■今年の草刈りは・・・
 なんといっても、シカ柵設置後初の草刈りというのが、大きなトピックです。9月20日の段階で、すでにシカ柵設置ルートの草刈りが行われていました。市から設置を委託された企業からも「10月には作業を開始します」という連絡をいただきました。乙女高原を大きく包み込むようなシカ柵を見てみてください。

■(株)田丸のゴミ収集車をお借りして藁撒き工法
シカ柵設置によって、草原の草花たちは回復していくでしょうが、かといって、いいえ、だからこそ、草原の草刈りと草の運び出しはますます重要になります。刈った草を持ち出さないと草原の「富栄養化」が進み,そんな条件をうまく使ってしまうススキの一人勝ちになってしまいます。また,草原の中に生えてきた木の赤ちゃんを一緒に刈ってしまわないと遷移が進み,草原が森林になってしまいます。
 今年も刈った草は(株)田丸のゴミ収集車をお借りして,琴川ダム残土処分場に運びます。ここは琴川ダムを造るときに山を削った土で谷を埋め立てた場所です。土に栄養がないので,木を植えてもなかなか育ちませんでした。刈った草を運び込めば,それに付いている草の種が供給され,自然再生が促進されると考えられ、東京農工大・星野先生のご指導のもと、2011年の草刈りから、この「藁撒き工法」が始められ、今年で5回目となります。星野先生らの調査により、乙女高原からの種子供給によると考えられる草花が残土処分場に育っていることが確認されました。また、大量の枯れ草が栄養となったのか、木々も大きく育ちました。そろそろ「刈り草の次の運び先」を考えなければなりません。

■ブナじいさんの根元に落ち葉のふとんをかけましょう
 今年も子ども向けのプログラム,やりますよ! ブナじいさんの根元に落ち葉のふとんをかけます。毎年,保育園くらいの小さい子から小学校高学年くらいまでが参加しています。今回初めてキッズボランティアのちらしも作ってみました。印刷をお願いした山梨市牧丘町窪平の昭和堂さんのサービスで表面だけでなく裏面もカラーです。ぜひご家族でご参加ください。
 もちろん,竹居さんと藤巻さんご自慢の豚汁もあります。お楽しみに!

※2012年の草刈りの様子を見ることができます(TBSテレビ『風の言葉』ユーチューブ2分の動画)
http://www.youtube.com/watch?v=uJ2YOJSOMbI または「風の言葉 乙女高原」で検索
--------------------------------------------------------------

3.【活動紹介】 ●乙女高原フォーラム● 2016年1月31日(日)

・日 時 2016年1月31日(日) 午後1時~3時30分
場 所 夢わーく山梨 3階 大集会室
主 催 山梨市,山梨県,乙女高原ファンクラブ
定 員 ありません。どなたでも参加できます。事前申込み不要。
参加費 無 料

■フォーラムのテーマ
「生物多様性の妖精・スミレのふか~くてひろ~い話」

世界に400種とも600種ともいわれるスミレ属の植物。南極以外のすべての大陸に分布し、日本には60種を数えます。世界における日本の面積はわずか0.25%。その日本列島に世界の10%のスミレが分布しているというのは驚異的な数字です。それは日本列島の生物多様性の象徴といってもいいでしょう。日本列島にスミレが多いわけを紐解きながら、身近なスミレに自然史の奥深さを学びましょう。

■ゲスト いがり まさしさん

いがりさんのプロフィール
 1960年愛知県豊橋市生まれ。関西学院大学文学部美学科中退。自転車で、ストリートミュージシャンをしながら、全国を放浪。その後、冨成忠夫氏の植物写真に出会い、植物写真を志す。印刷会社のカメラマンを経て、1991年独立。植物の生命としての美しさを映像で表現する一方、超アップを駆使したわかりやすい図鑑写真にも積極的に取り組んで現在に至る。2009年よりミュージシャンとしても、ライブ活動やマルチメディア作品として音楽作品を発表している。豊橋市在住
--------------------------------------------------------------

4.【書籍紹介】 ●高槻先生の本2冊●

①福音館「たくさんのふしぎ2015年10月号,367号」『食べられて生きる草の話』
②朔北社『動物のいのちを考える』高槻成紀編著、 政岡俊夫・太田匡彦・新島典子・成島悦雄・柏崎直巳・羽澄俊裕 共著)

以下、高槻先生ご自身による紹介文です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①福音館の「たくさんのふしぎ」をご存知の人がおられると思います。私もときどき見ていますが、今回は書く側になりました。タイトルは「食べられて生きる草の話」(2015年10月号、367号)で、金華山のシカとシバの話です。私はこの春に定年退職しましたが、この本は学生時代の金華山からはじまります。当時ススキ群落だった場所が徐々にシバに置き換わっていきました。その「なぜ」を野外実験などをふくめ解明した過程を紹介しました。菊谷詩子(うたこ)さんが味わいのあるイラストを描いてくださいました。巻末に「ふしぎ新聞」がついていますが、そこに書いた文の一部を紹介します。

 私はこの本でシバのことを紹介しました。シカに食べられることは、多くの植物にとって迷惑なことなのに、シバは食べられても平気だということを私はおもしろいと思いました。ふつうの植物に迷惑なことが、ある植物にとっては迷惑どころかプラスだということは、同じ影響がそれを受ける植物によって意味が逆になるということです。ではなぜシバにとって葉を食べられることがプラスなのか−それを示すために簡単な実験をしました。シカの代わりに刈り取るとシバはどうなるか、そのことが実験でわかるのは胸がわくわくすることです。そうして何が起きているかがわかることを、私は「自然の話が聞こえる」と表現してみました。昔、ソロモンという偉い王様がいました。この王様の指輪をはめると動物の話が聞こえたそうです。私たちにソロモン王の指輪はありませんが、自然をよく観察し、必要なら実験をすると自然の話が聞こえる−私はこの本でそのことを伝えたいと思いました。

②朔北社の「動物のいのちを考える」です。
 私たちは動物のいのちのことを考えています。ペットが殺されたと聞けば悲しみ、絶滅の心配がある動物が復活しそうだと聞けばよろこびます。ところが、一方で私たちはほとんど毎日、魚や家畜の肉を食べていますが、そのいのちを考えることはあまりありません。「考えている」ようで、考えてはおらず、動物によっていのちの重さに違いをもっています。ひとりの人の中でも、いのちへの思いはさまざまですから、人によって違いがあるのは当然のことでしょう。
 本書はさまざまな立場で日々動物のいのちを考えている専門家に、その思いを書いてもらいました。専門家といっても研究者だけではありません。記者である太田匡彦氏はペットの「処理」についての社会の闇に迫っていますし、動物園長の成島悦雄氏は動物園の「内側」からの視点を紹介しています。また野生動物管理の現場にいる羽澄俊裕氏は野生動物と農山村社会の現場と未来について論考しています。動物のいのちといえば、われわれの日々の「食」のことがあり、新島典子氏はこのことに言及しています。やや意外なのは実験動物で、柏崎直巳氏は生命の操作ともいえる人工授精について考察しています。私は福島原発事故と動物のいのちのことを考えました。
 編者として、動物のいのちについてこう考えるべきだと一定の生命観に収斂しようなどとは毛頭考えませんでした。そうではなく、私たちが漠然とわかったつもりになっている動物のいのちについて、さまざまな立場の著者たちが、具体的な事実を記述し、何を考えているかを語ることで、読者にいのちについて考えるきっかけにしてもらいたいと期待したのです。
 閉塞感のある現代社会において、改めて動物のいのちの意味について考えるきっかけになることを期待したいと思います。
--------------------------------------------------------------



乙女高原ファンクラブトップ > メールマガジン >  第333号(2015.10.3)        →ページトップ