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乙女高原ファンクラブ 公認
乙女高原メールマガジン 第361号 2016.12.4.
発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】草刈りボランティア 11月23日(水・祝)
NEW! 2.【観察報告】乙女高原でカヤネズミの巣を発見!!
NEW! 3.【活動案内】乙女高原観察交流会 2017年1月7日(土)
4.【活動案内】乙女高原フォーラム 2017年1月29日(日)
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0.【ニュースニュース】
●1.「草刈りボランティア」(11/23祝・水)、今年も無事終了しました。山梨はその日の夜から雪が降り出し、翌日は一面真っ白になってしまいました。今年もまた天気に恵まれたということです。260人もの「乙女高原ファン」が集まってくださいました。本当にありがたいことだと思います。乙女高原の自然が保全できるのも、乙女高原ファンの皆さんのおかげです→1
●2.「草刈りボランティア」(11/23祝・水)に参加してのご感想やご意見をぜひお聞かせください。来年の草刈りをよりいいものにするためにお願いします。このメールに返信で結構です。
●3.(たぶん)(大)スクープです。なんと標高1700mの乙女高原でカヤネズミの地上巣発見。カヤネズミは日本で一番小さなネズミで、大人でも体重は500円玉程度。カヤ原に住み、ススキやオギの茎に巣を掛けます。言ってみれば、空中に巣を掛ける、たいへん珍しいネズミです。山梨県のレッドデータブックでは絶滅危惧種にこそなっていませんが、要注意種になっています。今回発見されたのは空中巣ではなく、カヤネズミの地上巣。ぼくはカヤネズミが地上に巣を作ること自体知りませんでしたから、しかも、標高の高いところにはいない動物だと思い込んでいましたから、たいへん驚きました→2
●4.(再掲)来年1月29日(日)に、山梨市の「夢わーく山梨」で開催予定の「第16回 乙女高原フォーラム」のちらしが刷り上がりました。テーマは「湿地のゆるキャラ!? 谷地坊主の不思議」、ゲストは神奈川県立生命の星・地球博物館の学芸員・勝山輝男さんです。乙女高原の谷地坊主の本体はタニガワスゲという植物なのですが,勝山さんはスゲの専門家で、「日本のスゲ」という図鑑を出されているほどです。
ちらしがほしい方、ちらし配布にご協力いただける方は、ぜひご連絡ください。送料事務局負担で、何部でもお送りします→4
●5.次回世話人会は12月8日(木)です。ファンクラブ会員なら、どなたでも参加できます。ぜひおいでください。花かげホールのがけの下の総合会館ではなく、牧丘病院の少し南、山梨市役所牧丘支所の2階、第4会議室です。午後7時半から。お間違いのないよう・・・。
●6.乙女高原の活動に直接関係ありませんが、12月11日(日)午前10時~12時、笛吹市春日居町の山梨岡神社境内で「おおぞらの下のおはなし会 虫もふとんであったまる?」を行います。絵本の読み聞かせをしている方々のグループ「おはなしのへや もも」の主催で、前半、神社の境内で自然観察会を行い、後半、絵本の読み聞かせを行うという贅沢なプログラムです。子ども対象ですがち、大人の参観もオッケーです。自然観察会は植原が担当します。問い合わせは「もも」馬場さん080-5046-)436まで。
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1.【活動報告】 ●草刈りボランティア● 11月23日(水)
毎年、この日は早起きして準備に向かいます。朝、自宅の上空は曇り空でした。乙女に向かうと、だんだん霧がかかってきて、そのうち、小雨まで降り出しました。「あー、どうしよう」と不安になりましたが、柳平あたりでまた明るくなってきて、なんと乙女では快晴。雲の上に出たという感じです。「草刈りの日に雨は降らない」というジンクスが確信になりました。
もっとも、晴れていたのは早朝だけで、急激に曇ってきました。予報では天気は下り坂、明朝は雪の可能性もあるといいます。油断は禁物。だんだん集まるスタッフとともに、どんどん準備を進めました。
毎年進化のある草刈りボランティア、今年の新機軸は「駅からの送迎バス運行」です。地元の交通会社さんのご厚意で出していただけることになりました。草刈りを企画運営する市・県・ファンクラブ協働の乙女高原連絡会議では、これを「車を持たない若い人たちが参加するためのツール」として使うことにしました。県内の全高校・短大・大学にちらしを配布したのですが、送迎バスのちらしも一緒に送ったのです。
若い人たちのコミュニケーョンツールは、なんといってもネットです。申し込みはメールだけにしました。メールだと返信も容易だし、一斉送信もできますから、情報のやりとりがスムーズにできます。事務局の負担軽減にもつながりました。
このねらいはどんぴしゃりで、十数名の高校生・短大生・大学生に参加してもらうことができました。県外からの参加者にも利用していただけ、送迎バスの利用価値は高いなと感じました。
今年は初体験だったので、あまりおおっぴらな宣伝はしませんでしたが、来年からは、ちらしに載せるなど、もう少し広く宣伝してもいいかもしれません。
一方で、毎年毎年参加してくださったり、ご協力いただいたりしている「継続性」もとても大事な要素です。これなくして、乙女高原の草刈りは続けられません。
保護組合の方々、企業の方々、諸団体の方々など「団体」として毎年参加してくださる方が大勢います。とてもありがたいことです。
・金峰前山保護組合14人
・北奥千丈保護組合11人
・西保財産区8人
・諏訪財産区4人
・西保下財産区8人
・倉科財産区3人
・観光協会牧丘支部2人
・山梨ロータリークラブ21人
・県有林造林推進協議会9人
・田丸10人
・ジェイチーム30人
・笛吹荘17人
・コロンビアスポーツウェアジャパン7人
・山と渓谷社9人
保護組合や財産区の方々は初回からの参加です。田丸さんからはゴミ収集車までお借りし、刈り取った草の搬送に活用させてもらっています。また、今年、山梨ロータリークラブさんからは、木の名前や説明が書いてあるステキな樹名板を19枚もいただきました。雪が解けたら、森のコースを中心に設置したいと思います。
個人的な継続性もあります。竹居さんには毎年豚汁作りのチーフをお願いしています。竹居さんの手作り味噌は最高で、今年も感想カードで一番多かったのは豚汁がおいしかったことでした。豚汁のために毎年、肉とごぼうを寄付してくださっているのが藤巻さん。集合写真は、プロ・カメラマン古屋さんです。毎年のちらし表紙を飾る集合写真を見ていただければ、古屋さんの腕がいかにすごいかが分かります。
そして、協働で企画・運営している県(峡東林務環境事務所県有林課)、市(山梨市観光課)、乙女高原ファンクラブの皆さんです。行政・企業・市民が力を合わせて環境を守る活動をしていくことを「環境パートナーシップ(日本語では協働)」といいますが、こんなに環境パートナーシップがうまく機能しているなんて、すごいと思います。月に一度、夜の7時半から行われる会議にファンクラブの世話人とともに市・県の担当者が参加し、草刈りや、1月に行われるフォーラムの企画・準備について話し合っているんですよ。担当者の皆さんのご努力に、頭が下がります。
さて、始まる時刻前から熱気であふれていましたが、そうはいっても定刻の9時半を待って、はじめの会をスタートさせました。所用で参加できなかった市長さんのメッセージを司会の穐野観光課長さんが読み上げました。日程説明と諸注意をウエハラが行い、観光課の雨宮さんより班長さんを紹介していただきました。はじめの会をここで終わらせ、山梨ロータリークラブさんからの樹名板贈呈式を行いました。
班長さん(スタッフ)が音頭を取って班ごとに打ち合わせ後、いよいよ草原内に散らばり、作業が始まりました。
●機械刈り班 広い範囲の草刈りを刈り払い機を使って行う。保護組合や財産区、県有林造推協の方々。
●手刈り班 レンゲツツジの群生地は機械刈りは無理なので手鎌で。一般参加者。なお、一部の方には遊歩道のロープ回収をお願いし、刈り取り終了後は、ひたすら草を運び出す。
●ロープ処理 回収されたロープを巻き直し、来年の遊歩道づくりに備える。
●草運び班 県の事業で前もって刈っておいてもらった箇所から草え運び出し、ゴミ収集車に積み込む。
●藁撒き班 最初のゴミ収集車出発までは草運びを行い、ゴミ収集車が発車したら、焼山の刈り草集積所(=琴川ダム残土処分場)に移動し、ごみ収集車から出される草をならす。
●キッズ班 乙女高原の裏山のブナじいさんまで行き、ブナじいさんの根元に落ち葉のふとんをかけてあげる活動を行う。落ち葉は林道に積もったものを使う。希望する子どもと大人(つきそい希望者も含む)。
●豚汁班 竹居さんの指示で豚汁を作る。材料は寄付。機材や水(給水車)は市。
●救護班 資格を持っている三枝さん・町田さんのお二人に毎年お願いしている。お二人がヒマだったら、草刈りイベントは成功。
11時半には最終のゴミ収集車が,最後の草を飲み込んで出発しました。
草原に散った皆さんも12時ころには作業を終了し、続々とロッジ前に帰っていらっしゃいました。ゴミ収集車と藁撒き班を乗せた車を待って、草の匂いがする、刈り取られたばかりの草原で記念写真。そして、お楽しみの豚汁。食べ終わったら、終わりの会。参加している皆さんを団体ごとに紹介し、代表して今年は西保財産区の方に感想を述べていただきました。仲田峡東林務環境事務所長さんにお礼のあいさつをしていただき、ファンクラブの三枝さんが所連絡、宮原さんが終わりのあいさつをし、草刈りボランティアの全てのプログラムが終了しました。
終了後、帰りの車とのバッティングを避けるためにも、また、ちょっぴりでも乙女高原の自然を知っていただくためにも、バス乗車の皆さんと草原内でプチ観察会をしながら、バスの待つ駐車場まで歩いていきました。もっとも、なんだかとても寒くなってきて、あまり長い時間の観察はできませんでした。
ロッジで茶話会をし、楽しいおしゃべりをした後、解散。
その後も有志で残って、草原の自然観察を楽しみました。
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2.【観察報告】乙女高原でカヤネズミの巣を発見!! 11月23日
(たぶん)(すごい)スクープです!
今までも、草刈り後の草原(地面)に、鳥の巣のようなものが見つかり、気にはなっていました。
http://www.otomekougen.npo-jp.net/observ/0308/0308.htm
見つかった巣のようなものは、鳥の巣と違って、
①お椀状ではなく、ボール状。多くは刈り払い機で真っ二つにされている (ゆで卵を縦方向に真っ二つに切り、黄身をくり抜いたイメージです)、
②巣を作っている草が細長く(イネ科の葉を使っていると思われる)、また、細長い葉をさらに裂いて細くして使っているようだ
・・・という特徴から、何の巣なのか分からずにいました。「鳥ではない」とすると、草原にいる哺乳類だからハタネズミ? ですが、ぼくはハタネズミの巣がどういうものか知りません。完全に行き詰まっていました。
ところが、今年の草刈りのとき、 ご自分のフィールドである山中湖の草原でもカヤネズミを観察している半場さんが、「半分に切られたゆで卵」を持ってきて、「これ、カヤネズミの地上巣じゃないの?」というのです。「だって、葉を細く裂いているよ。これはカヤネズミの巣の特徴だよ」。
ぼくには信じられませんでした。 なぜなら、カヤネズミの巣がある場所のイメージは河川敷のオギやススキの草原の中。 巣のイメージは、空中にある(ススキやオギの茎の途中に作る)ソフトボール大の丸いもの・・・というものです。 実際、笛吹川の河原で、たくさんの巣を目にしていました。
しかも、たしか、定説では、カヤネズミの生息地はせいぜい標高800mまで。ぼくの笛吹川の調査でも、カヤネズミの巣が見つかったのは山梨市民会館の前までで、それより上流では見つけられませんでした。
そんな自分の経験から、にわかには信じられなかったのですが、今年の草刈りには元麻布大学野生動物研究室の高槻先生が来ていらっしゃいます。さっそく見ていただいたところ、「これはカヤネズミの巣だろう」とのことです。びっくりしました。
草を刈るので地上に作られた巣が見つけやすくなり、また、刈り払い機で巣を上下に真っ二つに切ってしまうと、ますます見つけやすくなったということです。
そんなカヤネズミの巣をいくつか見つけるうちに、高槻先生がある傾向に気づきました。
ススキの株は外へ外へと広がることで大きくなっていきます。そうすると株の内側にちょっとしたスキマが生じます。そんな場所がカヤネズミの巣づくりに最適のようで、そんな場所を探すと、まだ真っ二つに割れてないカヤネズミの巣も見つかりました。ススキの株の中にミニチュアの東京ドームがある感じで、ちょっと見ただけでは分かりません。
そんなことを教えてもらったぼくらは、草刈り終了後、夢中になってカヤネズミの巣を探しました。また、12月3日の乙女高原自然観察交流会でも、参加した8人のメンバーで、草原の中、カヤネズミの巣を探し回りまくりました。草刈り翌日に雪が降ったので、今シーズンの調査はもう無理だとあきらめていましたが、雪は99%解けてなくなっていました。ラッキーでした。
ちゃんと数えていませんが、30個以上のカヤネズミの地上巣が見つかったと思います。
写真を撮ったり、折尺で計測したりしてから、巣のまわりをそっと触って、出入り口を探しました。たいがいの巣は2つの出入り口が対角で見つかりました。それから、そっと持ち上げて、巣がどうなっているのか、巣の中がどうなっているかを探りました。外側はイネ科の葉がそのままドーム状に編まれている感じですが、内側は細く裂かれた葉がぎっしりと編み込まれていて、湿ってなかったら、あったかいだろうなと思いました。
続報を期待していてくださいね。
また、よろしかったら、11月23日の画像を見てみてください。
http://blog.goo.ne.jp/otomefc/d/20161123
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3.【活動案内】●第10回 乙女高原観察交流会●
2017年1月7日(土)(土)9時
道の駅「花かげの郷 まきおか」に集合→相乗りで乙女高原へ
【乙女高原観察交流会の今後の予定】
2017年
2月4日(土)9:00~ 自然観察交流会⑪ 集合 牧丘道の駅
3月4日(土)9:00~ 自然観察交流会⑫ 集合 牧丘道の駅
【乙女高原観察交流会の注意事項】
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。
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4.(再掲)【活動案内】 ●乙女高原フォーラム● 1月29日(日)
日 時 2017年1月29日(日) 午後1時~3時30分
※スタッフ集合は11時半です。
スタッフにはお弁当を用意しますので,立候補される方は事前にご連絡ください。
※終了後、会場で講師を囲んでの茶話会をします。参加自由です。
また、その後、山梨駅前で懇親会(=食事会=飲み会)を行う予定です。
場 所 夢わーく山梨 3階 大集会室
主 催 山梨市,山梨県,乙女高原ファンクラブ
定 員 ありません。どなたでも参加できます。事前申込み不要。
参加費 無 料
■フォーラムのテーマ
「湿地のゆるキャラ?! 谷地坊主の不思議」
乙女高原の湿地に行くと、草の株がこんもり盛り上がり、「露天風呂に多くの人が肩までつかっている」ように見える場所があります。しかも、ただの人ではなく、長い毛がふさふさと伸びたゲゲゲの鬼太郎のよう。これを谷地坊主といいます。口や目を描くと、ゆるキャラみたいです。
たくさんのゲゲゲの鬼太郎が湿地の中に並んでいる光景は乙女高原では珍しくありませんが、こんなに多くの谷地坊主が見られる場所はそうありません。いくつもの条件が奇跡的に重ならなければ、草の株はこんな形に茂らないのです。
今回の乙女高原フォーラムでは、谷地坊主を作っているスゲという植物の第一人者である勝山輝男さんをゲストにお迎えし、谷地坊主の不思議な生い立ちと、それが乙女高原に存在する意義を探っていきたいと思います。
■ゲスト 勝山 輝男さん
勝山さんのプロフィール
1955年神奈川県横浜市生まれ。学生時代には山岳部に所属し年間100日以上山に入っていた。現在は神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員。専門はカヤツリグサ科スゲ属植物の分類。
神奈川県足柄下郡湯河原町在住。湯河原町は東海道線が走り、東京へ通える距離にありながら、海岸から1000mの山まであり、おまけに温泉まであって気に入っている。
おもな著書
「日本のスゲ」(文一総合出版)
「イネ科ハンドブック」(文一総合出版・共著)
「カヤツリグサ科ハンドブック」(文一総合出版・共著)
「改訂新版 日本の野生植物」(平凡社・分担執筆)など
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