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    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第363号
 2016.12.28.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【自然解説】カヤネズミとは
    2.【活動案内】乙女高原観察交流会  2017年1月7日(土)
    3.【活動案内】乙女高原フォーラム  2017年1月29日(日)
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0.【ニュースニュース】
●1.皆さん、今年も乙女高原・乙女高原ファンクラブ・乙女高原メールマガジンに目をかけてくださり、ありがとうございました。来年もまた、よろしくお願いします。

●2.乙女高原ファンクラブの公式ホームページが本日10周年を迎えました。この間、どんどん拡大・拡張を続け、いろいろなページができました。「観察ブログ」と「活動ブログ」も開設し、ほぼ1週間ごとの自然観察記録やファンクラブの活動履歴ともなっています。これを機に、訪ねてみてください。
http://fruits.jp/~otomefc/index.htm

●3.本日、乙女高原に行ってきました。山梨は昨日、雨が降りました。「乙女は雪だったかな」と心配しながら行きましたが、雪はどこにもありませんでした。でも、日陰には昨日降っただろう:直径2~3ミリの真っ白な雹(ひょう)がたくさん落ちていました。なんか「ビービー弾のたま」みたいだったです。さて、草刈りボランティアの日に「発見された」カヤネズミの巣。雪で草原が覆われる前に、自分のできることとして、乙女高原の草原の中に、いくつカヤネズミの巣があるか数えてみることにしました。当然「目こぼし」もあるでしょうが、それでも2日半で草原全部をくまなく歩き回り、カヤネズミの巣を見つけては写真にとったり計測したり記録したりしました。全部で50個を数えることができました。その様子はブログでも紹介しましたので、ぜひご覧ください→1
http://blog.goo.ne.jp/otomefcact/d/20161228

●4.(再掲)「街の駅やまなし」の一角をお借りして5月から始めた乙女高原展は「古屋光雄写真展」「鈴木としえ写真展」「古屋光雄写真展Ⅱ」「草刈りボランティア展」と行ってきて、今回がシーズン5です。「乙女高原フォーラムと(今回の乙女高原フォーラムのテーマである)谷地坊主展」。今まで行ってきたフォーラムの全部のポスターやちらしを並べてみました。
http://blog.goo.ne.jp/otomefcact/d/20161210
ぜひご覧になってくださいね。街の駅やまなしは、JR中央線山梨市駅下車、徒歩1分です。
http://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/citizen/docs/yamanashi_02.html

●5.来年1月29日(日)に、山梨市の「夢わーく山梨」で開催予定の「第16回 乙女高原フォーラム」にボランイティアスタッフとして参加していただけませんか? このような「仕事」があります(もちろん、これ全部やってくださいというわけではありません)。
・会場設定(机を並べたり、展示物を並べたり、受付の準備をしたり)
・受付(参加者に記名してもらい、資料を配布する)
・案内(会場への案内誘導)
・湯茶接待(お茶の用意)
・記録(フォーラムの様子を写真に撮る) ・・・など。
スタッフは11時半会場集合。お弁当を用意させていただきます。スタッフをやってもいいよという方は返信ください→3

●6.乙女高原フォーラムのちらしをもっと欲しい方、配布に協力してくださる方、遠慮なく申しつけください。まだあります。送料事務局負担で、何部でもお送りします。サンプル映像はこちら。
http://fruits.jp/~otomefc/2017forum.jpg
 なお、この日はフォーラム終了後、山梨市駅前の居酒屋で打ち上げ懇親会を開催予定です。今から予定を開けておいてくださいね。駅のすぐ近くなので、電車を利用しても帰れます→3

●7.次回世話人会は1月19日(木)です。ファンクラブ会員なら、どなたでも参加できます。ぜひおいでください。午後7時半から。会場は・・・
×誤・・花かげホールのがけの下の総合会館
〇正・・牧丘病院の少し南、山梨市役所牧丘支所の2階、第4会議室
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1.【自然解説】●カヤネズミとは●

 前回・前々回と、興奮しながら乙女高原でカヤネズミの巣が見つかったことを紹介しましたが、ちょっと冷静になって考えてみると、読者の皆さんの中には「カヤネズミ・・・なにそれ?」という方もいらっしゃるだろうなということにハタと気がつきました。そこで、ぼくが知っていることと、ぼくの観察体験を記してよみうと思います。

●カヤネズミってこんな生き物
 「体の大きさは大人の親指くらい(6㎝)、体重は500円硬貨1枚分(7~8g)です。日本には9属17種のネズミの仲間が住んでいますが、その中で一番小さなネズミです。好きな食べ物は、エノコログサやイヌビエのような小さな草のタネ。バッタやイナゴも大好き。季節によっては、ノイチゴなどの汁けのある果実も、食事メニューに加わります」(畠佐代子『カヤネズミの本』世界思想社より)
 カヤネズミはススキやオギ、ヨシといった「カヤ原」に住んでいて、エサを探してそれらの草の上を動き回っています。尾は体より長く、自在に動き、ススキなどの長細い葉や茎の上を、まるで平均台の上の体操選手みたいに動き回るときにバランスを取るのに使ったり、葉や茎にからみつかせ、体を支えます。
 カヤネズミは子育ても草の上で行います。イネ科などの葉は縦にスッと切れますが,カヤネズミはこの性質を利用し、葉を細く裂いて、編み合わせて、ソフトボール大の球状の巣を作ります。よく探すと、ソフトボールに出入り口があり、中が部屋になっています。冬、河原で古巣を見つけ、中に指を入れたことがありますが、フカフカでした。チガヤのわた毛が入っていたようです。ここで子を産み、育てます。

●ウエハラとカヤネズミ
 ぼくとカヤネズミの出会いは15年ほど前になります。勤務先近くの笛吹川の河原で球状の巣を見つけたのが始まりでした。あまりにもおもしろいので、笛吹川に架かる橋から橋を一区画として、カヤネズミの巣がどれくらい見つかるか調べてみました。1区画といっても川の右岸と左岸があります。おもに生えているのはオギでしたが、人の背丈以上あり、かき分けて進むのはたいへんでした。カヤネズミへの迷惑を最小限にしようと調査は冬季に行いましたが、1日で調べられるのはせいぜい2区画で。また、河原には本流とは別に小さな流れもあり、渡れないときには遠回りをしなくてはならず、手間もかかりました。結果は以下の通りでした。下流から順に書いてあります。

 ※調査 2003年12月7日~2004年2月27日
  ・蛍見橋~万年橋  右岸 1個
  ・万年橋~石和橋  右岸 0個
  ・石和橋~鵜飼橋  右岸 0個
  ・鵜飼橋~笛吹橋  右岸 1個
  ・笛吹橋~桑戸橋  両岸 6個
  ・桑戸橋~神徳橋  両側 6個
  ・神徳橋~根津橋  両側 2個
  ・根津橋~万力大橋 両側 1個
  ・万力大橋~亀甲橋 両側 0個

 笛吹川を知らない人にはよく分からないでしょうが、たくさんの巣が見つかった笛吹橋~桑戸橋~神徳橋のあたりって、川の傾斜がゆるやかになり、合流する大きな川もあり、川幅が広がり、まとまった面積のオギの茅原があるところです。
 ここより下流(一覧表の上の方)では、右岸しか調べてありませんが、これは、川が左岸側を流れているため、左岸側には河原がほとんど発達していないからです。右岸側には広い河原がありますが、芝生広場や畑になっている面積も大きく、それが巣の数を少なくしている原因ではないかと思います。
 上流側も巣は少なくなっています。亀甲橋より上流にも橋はありますが、ここまでがカヤネズミの限界だと判断してしまい、ここより上流の調査はしませんでした。ここより上流だと川幅が狭くなり、まとまった茅原もなかったからです(時間がなかったこともありますが)。
 まとまって調べたのは笛吹川だけですが、笛吹川の支流である重川や日川でもカヤネズミの巣探しをしました。
 このような経験をする中で、カヤネズミは河原の茅原を住処とし、ボール状の巣を作って生活していることが「分かりました」(そんなカヤネズミのイメージが作られました)。

 乙女高原にも広大な茅原があります(オギではなくススキですが)。カヤネズミがいないかなあというかすかな希望はありましたが、ここでは標高が高すぎると、はなっから、あきらめ半分でした。また、事実、毎年、勤労感謝の日に草刈りをしていることはご存じだと思いますが、そこで空中巣が見つかったということはありません。

●で、乙女高原のカヤネズミ
 そんな背景があってのカヤネズミの巣の発見です。びっくりしました。だって、自分の中では「カヤネズミは河原の茅原を住処とし、ボール状の巣を作って生活している」ことになっているのですから。想定外のことが起きたといいますか、隙を突かれたといいますか・・・。
 とはいえ、乙女高原にカヤネズミがいるというのはとても嬉しいニュースです。新しい仲間が増えたという感覚ですね。今後親しくなれたらいいなと思います。また、一度は本物のネズミをこの目で見て、確認したいところです。

 さて、今のところ、もう少し事実確認をしたいので、カヤネズミの地上巣の記録を取り始めました。
 乙女高原の中をしらみ潰しに歩いて、カヤネズミの巣がどこにあって、どんな状態なのかを調べています。カヤネズミの巣を見つけたら、写真に撮り、大きさや巣の状態、出入り口の箇所などを調べて記録します。古そうなものは、巣を切って、中の様子も調べました。糞(らしきもの)がないかも調べています。 そして、一度カウントした巣を再度カウントすることがないよう、極細の園芸用ポールの先に番号を書いた赤いビニールテープを旗のように付けたものを巣の近くに刺して、目印にしました。草刈りが済み、草原が「丸坊主」状態なので、赤いビニールテープ、結構目立ちます。もっとも、雪が降るまででしょうが。
 この調査を3日間行い、合計50個の巣を見つけ、記録することができました。


※乙女高原で見つかったカヤネズミの巣の画像を見るなら、以下で

11月23日に見つかったもの
http://blog.goo.ne.jp/otomefc/d/20161123

12月3日の乙女高原観察交流会の様子
http://blog.goo.ne.jp/otomefcact/d/20161203

12月10日の調査でのカヤネズミの巣
http://blog.goo.ne.jp/otomefc/d/20161210

12月18日の調査でのカヤネズミの巣
http://blog.goo.ne.jp/otomefc/d/20161218

12月28日の調査でのカヤネズミの巣
http://blog.goo.ne.jp/otomefcact/d/20161228
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2.(再掲)【活動案内】●第10回 乙女高原観察交流会●

 2017年1月7日(土)(土)9時 
 道の駅「花かげの郷 まきおか」に集合→相乗りで乙女高原へ

  【乙女高原観察交流会の今後の予定】
2017年
2月4日(土)9:00~ 自然観察交流会⑪ 集合 牧丘道の駅
3月4日(土)9:00~ 自然観察交流会⑫ 集合 牧丘道の駅

  【乙女高原観察交流会の注意事項】
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。
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3.(再掲)【活動案内】 ●乙女高原フォーラム● 1月29日(日)

http://fruits.jp/~otomefc/2017forum.pdf
日 時 2017年1月29日(日) 午後1時~3時30分

※スタッフ集合は11時半です。
 スタッフにはお弁当を用意しますので,立候補される方は事前にご連絡ください。
※終了後、会場で講師を囲んでの茶話会をします。参加自由です。
 また、その後、山梨駅前で懇親会(=食事会=飲み会)を行う予定です。

場 所 夢わーく山梨 3階 大集会室
主 催 山梨市,山梨県,乙女高原ファンクラブ
定 員 ありません。どなたでも参加できます。事前申込み不要。
参加費 無 料

■フォーラムのテーマ
   「湿地のゆるキャラ?! 谷地坊主の不思議」


 乙女高原の湿地に行くと、草の株がこんもり盛り上がり、「露天風呂に多くの人が肩までつかっている」ように見える場所があります。しかも、ただの人ではなく、長い毛がふさふさと伸びたゲゲゲの鬼太郎のよう。これを谷地坊主といいます。口や目を描くと、ゆるキャラみたいです。

 たくさんのゲゲゲの鬼太郎が湿地の中に並んでいる光景は乙女高原では珍しくありませんが、こんなに多くの谷地坊主が見られる場所はそうありません。いくつもの条件が奇跡的に重ならなければ、草の株はこんな形に茂らないのです。

 今回の乙女高原フォーラムでは、谷地坊主を作っているスゲという植物の第一人者である勝山輝男さんをゲストにお迎えし、谷地坊主の不思議な生い立ちと、それが乙女高原に存在する意義を探っていきたいと思います。


■ゲスト 勝山 輝男さん

勝山さんのプロフィール

 1955年神奈川県横浜市生まれ。学生時代には山岳部に所属し年間100日以上山に入っていた。現在は神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員。専門はカヤツリグサ科スゲ属植物の分類。
 神奈川県足柄下郡湯河原町在住。湯河原町は東海道線が走り、東京へ通える距離にありながら、海岸から1000mの山まであり、おまけに温泉まであって気に入っている。

おもな著書
 「日本のスゲ」(文一総合出版)
 「イネ科ハンドブック」(文一総合出版・共著)
 「カヤツリグサ科ハンドブック」(文一総合出版・共著)
 「改訂新版 日本の野生植物」(平凡社・分担執筆)など
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