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    乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン 第366号
 2017.2.4.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】乙女高原フォーラム  1月29日(日)
    2.【活動案内】乙女高原観察交流会  3月4日(土)
    3.【活動案内】2016年度総会   3月12日(日)
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0.【ニュースニュース】
●1.前号の「第16回 乙女高原フォーラム」勝山さんのスゲと谷地坊主のお話、いかがでしたか? 今回はその続編です→1

●2.(再掲)乙女高原フォーラムの様子が山梨CATVで放映されます。2月17日(金)から19日(日)までの3日間。毎日午後9時からです。

●3.(再掲)2017年は世話人「改選」の年です。世話人とは乙女高原ファンクラブの活動について検討したり準備したりする人です。実行委員といってもいいかもしれません。
「改選」といっても選挙をするわけではありません。ファンクラブは「ボランティア団体」ですので、基本的に役職は立候補制です。「2年間、乙女高原のために骨を折ってやろうじゃないの!」という方、ぜひ立候補をお願いします。立候補は本メールマガジンに返信で結構です。「立候補→3月に行われる総会で承認」という手順を踏むことになります。より多くの方が立候補してくだされば、一人分の負担はより少なくて済みます。多くの方の立候補をお願いします→3

●4.(再掲)次回世話人会は3月2日(木)です。ファンクラブ会員なら、どなたでも参加できます。ぜひおいでください。午後7時半から。会場は牧丘病院の少し南、山梨市役所牧丘支所の2階、第4会議室です。

●5.(再掲)乙女高原ファンクラブの活動ではありませんが、神社の境内で自然観察と絵本の読み聞かせという子ども向けのイベント案内です。「おおぞらの下のおはなし会~どこどこ? 春さがしの名人になろう」2月12日(日)午前10時~12時(小雨決行)。笛吹市春日居町鎮目の山梨岡神社。前半はウエハラの自然観察会、後半は「おはなしのへや もも」の皆さんによる絵本の読み聞かせです。春夏秋冬年に4回行うこのイベントはかれこれ10年続いています。問い合わせ・申し込みはおはなしのへやもも・馬場さん080-5046-9436。
なお、3月5日(日)には、このおはなし会を振り返る疑似体験会を行います。午前10:30から、春日居町あぐり情報ステーション。
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1.【活動報告】 ●乙女高原フォーラム● 1月29日(日)

◆続・勝山輝男さんのお話「スゲがつくる坊主たち」ダイジェスト◆

※勝山さんのお話を、趣旨はそのままに植原が少し編集しました。したがって、文責は植原にあります。

 意外と困ったのは英語。外国の文献を調べようと思って、谷地坊主の英訳を探していたら、tussock(ツソック)でした。ところが、これがイコール谷地坊主ではなく、株・株立ち・叢生という意味で、湿地にあるかどうかは関係ありません。たとえば、大雪山にあるタイセツイワスゲはマリモみたいなまん丸い株になりますが,こういうのもtussockと言います。スゲとも限りません。しっくりくる英語はありませんでした。

 北海道の大雪山系の白雲岳には、礫と土とが縞状になったり、網目状になったりと、模様ができることがあります。こういうのを構造土といって、周氷河地形の一つです。地面が凍るときに、大きな礫があるところと小さな礫があるところ、植物が地面を覆っているところとそうでないところ、火山灰質のところと粘土質のところで、凍るのに時間差ができ、均質に凍りません。解けるときにも時間差があるし、大きな礫と小さな礫では移動する距離が違って、だんだんふるい分けられてしまって、集まってきます。あるいは凍るときに地面が収縮するもんだから、そこに溝ができます。水っておもしろい性質を持っていて、雪の結晶を思い出してください。六角形でしょ。だから、まっ平な地面で凍結融解が繰り返されると、そのひび割れは六角形になるんです。亀甲状土といいます。凍結融解を繰り返すと、六角形のブロックに別れて溝ができたり、溝のへりにそって大きな礫が並んだり、真ん中には小さな礫が集まったりします。
 そんな模様が地面にできたところに、スゲが生えれば、絶妙な間隔で株が並ぶこともあるわけです。

 そんな構造土として盛り上がった所のことを凍結坊主(アースハンモック)と言います。地面に植物が生えると、そこが凍るのが遅くなるので、周りの先に凍ったところによって持ち上げられます。解けるときには植物があるとなかなか流されませんから、根っこのところに土壌が残って、まわりがへこんでいきます。それで地面に半分に切ったおまんじゅうが並んでいるような景観になります。1mくらいの高さです。谷地坊主と違って、地面の表面には根や根茎がありますが、まんじゅうの中身は全部土壌です。まわりに礫があっても、まんじゅうの中だけは土なんです。

 南アルプスの上河内岳の稜線には不思議なところがあります。地図には亀甲状土とあり、静岡市の天然記念物になっています。これも構造土で、盛り上がっている山と山の間は礫なんです。こういうところにもけっこうスゲが生えています。ヒメスゲなどです。

 九州に行かないとみられないコイワカンスゲというのがあります。阿蘇山の火口近くには、坊主状になったコイワカンスゲの株が並んでいます。これ、私の造語ですが、裸地坊主といいます。おもしろかったのは、片側が黒く見えていることです。みんな横倒しになっているように見えます。火山ガスの影響か、山の上から吹きおりている風が原因なのかわかりませんが、片側が枯れているのです。よく見ると、株の周囲は礫なんですが,株の中は土でした。ですから、これも構造土なんじゃないかと思いました。調べてみると,アースハンモックと書いてありました。九州でも周氷河地形がみられるんですね。
 コイワカンスゲに覆われているところは凍るのが遅く、まわりが凍ると押し上げられ、覆われていないところは攪拌作用と浸食により他の植物が生えないので、地面に点々と緑のまんじゅうが並んでいるような景観になります。

 凍上と融解・浸食によって谷地坊主が形成されるのはわかるけど、ではどうして、あんなに絶妙な間隔で並んでいるのか。そこに構造土の考え方をもってきて、ミックスしたくなりますね。たとえば、谷地坊主がまだ小さいときに、凍上と融解するときに攪拌されて、解けるときに谷地坊主が動いて、ほぼ等間隔になる・・・なんて説明ができないかと思ってしまいます。谷地坊主が動いているところを想像すると、なんか妖怪かお化けみたいです。それはともかく、あのように散在する理由がほしいなと思います。
 乙女高原でも、小さい、でき始めの谷地坊主に注目してみてはいかがでしょうか。

 日光をフィールドにしている尾形さんが提唱しているのは、谷地坊主には現成型と化石型の2つのタイプがあるということです。
 今、作られている、あるいは,作られつつある、今も谷地坊主ができる環境にあるというのが現成型です。化石型というのは、かつては谷地坊主が形成される条件があり、いったん谷地坊主が形成されてしまうと、そう簡単には崩れないで残っているものです。
 季節的に湛水する、つまり地下水位が地表面すれすれを上下するようなところに谷地坊主が形成され(現成型)、土壌が堆積したりして地下水位が下がってしまうと、まわりから植物が侵入するようになり、谷地坊主が崩れていく(化石型)と説明しています。
 カブスゲしかみられないような状況は現成型で、ほかの草が生えていて、どこが谷地坊主かわからないようなところは化石型です。水位がもっと高くなり常に水をかぶるようになると、霧ヶ峰の踊場湿原のように、水面に浮かんでいるようにみえる谷地坊主になるのかなと思います。

 凍結坊主も同じです。十勝に行くと、牧場の中に凍結坊主があって、十勝坊主と呼ばれているのですが、昔作られたものが今,残ってでこぼこしているのではないかと言われています。

 乙女高原の谷地坊主は、この考え方によると現成型の谷地坊主です。これを天然記念物にするには、永続性が課題になります。湧水による適度な地下水位がキーポイントなのと、タニガワスゲだけがこれだけ幅を利かせているのは,谷地坊主上空の枝葉の張りぐらいによって日光が制限されているためなので、その環境の維持。どれか一つが欠けてもだめだろうと思います。

 余談になりますが、ヒマラヤに行くと、家畜の影響が大きいです。凍結坊主ができるようなところをヤクが歩き回ると、点々と糞をします。糞があるところは栄養があるから、そこからイネ科の植物が出てくる。そうすると、tussockが散在するようになります。アースハンモックではなく、アース糞モックですね。

 これだけきれいに群生している谷地坊主はみられませんので、大切にしていってもらいたいと思います。
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2.【活動案内】●第12回 乙女高原観察交流会●

 2017年3月4日(土)(土)9時 
 道の駅「花かげの郷 まきおか」に集合→相乗りで乙女高原へ

 今年度最後の交流会です。

  【乙女高原観察交流会の注意事項】
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。
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3.【活動案内】 ●2016年度総会ならびに座談会●

皆さん、ぜひご出席ください。
また、ここで世話人の任期が切れるので、新しい世話人を決めることになります。
世話人は立候補です。2年間、乙女高原のために骨を折るよ・・・という方、ぜひ立候補をお願いします。

  【総 会】
日 時 3月12日(日)午後2時~(準備は1時半から)
場 所 山梨市役所牧丘支所2階 
次 第
 1.開会のことば
 2.代表世話人あいさつ
 3.議 事
  ①2016年度活動報告
  ②2016年度収支決算報告
  ③会計監査報告
  ④2017年度活動計画案
   ⑤2017年度収支予算案
⑥新世話人の承認
⑦新旧世話人のあいさつ
 4.その他
 5.閉会のことば
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