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乙女高原ファンクラブ 公認
乙女高原メールマガジン 第377号 2017.8.7.
発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【オピニオン】シカ柵の効果と課題
NEW! 2.【活動報告】マルハナバチ調べ隊 8月05日(土)
NEW! 3.【活動案内】マルハナバチ調べ隊 9月09日(土)
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0.【ニュースニュース】
●1.7月の最終週末、8月第1週末、第2週末(今度の3連休です)は、乙女高原に行くと、案内人が待っています。皆さんに乙女のちょっとした解説をしたり、「この花の名前は?」といった疑問にお答えしたり、場合によっては一緒に歩いてガイドもします。乙女高原ファンクラブ世話人・乙女高原案内人の山本さんの発案です。暑さを知らない乙女高原にぜひおいでください。また、案内人の皆さん、この活動にぜひご参画ください。よろしくお願いします。「来た人の話を聞く」ということも活動の重要な柱です。「傾聴ボランティア」に近いと思います。
●2.マルハナバチ調べ隊は8月5日に楽しく無事に終わりました。ラインセンサス調査・待ち伏せ調査を順調に行うことができました。ラインセンサスは、昨年が79頭でした。花の多い今年はもっと多くなるのではないかと期待していましたが48頭でした。多くもないけど、そう少なくもないというところでしょうか。もっとも、6月の調査結果は0でしたから、今年はマルハナバチの「不稔り年」だったのかもしれません→2
●3.今年の夏は、オモシロイ昆虫を相次いで見ることができました。一つ目はブチミャクヨコバイの幼虫。小指の爪の上に乗っかるくらい、ちっちゃな昆虫です。最初は、何の仲間かさえもわかりませんでした。近くにいる人に聞くと「ハサミムシの仲間?・・・だってお尻に2本の角があるから・・・」
見ているうちにピョンと飛び跳ねました。よく見ると、顔はバルタン星人、ストロー状の口を持っています。だから、セミ・カメムシの仲間だと思うのですが、とにかくひっかかるのがお尻の角。
http://blog.goo.ne.jp/otomefc/e/494590e87f8e6ac27eb69d3f563720f3
●4.二つ目は、マルハナバチのバズ・ポリネーション。マルハナバチの羽音はブーンといったものですが、タケニグサを訪れ、花粉を集めるときにはピーン(キーンとも聞こえる)という、とても高い音を出して(つまり、それだけ高速で)羽根を震わせます。すると、タケニグサの雄しべの柄がこの振動に共振して、たくさんの花粉が雄しべから振り落とされるのだそうです。そうやって、マルハナバチたちはタケニグサの花で花粉を集めます。そっと耳を近づけると「ブーン・・・ピーン・・・ブーン・・・ピーン」という、マルハナバチが働く音が聞こえてきます。
http://blog.goo.ne.jp/otomefc/e/1ba08a5edb6df4cfa8120f5c52eed280
●5.三つ目は、ハンノケンモンというイモムシ。「イモムシハンドブック」という本があります。3巻まで出版されているのですが、2巻の表紙に、黒地に黄色いストライプが入り,節々から1本ずつ細長いヘラのようなものが出ているイモムシの写真が載っています。「なんてヘンチクリンなイモムシなんだ、見てみたい!」と思っていたのですが、ついに、願いがかないました。もっとも、見つけたときは、「ヘラはついているけど、色とデザインがだいぶ違うから、別の種類かな」と思っていました。ところが、家に帰って「イモムシハンドブック」で調べたところ、黒-黄になるのは終齢幼虫で、中齢幼虫は「鳥糞様」とあります。なるほど、白いところと黒っぽいところがあって、鳥の糞に見えないことはありません。図鑑に書いてある「ミズナラやオニグルミの葉を食べる」というのとも一致します。ミズナラの木の下で見つけましたから。
http://blog.goo.ne.jp/otomefc/e/c2955e4b805b9ba59db8056ba38c0933
●6.昨年に引き続き、端数倶楽部様および富士ゼロックス株式会社様より寄付をいただける旨、連絡がありました。この端数倶楽部というのは「みんなで積み立てた給料の端数を環境保全等をしている団体に寄付しよう、それと同額を会社自身も拠出し(マッチングギフト)、社会貢献に活かそう」という富士ゼロックス社員の皆さんと社の活動です。端数倶楽部および富士ゼロックス社の皆さん,ありがとうございます。
https://www.fujixerox.co.jp/company/social/volunteer/club.html
●7.(再掲) 「乙女高原フェロー」がすでに始まっています。「遊歩道づくり」「草刈り」「フォーラム」を含め、乙女高原ファンクラブの活動に参加したらカードにスタンプを押してもらいます。スタンプが10個集まると、ステキな景品がもらえます。カードは乙女高原の活動で無料でお配りしています。詳しくはメールマガジン369号を。
http://fruits.jp/~otomefc/maga369.html
●8.次回世話人会は9月14日(木)、午後7時30分、山梨市役所牧丘支所2階の第4会議室です。会員であれば、どなたでも参加できます。ぜひご参加ください。
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1.【オピニオン】 ●シカ柵の効果と課題● 植原 彰
メルマ375号で「18本のアヤメが(シカ柵のおかげで)1千本に増えた」というお話をしました。今度はオミナエシの話です。
2010年8月8日、草原内をくまなく歩き、見つけたオミナエシの花はたった1株(ニュースレター1003号)、2014年8月2日は3株でした(メルマ331号)。ところが、今年はオミナエシのつぼみがやたら目立ちます。うれしくなって数えてみました。7 月30日、三枝さんが数えて350、ウエハラが数えて381、翌日もう一度ウエハラが数えたら409でした。これから本格的に花が咲くと、黄色が目立ち、見つけやすくなるので、さらに増えることが予想されます。
「一事が万事」で、シカ柵2シーズン目を迎え、乙女のお花たちは確実に回復しています。ヤナギランやマツムシソウ、ツリガネニンジン、オオバギボウシも咲き始めましたよ。ヤナギランやオオバギボウシが複数咲いているのを見るのは何年かぶりだと思います(今から思えば、きちんと記録を残しておけばよかった!!)。
「お花畑」景観の乙女高原に、ぜひ涼みに来て下さい。
いらっしゃる人を見ていると、中にはサンダル履きの人、短パンの人もいます。自然の中に出かけるわけですから、長ズボン・くつ・帽子(標高が高いので日差しはものすごく強い)の準備をお勧めします。中には短パンで来て、車の中で長ズボンに履き替えている人もいました。出かける際に、車にひょいと長ズボンを入れたんでしょうね。うまい手だなあと思いました。
さて、このように、シカ柵の効果は絶大ですが、心配や課題もあります。最大の課題は「シカ以外の動物も門前払いしてしまうのではないか?」ということ。キツネやテンなどが進入できないと、柵内で野ネズミが増えるなどして、生態系のバランスが崩れる恐れがありました。でも、これは杞憂でした。キツネは素知らぬ顔で、柵の内外を行ったり来たりしています。雪の上に残された足跡が、それを雄弁に物語っていました(メルマ338号)。
「元来日本の動物なのに、シカだけを排除していいのか?」という「負い目」はいつも感じています。ですが、シカは増えすぎていると判断しました(いつに比べて「増えた」と判断するのだ?・・・という根本的な疑問はあります)。それに対して、順応的な対処として総延長1㎞のシカ柵設置を決めました。この判断が本当に適切だったかどうかは未来の乙女高原ファンにしていただくとして、現段階では最良の判断をしたと思っています。
そして、シカ柵設置2シーズン目を迎えて「そうか、こういうこともあるのか」と思ったことがあります。それは外来植物の繁茂です。シカ柵がなかったころ、シカは外来種も食べていたのでしょうか、たしかにヒメジオンやメマツヨイグサはありましたが、そんなに目立つ存在ではありませんでした。ところが、今年はやたら目立つのです。柵を作ったことで、シカが外来種を食べられなくなったのが原因ではないかと思います。
このままでは爆発的に増える可能性もあるのではないか、そうなってからでは駆除は難しいのではないかと思いました。土地の所有者である県(峡東林務環境事務所県有林課)とも相談し、できる範囲でこの2種の外来種を駆除することにしました。人があまり来ていない時に、腕章等をつけて誤解されないよう注意しながら、草原の中にできるだけそっと入り、ヒメジオンとアレチマツヨイグサをできるだけ根っこから引っこ抜くというものです。
多くの乙女高原案内人やファンクラブ会員の方々のご協力もあり、5日間で50㎏の外来種を駆除することができました。乙女高原のヒメジオンとメマツヨイグサはほぼ駆除できたと思います。
来年、同じように駆除して、その重さを今年と比べてみたいと思います。
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2.【活動報告】 ●乙女高原自然観察交流会● 8月5日(土)
●第15期マルハナバチ調べ隊~盛夏編●
今年1回目のマルハナバチ調べ隊は6月25日。朝は雨でしたが、結局1日曇という空模様。そんな中でのラインセンサス調査で1頭も見ることができませんでした。
こんなに花が増えたのにどうして?・・・と思いましたが、夏に期待することにしました。
8月5日、朝早く乙女へ行き、調べ隊の準備をし、メマツヨイグサとヒメジオンを抜くなどしながら参加者を待ちました。参加者は13人。中学生になったさくやくんも来てくれました。乙女高原フォーラムで作文を読んでくれた子です。
今回は正規のパターンで開催できました。正規パターンとは、①紙芝居を活用してマルハナバチの紹介→②ラインセンサス調査→昼食→③待ち伏せ調査→④調査のまとめ(速報値の報告)です。
まず紙芝居。ベンチを並べ替えて、野外劇場みたいにして行いました。今回は「マルハナバチのヘー」も取り入れました。
マルハナバチという名のスポーツメーカーがあります。
→ヒュンメル http://logostock.jp/hummel/
マルハナバチはハリーポッターにも登場します。
→マルハナバチは英語でバンブルビー。この古語は○ンブル○ア・・・など。
そして、ラインセンサス調査に出かけました。同時間かけて同コースを歩いて、出会うマルハナバチを記録して、過去のデータと比較するというものです。結果は48頭。昨年8月が79頭でしたから、かなり少ないです。今年は去年と比べても花の数が多いので、期待していたのですが・・・なかなか思い通りにはならないものです。一つ思い当たるのが、今年は春が遅く、なかなか春の花たちに出会えなかったことです。冬眠から目覚めたマルハナバチの女王たちが困ってしまったことが尾を引いているのでしょうか。
●ラインセンサスの結果・・・調査時間62分 マルハナバチ総個体数48
内 訳
・ノハラアザミに計13 (トラ1、オオ1、ミヤマ10)
・クガイソウ に計10 (トラ0、オオ5、ミヤマ5)
・ヤマハギ に計 8 (トラ0、オオ0、ミヤマ8)
・タチフウロ に計 5 (トラ0、オオ2、ミヤマ3)
・キンバイソウに計 4 (トラ0、オオ4、ミヤマ0)
・マツムシソウに計 2 (トラ0、オオ0、ミヤマ2)
・キリンソウ に計 2 (トラ0、オオ0、ミヤマ2)
・ヒメトラノオに計 1 (トラ0、オオ1、ミヤマ0)
・ノアザミ に計 1 (トラ0、オオ0、ミヤマ1)
・シモツケ に計 1 (トラ1、オオ0、ミヤマ0)
・さくや君のくつにミヤマ1
このように、花とマルハナバチのマトリックスで見ると、どの花がまんべんなくいろいろな種類のマルハナバチに訪問されているか、とか、どの花とどのマルハナバチの結びつきが強いか・・・といったことが見えてきます。マルハナバチ調べ隊は今年で15年目。膨大なデータがあるのですが、十分に解析し、それをレポートとしてまとめてはありません。ああ、時間がほしい!です。
お昼をはさんで、午後からは待ち伏せ調査。午前の調査で、この時期、マルハナバチがどんな花に来ていそうか分かったので、それをもとに、自分が待ち伏せする花を決めます。そして、その花(群れている場合もあり)の前で15分ひたすら待ち伏せし、訪れたマルハナバチの種類と行動を記録します。それを2セット行うというものです。ちなみに、午前中の調査も午後の調査も専用のワークシートがあります。また、それぞれの調査結果をまとめるためのシートもあります。
調査が終わったら帰ってきて、結果を報告してもらいます。それをウエハラがシートに記入し、最終的には、1時間あたりの頭数に換算して比較します。たとえば、参加者の2人がノアザミを調べたら観察時間は合計30分になるので、1時間あたりにするには二人がカウントしたマルハナバチ数を2倍すればいいということです。観察時間が合計1時間なら、数はそのまま。15分なら4倍するといった具合です。
●まちぶせ調査の結果
・ヤマハギ 1時間あたり計31 (トラ4、オオ3、ミヤマ24)
・ウツボグサ 1時間あたり計20 (トラ0、オオ4、ミヤマ16)
・ノハラアザミ 1時間あたり計20 (トラ3、オオ2、ミヤマ15)
・キンバイソウ 1時間あたり計16 (トラ4、オオ8、ミヤマ 4)
・クガイソウ 1時間あたり計16 (トラ0、オオ3、ミヤマ13)
・チダケサシ 1時間あたり計10 (トラ0、オオ4、ミヤマ 6)
・キリンソウ 1時間あたり計 8 (トラ4、オオ4、ミヤマ 0)
・ノアザミ 1時間あたり計 4 (トラ4、オオ0、ミヤマ 0)
・タチフウロ 1時間あたり計 4 (トラ0、オオ0、ミヤマ 4)
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3.【活動案内】 ●乙女高原自然観察交流会● 9月9日(土)
●第15期マルハナバチ調べ隊~初秋編●
■日 時 9月9日(土) 雨天中止 午前10時から午後2時半くらいまで
■集 合 乙女高原グリーンロッジ
■持ち物 弁当,水筒,筆記用具,時計(腕時計や携帯電話の時計で十分です)
■参加費 無料。
■内 容 午前中は調査の説明とラインセンサス調査。午後はまちぶせ調査。
■問い合わせ・申し込み先 乙女高原ファンクラブ事務局(このメールに返信を)
※行事災害保険にはファンクラブで加入します。
愛くるしく,乙女高原随一のインタープリターであるマルハナバチたちの働きぶりをじっくりと見せてもらいましょう。今年も6月25日(日)、8月5日(土)、9月9日(土) =今回と3回の調査を行います。
初夏編 女王バチが見られる…かも
盛夏編 たくさんの働きバチ
初秋編 超レアなオスバチが見られる…かも=今回
■乙女高原観察交流会■
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。
●今後の予定
09/09土 10:00~14:30乙女高原自然観察交流会⑥ & 第15期マルハナバチ調べ隊3
10/07土 9:00~ 乙女高原自然観察交流会⑦
11/04土 9:00~ 乙女高原自然観察交流会⑧
12/02土 9:00~ 乙女高原自然観察交流会⑨ & カヤネズミの巣調査
01/06土 9:00~ 乙女高原自然観察交流会⑩
02/03土 9:00~ 乙女高原自然観察交流会⑪
03/03土 9:00~ 乙女高原自然観察交流会⑫
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