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 乙女高原ファンクラブ 公認
乙女高原メールマガジン第390号 2018.3.24.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【本の紹介】高槻成紀「都会の自然の話を聴く」彩流社
NEW! 2.【活動案内】「スミレの観察会」シリーズ
    3.【活動案内】4月の乙女高原自然観察交流会  04月07日(土)
    4.【活動案内】ヤマアカガエル産卵調査       04月07日(土)
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0.【ニュースニュース】
●1.活動計画の「スミレの観察会」シリーズの一部で変更がありました。ご注意ください。特に、4月28日(土)の会の集合場所はグリーンロッジではなく鼓川温泉駐車場です→2

●2(再掲).2017年度の活動報告のダイジェスト版はここ↓にあります。
http://fruits.jp/~otomefc/2017digest.pdf
また、2018年度の活動計画はここ↓にあります。ご都合をつけて、ぜひご参加ください。
http://fruits.jp/~otomefc/2007schedule.html
10回参加すれば(必須項目:遊歩道づくり・草刈りボランティア・乙女高原フォーラム)、あなたも「乙女高原フェロー」です。すてきなマグ・ボトルがもらえますよ。

●3(再掲).2018年度第1回「乙女高原自然観察交流会」は「ヤマアカガエル産卵調査」も兼ねて行います。4月7日(土)午前9時に「道の駅 花かげの郷 牧丘」集合です。乗り合わせて乙女高原に向かいます。弁当・飲み物等を持参してください。

●4(再掲).4月の世話人会は4月18日(水)午後7:30から牧丘総合会館(=牧丘支所)で行います。世話人でなくても会員であれば、どなたでも参加できます。ぜひ、覗いてみてください。
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1.【本の紹介】●高槻成紀「都会の自然の話を聴く」● 植原 彰

 乙女高原の自然の調査や保全策立案でお世話になっている元麻布大学教授・高槻さんがまた本を出されました。今回の本は、広くて豊かな自然ではなく、東京の街中を流れる玉川上水に沿ったベルト状・・・というより糸状のささやかな自然での観察記録です。でも、だからこそ、多くの人に読んでもらいたいと思える本です。なぜなら、ささやかな自然であっても、自然の話にそっと耳を傾けて聴いていくと、興味深く、ときには感動すら覚える発見があることを教えてくれるからです。また、「こんなやり方で自然の話を聴くといいよ」という方法が、じつにていねいに語られていて、この本を「自然観察のレシピ」として活用することもできるからです。

 この本は、ひょんなことで、高槻さんが観察会の講師を頼まれることから始まります。フィールドは東京西部を東西に流れる玉川上水にそったささやかな緑地帯。ありふれた自然、外来種がいっぱいの自然。でも、江戸時代から続く水路で、昔ながらの自然も残っています。
 そんなところで観察会が始まります。前半は「自然のウンチク話が多すぎやしない?」という印象を正直持ちました。でも、一方で、ウンチク話に参加者がどんな反応を見せるのか、どんなふうに展開していくのか、それを楽しみにしている高槻さんの様子もよくわかる文章でした。
 なぜ、観察会の生き生きとした様子がわかるのか? 高槻さんは観察会が終わると、「その日のうちに」関係者全員に観察会の目的や実際の観察会の様子がわかるメールを送っていたそうです。きっと、観察会が楽しくてしょうがなく、誰かに伝えたいという気持ちでメールしたんでしょうね。このメールによって、観察会の意味や意義がスタッフ全員に伝わり、それが次のステップへのきっかけになっています。また、そんな「記録」の積み重ねがあって、この本の出版につながったのだと思います。やっぱり観察のやりっぱなしはダメで、きちんと記録をとって、それを積み重ねることが大切なんですね。

 後半は、「自然を調べる」のオンパレードです。では、「自然を調べる」とはどういうことなのか? よくあるのが、どんな生きものがいるかを調べ、リストを作ることですが、それに対して高槻さんはこう記しています。「小学校の教室になぞらえて考えて見ましょう。新学期に担任の先生は子どもたちの名前を覚えます。これがリストです。父母会に「教室の報告」をするということは、リストを読み上げることではまったくなく、子どもたちの性格、健康、家庭の事情、子ども同士の関係などを見てようやくできるはずのことで・・・」

 調べる第1弾はタヌキ。センサーカメラを使って姿を記録しようという試みはよく聞きますが、高槻さんの場合は何カ所かで調べ、その結果をとりあえず自分の予想に沿って並べてみます。たとえば、玉川上水の取り入れ口からの距離に沿ってデータを並べれば上流の方がタヌキが多いだろうと予想し、並べてみたら、予想通りになりませんでした。しばらく考えると「ハハン!」と思えることがあり、「藪あり」と「藪なし」とでデータを仕分けてみました。果たして、結果はどうだったと思います? ・・・答えは本を読んでのお楽しみですが、大事なのは、データを見ただけでは、絶対に「ハハン!」とはならなかったという点です。高槻さんは実際にその場所で自然観察をしています。その場の空気を吸っているということです。だからこそ「ハハン!」ときたのだと思います。
 なんと大学に頼み込んで、キャンパス内でタヌキのため糞を探してみたり、そこにセンサーカメラをしかけてみたり、ソーセージの中に小さな番号札を忍ばせておいて、それをタヌキに食わせ、どこの糞から出てくるかを調べたり・・・これはもう一大エンターテーメントです! 
 なお、本の前半には子ども向けのタヌキの観察会の話が出てくるのですが、子ども向けの観察会を高槻さんがとても大切に思っていることがよく判ります。フリーマン・チルデンの「インタープリテーションの6つの原則」には「12才ぐらいまでの子どもに対するインタープリテーョンは、大人を対象にしたものを薄めて、易しくするのでなく、根本的に異なったアプローチをするべきである」とありますが、まさにそれを実践なさっているなと思いました。

 調べる第2弾は糞虫。糞に集まる虫です。タヌキがいる→糞をする→糞虫がいる!というリンク=つながりです。紙コップとわりばしを使って、糞虫の「落とし穴」を作って、糞虫を捕まえます。それをいろいろなところで試すうちに、「こんなところにいるはずがない」という市街地にある小さな公園~ドラえもんの登場人物たちが遊んでいるような公園~まで調べてみようとなってしまい、結果は・・・!

 高槻さんが着目しているのは、とにかくリンク=つながりなんです。タヌキと糞虫、花と昆虫、タヌキの糞と(その中の種から出てきた)芽生え、・・・。それはつまり、「そこの自然でどんなドラマが展開されているのか」を高槻さんが心底知りたいと思っているからだと思います。それぞれの場所でどんなドラマが展開されているのかは、それこそ、リストを作っても見えてきません。教科書でも教えてくれません。自分自身で調べて、結果から想像し、また調べて・・・それを繰り返しているうちに、おぼろげながら、見えてきます。そして、「どんなドラマが展開されているかを知ること」は「そこの自然の価値を知る」ことと同義なのだと思います。高槻さんは玉川上水の自然を観察・調査することによって、玉川上水の価値に気づいていきます。そして、その価値に気づいたからこそ、その価値や、価値に気づいていく過程を他の人にも伝えたくて、この本を書かれたのだと思います。

 高槻さんは本の最後に「私にできるのは玉川上水の動植物を観察することだけですが、そのことが玉川上水のすばらしさを示すことにつながってほしいと願っています。そのことを若い人や子どもたちに伝えるささやかな努力をこれからも続けたいと思います」と述べています。心から共感しました。「玉川上水」を「乙女高原」にすれば、まさにぼくの気持ちと一緒だからです。

●高槻成紀「都会の自然の話を聴く」彩流社 2017年 2484円

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2.【活動案内】 ●「スミレの観察会」シリーズ●

 今年も「スミレの観察会」シリーズを開催します。スミレに特化した観察会を開催するのは8年目になります。
 乙女高原で見つかったスミレの種類は変種や交雑種を含めて、なんと30種類。とはいえ、一回の観察会で全部を観ることは不可能です。スミレの種類によって、開花の時期が違うし、好みの場所も違うからです。同じような姿かたちなのに、こんなにたくさん! まさに生物多様性そのものです。
 ぜひ、1回だけでなく、複数回(できれば皆勤賞!)参加して、多様なスミレの世界を楽しんでください。

①4月28日(土)集合9:30鼓川温泉駐車場 ~15:00 講師は案内人の依田さん。無料。
 乙女高原に向かう林道で、途中途中歩きながらスミレ観察をします。

②5月13日(日)集合13:00乙女高原グリーンロッジ ~16:00 講師は案内人の依田さん。無料。
 乙女高原自然観察交流会②を兼ねて。
※この日の午前中は「遊歩道作り」というボランティア作業。こちらにもぜひご参加ください。

③5月19日(土)集合9:30乙女高原グリーンロッジ ~15:00 講師は案内人の依田さん。無料。
 乙女高原とその周辺でスミレを観察します。

④6月 2日(土)集合8:30牧丘の道の駅 ~15:30 乙女高原自然観察交流会③を兼ねて。
 1日かけて標高2000mほどのところに広がるキバナノコマノツメ群落を観察しに行きます。
キバナノコマノツメは黄色い花をつけるスミレです。
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3.【活動案内】 ●乙女高原自然観察交流会● 04月07日(土)

※今年度最初の交流会です。

■月 日 4月7日(土) 
■集 合 午前9時 道の駅 はなかげの郷牧丘(国道140号沿い)
     乗り合わせて乙女高原に向かいます。
■持ち物 弁当,水筒,あとは観察用具。標高が高いので防寒着も用意してください。
■参加費 無料。

  ■乙女高原観察交流会■
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。

※今年度の予定
①04月07日(土)集合:09:00・道の駅  兼:ヤマアカガエル産卵調査
②05月13日(日)集合:13:00・乙女高原 兼:スミレ観察会
③06月02日(土)集合:08:30・道の駅  兼:黄色いスミレ観察会
④07月07日(土)集合:10:00・乙女高原 兼:谷地坊主観察会
⑤08月04日(土)集合:10:00・乙女高原 兼:マルハナバチ調べ隊
⑥09月08日(土)集合:10:00・乙女高原 兼:マルハナバチ調べ隊
⑦10月06日(土)集合:09:00・道の駅
⑧11月03日(土)集合:09:00・道の駅
⑨12月01日(土)集合:09:00・道の駅
【2019年】
⑩01月05日(土)集合:09:00・道の駅
⑪02月02日(土)集合:09:00・道の駅
⑫03月02日(土)集合:09:00・道の駅
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4.【活動案内】 ●ヤマアカガエル産卵調査● 04月07日(土)

・この調査は、環境省と(公益財団法人)日本自然保護協会が協働で実施している「モニタリングサイト1000里地里山調査」に(乙女高原を)調査地として(乙女高原ファンクラブが)応募して、行っているものです。

・調査は5年目になります。2週間おきに、設定した調査地(乙女高原の3つの湿地)で、新しい卵塊の数を数えています。

・メス1頭が1シーズンに産む卵塊は1つだけです。ですから、卵塊の数がその地域のヤマアカガエルの頭数を反映しています。何頭いるか正確に推定することは難しいですが、「増えた」「減った」ということは言えそうです。なお、カエルの卵は、1頭のメスが1かたまりを産むことから「1腹」と数えます。

・2014年・・・合計で35腹
・2015年・・・合計で42腹
・2016年・・・合計で29腹
・2017年・・・合計で25腹

・今年は3月10日現在、まだ産卵を確認していません。

・4月07日(土)09:00に「道の駅 花かげの郷 牧丘」に集合し、車の乗り合わせで乙女高原に向かいます。
今回の調査は「乙女高原自然観察交流会(→3)」を兼ねて行います。

・4月07日(土)の次は4月22日(日)に調査を行います。同日程です。


・なお、山梨県内のカエルの産卵調査にも参加していますが、県内調査では乙女高原の湿地とともに、①旧杣口林道入り口の湿地、②林道途中の道脇の湧き水による池も調査地としています。
・3月10日現在、①では産卵が確認できていません。
・②では2月11日に産卵が確認できました(1腹)。その後、ここでは、3月3日に9腹、3月10日に6腹の新しい卵塊が確認できました。今のところ、合計16腹です。
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