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 乙女高原ファンクラブ 公認
乙女高原メールマガジン第446号  2021.1.19.
 発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼ もくじ ▼▲
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【観察報告】2021年1月1日の乙女高原
NEW! 2.【活動報告】乙女高原自然観察交流会 01月09日(土)
NEW! 3.【活動案内】乙女高原ファンクラブ20周年展
NEW! 4.【活動案内】乙女高原ファンクラブ総会03月14日(日)
NEW! 5.【活動案内】乙女高原自然観察交流会 02月06日(土)
NEW! 6.【活動回顧】⑤行政の事業に乗っかって自然を守る(1999年)
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0.【ニュースニュース】

●1.「乙女高原ファンクラブ20周年展」が3月12日(金)~16日(火)まで、山梨市駅前の「街の駅やまなし」で行われることになりました。コロナ禍の中ではありますが、感染対策を万全にして、ぜひおいでください。なお、開催期間中、受付係が必要になりますし、開催前の展示作業、開催後の撤収作業も必要です。「求む、ボランティア」です!! よろしくお願いします→3

●2.「20周年展」の会期中に、その会場で、乙女高原ファンクラブ2020年度総会を開催します。3月14日(日)14時です。展示を見ながら、総会に参加しませんか? 「街の駅やまなし」は、山梨市駅から歩いて1、2分です。橋上駅の北口から北を目指します。すぐの信号を渡ったら、郵便局の北です。もうすぐ発行の会報とともに出欠ハガキをお届けしますので、記入し、投函をお願いします→4

●3.今年2021年4月22日、乙女高原ファンクラブは設立20周年を迎えます。「自然を守る活動」に終わりはありません。自然も社会も変わり続けているので、「これで分かった」とか「これでおしまい」ということがないのです。今回のコロナ禍のような状況でも、細々とでもいいから、とにかく「続ける」ことが一番大切だと思います。とはいえ人の生涯には限りがありますから、「続ける」ためには「世代交代」が必要です。
 そんなことから、乙女高原ファンクラブの世話人は2年ごとに改任しています(再任はもちろん可)。今年度末は世話人改任の時期です(3月の総会で)。乙女高原ファンクラブはボランティアの会なので、世話人改任は「立候補→総会で承認」という手順を踏みます。乙女高原の自然を次世代に引き継ぐため、ぜひ立候補をよろしくお願いします。すでに立候補いただいている方もおります。このメールに返信でも結構ですし、総会の出欠ハガキに世話人への立候補欄がありますので、そこに記入し、投函いただいても結構です→4

●4.2021年が乙女高原ファンクラブ創設20周年となることから、乙女高原の保全活動の歩みを回顧する連載をしています。今回はその第5弾。ウエハラが農文協の雑誌『食農教育』2005年5月号に書かせていただいたものをベースにしています→6
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1.【観察報告】●2021年1月1日の乙女高原●

 元旦、地区の拝賀式を済ませ、家族でお節料理とお雑煮を食べ、乙女高原を目指しました。お正月ですから、金桜神社にお参りし、お守りを買ってから向かいました。

 まずは去年教えてもらい、その存在に大いに盛り上がった「氷華」です。旧杣口林道(今は県道)「サワラ学術参考林」に車を止め、カメバヒキオコシの枯草を探すと、すぐに見つかりました。茎の根本についた氷の華。まるで飴細工のようで、いろいろな形があります。植物によっては冬になっても土の中の水分を吸収して吸い上げ続けるものがあり、それが凍ってできるものだそうです。よく見ると、茎を縦に裂いて出てきているのがわかります。中にはとても薄くて,向こう側が透けてみえるような「氷の板」もありました。(以下は氷華の写真)
https://blog.goo.ne.jp/otomefc/s/%E6%B0%B7%E8%8F%AF

 柳平の乙女湖はほとんど凍っていませんでした。道の両側にうっすら雪が残っています。車載温度計はマイナス2℃。
 途中、道の横の沢が凍っているところを通りました。1週間前は氷の下から水の流れる音が聞こえましたが、今回は聞こえませんでした。1週間に比べて、少し氷面が少し高まっていました(パソコンで写真を確認しました)。このまま氷がだんだん高くなり、しまいには道路面より高くなり、道路に「氷」があふれ、路面がツルッツルになってしまったこともあります。氷の面がだんだん高くなるので、個人的に「氷のダム」と呼んでいます。(以下は氷のダムの写真)
https://blog.goo.ne.jp/otomefc/e/79576179b7f0acff876b22077b6b8cdb

 ここで、本日、一番盛り上がった発見がありました。
 氷の上に薄く雪が降り、その上をシカが歩いた跡です。氷だけだったらシカの足跡は残らなかったのですが、「雪が薄く積もった」というのがミソ。雪で全面白くなったところに、シカが歩くのだからその跡は透明になります。シカの行動がはっきり「見えて」きます。
 「ひづめが二つ」の、まさにシカらしい足跡もありますが、ひづめの2つがツーッと長く筋になっているものもあります。ここでツーッと滑ってしまったのでしょうね。中には、その2本の筋が途中で直角に折れ曲がっている跡もありました。ツーッと滑り始めたところで、「なんのこれしき!」と体勢を整えたのだと思います。スケート初心者の動作みたいで、面白すぎました。(その写真がこれ)
https://blog.goo.ne.jp/otomefc/e/560eef62e0a834a8199925ae2c4c316b

 乙女の草原に着きました。草原にも雪が降ったようで、うっすら残っているところがあります。風が強くて、寒い。防寒をしっかりしました。
 雲が結構なスピードで流れていきます。かなり近い空を飛んでいます。乙女高原の背景は奥秩父の山々で、乙女高原から南は標高は低くなり、甲府盆地になります。風によって運ばれてきた雲が山々を越えて、乙女高原あたりから離陸しているんじゃないかと思います。松本零士さんの「銀河鉄道999」でC62に牽かれた列車が大空に斜めに突き出た線路を登っていき、ついに空中を走るのですが、そんなイメージです。だから、乙女高原で空を見上げると、離陸したばかりの列車 (雲)の下を見上げることになります。雲が甲府盆地に達するころは地上からの高さもだいぶ高くなるので、あまりスピードも感じないし、形もぼんやり見えているのだと思います。
 彩雲を期待しましたが、今日は見えませんでした。

 前回訪れたときに乙女高原の草原とその周辺でカヤネズミの巣を探したので、今回は少し足を延ばし、ブナじいさん経由で「第2乙女高原」に向かいました。「第2乙女高原」は、乙女高原から水が森林道を少し走ったところにある草原で、第2のスキーゲレンデになるはずだったところです。
 いい草原だったのですが、「第2高原」裏山のカラマツを伐り出すために作業路ができてしまい、露出した地面が痛々しかったです。ここでカヤネズミの茎上巣を探していたら、「?」に遭遇。乙女高原ではシカの食害によってハバヤマボクチが見られなくなってしまい、シカ柵を作って3年目くらいからようやく花が見られるようになったのですが、「第2高原」に立派なハバヤマボクチのドライフラワーがあるではありませんか。もちろんここにはシカ柵はありません。なのに、なぜ?
(ハバヤマボクチの写真は以下)
https://blog.goo.ne.jp/otomefc/s/%E3%83%8F%E3%83%90%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%9C%E3%82%AF%E3%83%81

 巣を見つけました。大きさといい、丸っこいところといいカヤネズミの巣に似ていますが、これはウグイスの巣。以前、乙女高原で「イタドリ刈り」というプロジェクトに取り組んだことがあります。乙女高原がイタドリに占領されそうだったので、場所を決めて、イタドリだけ選択的に刈り取ってみるという実験だったのですが、その際に、ウグイスが巣を架けたイタドリまで刈ってしまいました。仕方がないので、せめてもという思いでじっくり観察し、そのときにウグイスの巣を覚えました。(見つけたウグイスの巣がこれ)
https://blog.goo.ne.jp/otomefc/e/ceaa3f28beacc35785a5a8d8bbe09b42

 巣を探しながら草原の中を歩き回っていたら、小鳥の群が近寄ってくれました。ぼくが静かにうろついていたので、危害は加えないだろうと判断してもらえたようです。しばらく双眼鏡で見ていました。草原内にアカマツの老木があり、そこに止まりました。てっぺん近くに止まり、松ぼっくりの中にある実を掘り出して食べているように見えます。赤…というより、ちょっとゾクッとする朱色のヤツと目立たないオリーブ色のヤツ。たぶんオスとメスでしょう。朱色のヤツは、羽の縁が黒っぽく見えます。尾羽の先はⅤ字型。上のくちばしの先が猛禽類みたいに下に細く出ているように見えました。そのうち、飛び立ってしまいました。10羽の群でした。
 車に帰って、野鳥図鑑で調べてみたら、イスカでした。くちばしが上下でくいちがっているのだそうです。だから、くちばしの先が細く出ているように見えたのですね。

 「第2高原」ではカヤ巣は見つかりませんでした。それ以外のちょっとしたススキ原も探しましたが、成果は0。やっぱり巣を見つけた井上さんの眼力ってすごいです。

 ロッジに帰る林道の上で、さかんに餌をついばんでいるウソにも出会いました。のどもとがショッキングピンクのオスが2羽、ちょっと地味なメスが2羽でした。こんなシチュエーションの時、ぼくはよく「だるまさんがころんだ」をやります。
 小股でゆっくり前進します、「だるまさんがころんだ」と心の中で唱えながら。止まって写真を撮ります。写真を撮ったら、また「だるまさんがころんだ」…を、鳥が飛び立つまで繰り返します。小股1歩ちょうど50cmで歩けるように練習してありますから、「だるまさんがころんだ」で5m進むことになります。特段距離を気にしないでも正確に測れるということです。この時は3回「だまるさんがころんだ」をしたら、飛び立って、ちょっと向こうの草の茎に止まりました。茎に止まりながら、隣の草の実をついばんでいます。ここから、「だまるさんがころんだ」のリベンジです。今回も3回で飛び立ってしまったので、止まった茎に近づいて、食べていた実を確認しました。ダイコンソウでした。
 一つ、失敗しました。食べていた実を早く確認したくて、思わず近づいてしまいましたが、飛び立ってしまったら、そこからウソがいた草までの距離を「だまるさんがころんだ」で測るべきでした。

 太陽が照っているのにすごく寒いので、急いでカップラーメンを食べ、出発しました。今度は湿地の方を歩きました。湿地では「氷のダム」と同じ原理で、湿地がアイススケート場のようになっていました。谷地坊主が氷のお風呂に浸かっているようです。
 山仕事の管理道路を歩きました。側溝の水が道路を横断するようになっているところがあるのですが、その蓋つきU字溝がコンクリートの道路面から30cmも持ち上げられていました。これでは車は通れません。霜柱の力ってすごいです。これが谷地坊主を作っている原動力なのですね。

 車に戻り、中で熱いコーヒーを飲みました。体の細胞たちがほっとしているのが分かります。家に帰り、夕方のまだ日が高いうちから風呂にゆっくり入りました。
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2.【活動報告】●乙女高原自然観察交流会● 01月09日(土)

 井上敬子さん、山本義人さんがレポートをお寄せくださいました。

※まずは井上さんのレポートから。

 1月の観察交流会は9日に行われました。参加者は4名。1都3県にはコロナ感染拡大で緊急事態宣言が発令されましたが、感染に注意してマスクをして、各自の車で乙女高原へ向かいました。林道には雪は全くありません。
 途中、通称カエル池に立ち寄りました。例年なら氷が張っている池には水が全くありません。(夏になぜかボーリングをしていた影響か?)春のヤマアカガエルの産卵が心配です。このままでは産卵はできないでしょう。道の反対側の斜面に何かの毛が大量に散らばっているのを植原さんが見つけました。シカの毛とは少し違うようです。植原さんが採集しましたが、何でしょうか。ホオジロが数羽、樹上にいましたが、飛んで行ってしまいました。
 次にサワラ林の所で観察。カメバヒキオコシに氷華が残っていました。12月20日に比べると小さくなっていましたが、花のようなものなど、かわいいものがたくさんありました。法面の笹の葉にはクスサンの繭、スカシダワラがついていました。またムラサキシキブの実がまだ少し残っていました。その根元あたりの土が湿っていて、水脈があるのではないかということです。苔むしたサワラ林の古木の幹はねじれたり、枝分かれしたりして、改めてこの森の歴史を感じさせます。

 焼山峠では湿地はすっかり凍りついていて、氷の上が歩けます。ミズゴケは白っぽい黄緑色できれい。カラマツにサルオガセがぶら下がっているのが目立ちました。アケボノソウのドライフラワーや根生葉がありました。そして、小楢山林道を歩いてみました。途中、霜柱が10段以上にも成長して30cmくらいになっているものもありました。いろいろな植物のドライフラワーも目につきます。ハナイカリ、ヤマホタルブクロ、ヤマハハコ、イタドリ、トモエソウ、ノコンギクなど。イケマの綿毛の種もぶら下がっていました。斜面にカメバヒキオコシの氷華がいくつか見られました。林道から見える金峰山や手前の山々には雪がついて、寒々しい感じです。雲が出てきて、太陽を隠してしまうと、風が冷たく痛いよう。寒すぎて観察する意欲がなくなりそうな感じでした。

 乙女高原のロッジ前に到着したのはもう昼近く。看板裏の温度計を見ると-7℃、百葉箱を覗いてみると-9℃。あまりの寒さに各自、車の中で昼食をとりました。
 昼食後、草原内の観察です。12月20日にボール状の巣(カヤネズミの巣?)を見つけた刈り残しのススキを確認。巣のあった位置は植原さんがメジャーで測ってみると、地上70㎝でした。その後、ドライフラワーの確認をしながら、普段は歩かない斜面を登っていくと、雪が少しありました。数日前に少し降ったようですが、草原全体には雪はなく、枯草色でした。
 展望台では富士山が見えましたが、山頂は雲の中でした。ススキの中にカヤネズミの巣がないか探しましたが見つかりません。冬芽など観察しながら、ツツジのコースに下りました。雲の流れが速く、太陽はかくれたり、また出たりという中、彩雲を見ることができました。きれいでした。 
 強い寒気団に覆われて、日本海側には豪雪が降ったこの日、とにかく寒さがきびしく、草原をひとまわりしてくると、冷えきってしまい、いつもより早い2時過ぎには高原を後にしました。お日様のありがたさを感じた一日。寒かったけれど、楽しかったです。

※続いて、山本さんのレポートです。

 スミレと同じようにキジムシロの仲間にもタネをアリに運んでもらうための付属体(エライオソーム)があるとの情報があり、焼山林道の氷華を見に行くついでに、道路脇にあったミツモトソウのタネにエライオソームがあるのか確認出来たらいいなと思っていました。ドライフラワーの中にタネが残っていたものが見つかり、確認したところエライオソームはありませんでした。
 家に戻ってネットで検索したら、キジムシロとミツバツチグリには確かにエライオソームがありますが、ミツモトソウにはついていないとありました。

 キジムシロの仲間でもヘビイチゴは小動物に食べてもらえるよう果肉を提供していることから、同じ仲間でもタネ散布の戦略がそれぞれ異なるようです。
エライオソームをつけるキジムシロとミツバツチグリはスミレ同様に早春の花で、茎高が低く地表近くに咲きますが、ミツモトソウの花期は遅く真夏から初秋にかけて、茎高が50~100cmと地表から高い位置に咲いています。アリの活動時期の違いなのかアリに運んでもらえなくても遠い所に落ちるようにしているのでしょうか。では、春先に咲くツルキンバイやイワキンバイなど他の仲間たちはキジムシロやミツバツチグリ同様にエライオソームがあるのかどうか、今年の観察テーマにしています。
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3.【活動案内】●乙女高原ファンクラブ20周年展●

 2021年4月22日、乙女高原ファンクラブが設立20周年を迎えるのを記念して、この20年間の活動を振り返れるような展示会を開催します。

○主催 街の駅やまなし  ○共催 乙女高原ファンクラブ
○会期 3月12日(金)~16日(火)
○時間 10時~16時
○会場 街の駅やまなし
 https://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/citizen/docs/yamanashi_02.html
○内容例 乙女高原ファンクラブ20年のあゆみ(年表と懐かしい写真)
     新聞記事で振り返るファンクラブの20年
     乙女高原の春夏秋冬
     乙女高原の地形(立体模型)などなど

○求む、ボランティア!
 ①展示作業 3月11日(木) 17:30~ 街の駅やまなし
   展示ボードや長机を設置し、パネルや展示物を設置していきます。
   1時間以内に終わる予定です。
 ②展示受付 3月12日(金)~16日(火)  10時~16時 街の駅やまなし
   受付机に座っていて、見に来てくださった方に記名してもらい、検温します。
   会期中の10時から16時の間で、ご都合のいい時間帯をお知らせください。
 ③撤収作業
   3月16日(火) 16:00~ 街の駅やまなし
   片付け作業です。机等は消毒していただきます。消毒液は会場で準備。

 ボランティアに立候補いただける方は、このメールにご返信ください。
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4.【活動案内】 ●2020年度総会● 03月14日(日)

日 時 3月14日(日)午後2時~(準備は1時半から)
場 所 街の駅やまなし
 https://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/citizen/docs/yamanashi_02.html

次 第
 1.開会のことば
 2.代表世話人あいさつ
 3.議 事
  ①2020年度活動報告
  ②2020年度収支決算報告
  ③会計監査報告
  ④2021年度活動計画提案
  ⑤2021年度収支予算提案
  ⑥世話人の承認 → 世話人の互選により代表世話人を選出
  ⑦新旧世話人あいさつ
 4.その他
 5.閉会のことば

※今回は2年に一度の「世話人改任」です。多くの方に立候補していただきたいと思っています。世話人あっての乙女高原の活動です。ぜひよろしくお願いします。---------------------------------------------------------------------

5.【活動案内】●乙女高原自然観察交流会● 02月06日(土)

・雨や雪の場合、決行するか中止するかは連絡しません。
 各自でご判断ください。
・集 合 午前9時 牧丘の道の駅集合
・持ち物 弁当,水筒等をご用意ください。
     帰りの時間は、集まったメンバーで協議して決めます。

 【乙女高原観察交流会 覚書】scince2015.12
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。

※今後の予定
⑫03月06日(土)09:00~ 牧丘の道の駅集合---------------------------------------------------------------------

6.【活動回顧】⑤ ●行政の事業に乗っかって自然を守る●(1999年)

■またまた県の事業が・・・
 毎週自然観察会が功を奏したのか,ぼくは1999年9月に始まった『乙女高原の森連絡会議』のメンバーにまんまともぐり込むことができました。
 基本的に『乙女高原の森』事業は様々な森林体験プログラムを用意し,人びとに森林(自然)とふれあってもらいたいというソフト事業でした。それまでの山梨の林野行政は,ソフト事業として「緑の少年隊」くらいしかありませんでしたから,これは画期的なことと言えます。ですが,様々な問題点を持っていることにもすぐに気づきました。ぼくはさっそく具体的な提案をしました。

■まずは現地を見ること
 一つは,まずは現地の自然を一緒に見てから議論していきましょうということ。「百聞は一見にしかず。現地の自然を把握しなければ,議論できませんよね」という理屈に反対者も出ず,事務局に現地視察の計画を立ててもらいました。
 ぼくとしては,遊歩道の土壌流失や草原の草刈り面積の縮小とそれに伴う草原の衰退といった,乙女高原が直面している様々な問題点を委員の皆さんに紹介したい,『生活環境保全林整備事業』の結果どんなことが起きているかを委員の皆さんはもちろん事業主である県の林野行政マンにもしっかり見てもらいたいという大きな魂胆がありました。
 視察には20人もの人が参加してくれました。「ほら,見てください。この遊歩道はほとんど使われておらず,階段の土がこんなに流れて丸太が宙に浮いています」「この親水公園はこんなに草ぼうぼうです。この人工的な岩の隙間からタゴガエルの声が聞こえるんですよ」
 意見を共有することはなかなか難しいですが,見聞きした事実だったら共有できます。みんなで一緒に確認した乙女高原の現実を出発点に,後の議論を進めることができました。

■枠組み論にこだわること
 もう一つは事業の枠組み,具体的には目的にこだわりました。
 第1回会議では,ソフト事業の目的らしい目的は提案されませんでした。でも,「森林体験プログラムとして植物・野鳥観察会やきのこ鑑定会,山菜料理教室や撮影会を開催する」とあったので,「体験プログラムの目的は自然に親しむことか?」と質問したら,「そうだ。それに加えて歴史や文化に触れることだ」との回答がありました。
 ここが頑張りどころだと思いました。枠組み作りとは,言ってみれば,一番基本となる「ものさし」作りです。全体計画でも一つ一つの活動でも,この「ものさし」に当てればそれが妥当であるかどうか分かる,そんなものさしです。いくら人が集まりそうな計画でも「枠組みから外れているよ」となれば,実行するわけにはいきません。
 ぼくは「目的は『乙女高原の自然を守る』でなければだめじゃないの?」と提案しました。「このような事業によるあるように,事業の目的を『自然に親しむ』にすると,ただ楽しければ,人が自然に親しめば,目的が達成されたことになってしまいます。そうじゃなくて『自然を守る』につながるような楽しみ方・親しみ方ができるような事業展開の方がはるかに有意義だし,私たちも一生懸命やろうという気になれます」
 幸い,県の事務局担当の岡部さんは自然保護に非常に理解のある方だったし,多くの委員の理解も得られ,結局,『乙女高原の自然と親しみ,知り,そして守り育てていくことを基本に,体験を展開し,情報発信を行っていく』『プログラムは乙女高原の森を守り育てていくことを基本フレームとして短期的・長期的,多面的な視点を持って実施していく』ということで落ち着きました。

■守るべき自然の姿を決める
 枠組み(目的)を『自然を守る』としたことで,ただ楽しいだけ,自然に親しむだけといった活動を抑制するしくみができただけでなく,もっと大きな効果が期待できました。というのも,『自然を守る』を目的とした以上,乙女高原の自然をどのような姿に保つことが『乙女高原の自然を守る』ことになるのか,その自然の姿をはっきりさせなければならないからです。
 「自然を守る」という言葉は,ある意味,机上の言葉にすぎません。個々の自然について「この自然をどのような姿に保つことが,ここの自然を守ることになるのか?」を決めなければ、まったく意味をなさない言葉です。
 乙女高原の森連絡会議で森林プログラムの目的を『自然を守る』に決めた以上,県や町(当時)も巻き込みながら乙女高原の保全目標や保全計画が決められる! ぼくにとって,それは画期的なことでした。
 しかも,連絡会議が発足した翌春,乙女高原のスキー場が更新されないことになりました。それは,とりもなおさず乙女高原を乙女高原たらしめていた初冬の草刈りを行うしくみが失われてしまうことを意味します。これは大ピンチです。
 乙女高原の森事業はソフト事業なので,いろいろなイベントを行わなくてはなりません。「どうせなら,『乙女の自然をどのような姿に保つのか?』という議論に結びつくようなイベントをしましょう」という岡部さんの提案で,乙女高原の今の姿を知る自然観察会や乙女高原の昔の様子をパネラーの方に語っていただくパネルディスカッション等のイベントを行いました。そして,それと並行して「乙女の自然をどのような姿に保っていくのか」の議論も進めました。その際,週末自然観察会で行ったアンケート結果も重要なデータになりました。
 2000年10月,議論の結果をまとめた『乙女高原の森の保全と利用に関する提言』という11ページにわたるレポートを県に提出しました。言ってみれば,乙女高原の自然を守るための『バイブル』『憲法』です。このレポートには,例えば「乙女高原の草原部分については亜高山性高茎草原の状態を今後とも維持する。そのために,初冬の草刈りを継続する」とあります。
 県も一緒になって作った,県の土地(県有林)に関する文章です。県はこの保全目標や保全計画を全うする義務を負います。ぼくらは乙女高原におけるこの成果を多くの人に知ってもらいたかったし,乙女高原の自然を守る県の責任を公の場で明らかにしたかったので,マスコミに取材依頼を申し込み,プレスリリースの時間まで取りました。(もっとつづく)
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