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 乙女高原ファンクラブ 公認
乙女高原メールマガジン第533号    2024.2.10.
  発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町)
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  ▲▼▲ もくじ ▼▲▼
NEW! 0.【ニュースニュース】
NEW! 1.【活動報告】第21回乙女高原フォーラム3 1月21日(日)
      岩科 司さんのお話2 地球温暖化と植物の未来
NEW! 2. 【観察報告】2月8日の乙女高原
    3. 【活動案内】3月の自然観察交流会     3月2日(土)
    4.【活動案内】2023年度総会        3月10日(日)
    5.【活動案内】第5期乙女高原案内人養成講座
    ■乙女高原自然観察交流会
    ■街の駅やまなし「乙女高原展」 書籍 ユーチューブ動画
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0.【ニュースニュース】
●1.乙女高原フォーラム(1/21)の岩科さんのお話の後半部分を載せました。地球温暖化が植物たちにどんな変化を与えるのか、それがまわりまわって私たち人間社会にどんな影響を与えるのか・・・多くの方に、ぜひ聞いていただきたいお話です。今後、岩科さんのお話は山梨CATVで放映されます(2/23~22/25 21:00から)。放映後、ユーチューブで配信されます。アドレスがわかりましたら、お知らせします→1

●2.2/7、2023年度の会計監査が無事終わりました。監査員の駒田さん、小林(奈)さん、会計の小林(茂)さん、代表世話人の角田さん、お忙しい中、ありがとうございました。

●3. (再掲) 3/10(日)14:00から山梨市役所牧丘支所の会議室で2023年度総会を開催します。今年度の活動を振り返り、来年度の活動計画や予算を決めます。会員の皆さんのご出席をよろしくお願いします→4

●4.2/8、雪の乙女高原、行ってきましたよ! もう最高でした!! 動物たちの足跡をじーっと見ていると、なんかその姿や行動が見えてくる気がするんですよね。スノーシューで積雪40cmの山を往復8kmというのは、さすがに答えました→2

●5. 普通会員の皆さんには会報とともに3/10総会の出欠ハガキ(欠席する場合の委任状も兼ねる)をお送りしています。忘れないうちに必要事項をご記入の上、早めにお出しください。

●6.第5期乙女高原案内人養成講座の受講者を募集しています。まわりの方にもぜひお勧めください。講座は5/26、6/9、7/28(いずれも日曜)の3日間です。定員30人。以下のページもご覧ください→5
https://fruits.jp/~otomefc/annainin2024.html

●7. 3/2(土)は今年度最後の「乙女高原自然観察交流会」です。9:00に「道の駅はなかげの郷まきおか」集合。集まった皆さんで相談して観察場所等を決め、乙女高原に向かいます。「ケガと弁当は自分持ち」です。自然観察交流会について、詳しくはこのメールマガジンの一番下の方をお読みください→3

●8. (再掲)山梨市駅の北口を出て、信号を渡ってすぐの「街の駅やまなし」で、乙女高原展をしています。シーズン40のテーマは「草花たちのライフ・ステージ」。一つの草花について3~5枚の写真で、異なるライフ・ステージの姿を紹介しています。
https://blog.goo.ne.jp/otomefcact/d/20231130

●9.乙女高原の活動ではありませんが、「乙女高原の写真屋さん」古屋光雄さんの写真展が開催されます。テーマは「水ものがたり」。3/1~3/31、場所は山梨市牧丘町窪平935の「写真工房hikari」ギャラリーです。11時~17時。入場無料で、月火水は定休日です。詳しくは古屋さん0553-35-3052。

●10. これも乙女高原の活動ではありませんが、山梨CATVのテレビ番組『教えてうえちゃん いつでもどこでも自然観察』の『ヒマラヤスギの観察』が山梨CATVで放映中です(15(木)まで)。毎日7:30、13:30、19:30の3回。なお、番組の「見逃し配信」がユーチューブで見られます。以下のユーチューブ・チャンネルから見たい番組をお選びください。乙女高原のスペシャル番組もありますよ。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLl4SoTwWyU5bYf0xy_SQYDvkeK8zu0yuC

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1.【活動報告】●岩科 司さんのお話2 地球温暖化と植物の未来●

※第21回乙女高原フォーラム(1月21日)で岩科さんがお話しされたことを植原が文字起こししました。内容は変えずに、言い回しを多少変えたところがあります。ですから、文責は植原にあります。

 ここからは、まったく話か変わります。温暖化の話です。温暖化と植物についてどんな話をしようかと考えた時に、まっさきに頭に浮かんだのがキリマンジャロでした。
 私は2017年にキリマンジャロに行きました。それまでも年間に5~6回、海外に行っていましたが、学会か調査のためで、自由に動き回ることができませんでした。定年退職したら、年に1回は海外の山に登ってやろうと思いました。最初に選んだのがキリマンジャロです。選んだ理由は単純です。アフリカに行くのなら、アフリカの一番高い所に行ってやろうということです。キリマンジャロは標高5895m。6000mにちょっと足りないくらいです。世界三大有名山岳というのがあるらしくて、エベレスト、富士山、キリマンジャロだそうです。
 
 キリマンジャロの登山口は標高1600mです。そこから、途中で高度順応しなくても2泊か3泊、高度順応した場合は4泊かけて標高5895 mの頂上を目指します。
 キリマンジャロは赤道直下にありますから、登山口付近は熱帯雨林です。木々にはコケや地衣がいっぱい付いていて、うっそうとしたジャングルが広がります。平地には、大きなバオバブの木も見られます。ツリフネソウ類の花も見ました。ホウセンカの仲間ですね。日本のツリフネソウといえば、ツリフネソウ、ハガクレツリフネ、キツリフネの3種しかありませんが、世界にはこの仲間が結構たくさんあります。「こんなきれいなツリフネソウはないな」と思って写真を撮りました。キリマンジャロ周辺固有の植物でImpatiens kilimanjariという学名が付いています。緋色のスカーレットのツリフネソウです。こんな植物がキリマンジャロ麓の熱帯雨林で見られました。
 3000~3600 m付近になると灌木帯になります。富士山と同じくらいの高さですが、ここは赤道直下ですから、この標高でも灌木景観です。灌木帯には、たとえばジャイアントセネシオというキク科植物が生えています。高いもので背丈は3mくらいになります。この仲間は日本にも雑草でいっぱいあります。ジャイアントセネシオは3000~3600 m付近のかん木帯のどこにでもあるわけではなく、川が流れているようなところにあります。要するに水が得られるようなところです。1~2mくらいの背丈のジャイアントロベリアという植物もあります。サワギキョウの仲間です。見た目はまったく違いますが、花の形を見るとサワギキョウにそっくりです。このような植物が灌木帯の中にポコポコと生えています。
 さらに登って4500m付近になると、砂漠景観が広がっています。ここまで来ると、生えている植物はPentaschistis minorというイネ科植物のみになります。乾燥地帯ですから、そもそも植物が生えられるような環境ではありません。このような環境にも耐えられる植物はこれ一種のみだと思います。
 頂上に立つと、麓は熱帯ですが、ここは-10℃、寒いです。稜線上を登ると、キリマンジャロの雪が見えます。赤道直下なのに、氷河があるんです。私が5700~5800mの稜線で見たのは5mくらいの高さの氷河でした。キリマンジャロの氷河は1912年から2007年までの95年間で85%が消滅し、遅くとも2033年には完全に消滅すると予想されています。
 ところが、頂上の温度というのはここ何年かで劇的に上昇してはいないんだそうです。氷河が無くなる理由は「温度が上がるから」ではありません。今の世界の環境を見てもわかる通り、温暖化が進むと、今まで起きなかったような大雪・大雨が降るか、とんでもないような乾燥化が起きます。キリマンジャロでは、温暖化に伴って生じる乾燥化によって、雨(雪)が降らず、その結果、氷河が無くなっているのだそうです。
 さきほど見たジャイアントセネシオはキリマンジャロとケニア山くらいにしかない植物ですが、生えている場所はちょっとした湿地、川が流れているような所です。氷河が無くなり、川に水が供給されなくなると、絶滅してしまいます。キリマンジャロでは、温暖化に伴ってこのような現象が起きています。

 2019年、インド北部の山に行こうと思い、インド北部出身のアメリカの研究者仲間に「今度、あなたの故郷に行くよ」とメールしたら、すぐに「あそこはとてもナイーブな土地で、危ないからやめろ」と返信がありました。インド北部のさらに向こうはパキスタンで、インドとパキスタン間にはまだ国境がありません。あるのは国境ではなく、停戦ラインです。つまり、今も戦争状態です。私が行こうとしていた場所は特に複雑で、中国領からは仏教徒が、パキスタン側からはイスラム教徒が入ってきます。インドは元々ヒンズー教です。3つの宗教が混じりあっていて、非常に危険です。
 ここにあるストック・カンリという山に登りました。標高6153 mの山です。それまで6000mを越える山は登ったことがなかったので、この山を選びました。さすがにこの歳だと7000とか8000mだとハードルが高いので目標を6000mにしました。4900mのベースキャンプから稜線に出て、稜線の上を歩いて山頂を目指しました。夜の10時にアイゼンやピッケルを持ってベースキャンプを出発し、エベレストに5回登ったという地元のガイドとザイルを結んで登りました。頂上に着いたのは朝の10時、ベースキャンプに降りたのが午後4時ですから、標高差1200mを16時間かけて登って降りてきたことになります。さすがにこの時は、テントに着いて、物を持とうとしたら、力が入らずに、物がストンと落ちてしまいます。「これはもう休まなきゃだめだ」と思って、そのまま寝てしまいました。「さすがに6000mを超える山は、簡単に上れる山ではないなあ」と思いました。
 この山も乾燥地帯にありました。4000m付近では、渓谷の真ん中に川が流れていて、川に沿う形で登山道が付けられていて、ベースキャンプまで登っていきます。こういうところには植物はほとんどありませんが、川沿いではいろいろな植物に出会えました。たとえば、Geranium himalayenseというフウロソウです。乙女高原でいうとタチフウロですね。花の大きさが5cm弱くらいです。フウロソウにしては、本当に大きくて、きれいです。名前にヒマラヤが入っていて、ヒマラヤ山脈でよく見られる植物です。Rosa webbianaというバラ科植物は、日本でいうとタカネバラに似た花です。ゴマノハグサ科のLancea tibeticaも咲いていました。一見、なんの仲間かわからなかったのですが、後で調べたら、こんな学名の植物でした。
 こういうところには、きれいな花を咲かす植物ばかりではなく、イラクサ科のUrtica hyperboreaという植物もありました。植物体のいたるところがトゲだらけで、このトゲは刺さるだけでなく、毒もあります。ですから、刺されると本当に痛いです。この谷には家畜が入ってきますが、この植物は絶対に食べません。ガイドにも「これだけは絶対にさわるな」と言われます。イラクサということで思い出すのは、パプアニューギニアに行ったときのことです。市場に行ったら、売ってるんです、イラクサ科の植物を。何に使うか聞いてみたら、肩に貼って、肩こりを治す薬だそうです。これを肩に貼ったら、とんでもないだろうなと思いますが。
6000m近くになると、植物がどうこうという世界ではありません。ガイドとザイルで結ばれずに滑落したら、たぶん1000mくらい落ちて、間違いなく死んでしまうような所です。そうなると、たぶん、遺体の収容はされないでしょうね。頂上に立つことができました。
 ストック・カンリ山はベースキャンプより上は氷と雪の世界でしたが、ここも環境の変化が進んでいました。私たちが行った年はたまたま雪が多くありましたが、話を聞いたら、前の年は雪がまったくなくて、頂上に登るのに苦労したそうです。雪があるとアイゼンとストックで登れるので、登りやすいんです。雪がないほうがかえって大変です。
 ここでも、植物は流れている川の水分を利用して生きていました。ですから、山の上の氷河が無くなってしまえば、当然、供給される水も無くなり、それらの植物は絶滅していきます。ああいうところは夏の間は、地元の人たちが家畜を連れてきて放牧します。植物が無くなれば、家畜の餌も無くなります。温暖化が進むことで、植物はもちろん、まわりまわって人間にも影響が現れるということです。

 このように、地球温暖化が進むと、積雪量の減少から乾燥化・砂漠化が起き、積雪からの水分を糧にしていた植物たちがなくなりますが、反面、乾燥化・沙漠化が進むと、とんでもない水害が起きることもあります。水害による環境破壊も起きてしまいます。このように、温暖化が進むと、相反した悪影響が生じます。
 また、温暖化によって、これまで侵入できなかった動植物が侵入できるようになり、生態系の破壊を産むことになります。先ほど、日本の帰化植物の話をしましたが、現在は交通機関が発達していますから、人は地球上のどこへでも行くことができ、今までだって、人の往来があると、人の服に付いていたり足に付いていたりしたり、あるいは家畜の餌にまぎれて、外来植物は入ってきましたが、今は本当にたくさんの植物が入ってきたり、逆に日本から海外に出てしまったりしています。
 そんな外来植物の9割9分までは、新たに入ってきたとしても、新たな生息地はもともとその植物の生息環境とは違うわけですから、いずれは絶滅します。ほんの一握りの植物だけが繁殖に成功します。その植物の自生地であれば、その植物を食べる動物やその植物に寄生する菌類がいるので、その植物が大繁殖することはないのですが、たまたま、新天地で繁殖できれば、そこには敵がいません。菌もいません。ですから、異常繁殖してしまいます。外国から入ってくることに成功する植物はほんとうに少ないのですが、ひとたび入ることに成功すると、オオハンゴンソウのように爆発的に増えてしまいます。

  【全体のまとめ】
 18世紀半ばから19世紀にかけて産業革命が起こりました。人類はそれまで農耕生活を送っていたわけですが、工業の発展によって、環境が急激に変化しました。産業革命から今まで、せいぜい200年経つか経たないかくらいなのですが、この間に、それまでの地球の歴史の何千年分もの環境の変化をもたらしてしまいました。あまりにも環境の変化が早すぎて、生物、特に動植物は環境変化に適応できません。
 生物にはときどき突然変異が起こります。でも、突然変異によって生まれた生物の性質は、その時の環境に適しておらず、絶えてしまうことがほとんどです。でも、たまたま、環境の変化が起きていると、突然変異によってその環境に適した性質を持つ個体が生き残って、やがて新たな種になることがあります。これまでは、地球の環境が少しずつ変化し、それに従って、動植物も少しずつ姿かたちを変えていって、今日の地球に至っています。植物についていえば、乾燥地帯から、山の上から、湿潤な熱帯地域から、水の中から、現在の地球上のすべての植物を合わせると、30万種あるといわれています。地球環境が少しずつ変わっていって、それに合わせて少しずつ変わっていき、30万種です。
 ところが、このわずか200年の間の急激な環境変化には、動植物はついていけません。特に世代交代の時間が長い動植物であればあるほど、突然変異の起きるスパンが長いですから、環境の変化についていくのが難しくなります。環境の変化に一番ついていきやすい生き物は、ウィルスと菌類です。コロナ・ウィルスを思い描きますが、ウィルスを生物と言っていいかという課題もあります。ウィルスと菌類は1日に何世代も世代交代が起きています。スパンが短いので突然変異も多く、あっという間に環境に適応してしまいます。抗菌剤をつくっても、あっという間に耐性菌が出てくるのは、世代交代が早く、その分、突然変異も生じやすいからです。

 特に、高山植物は現在でも稜線に近いところに生育しています。世界の一番上にいるわけです。日本で植物が生育している一番高いところは北岳の3100mです。これらの植物は、これ以上温暖化が進むと逃げ場がなくなってしまいます。あとはもう、この世から消えてしまうしかありません。

 人類も含めた動物は、すべてエネルギーを植物に依存しています。生物学では、葉緑素を持っている植物は独立栄養生物といいます。緑の植物は、お日様の光をエネルギーに、二酸化炭素と水を原料にして栄養素を作ることができます。それに対して、人間を含めた動物は従属栄養生物です。自分で栄養を作ることができない生物です。自分で栄養を作れないので、栄養を作れる植物を食べて栄養とするか、植物を食べた他の動物を食べて栄養とするかしないと生きていけません。ですから、人間を含めた動物すべては、植物がないと生きていけません。
 現在、私たちが使っている衣食住全部含めて、もともとの植物をたどれば、野生の植物です。野生の植物から、人間が知恵を使って、人間が利用できる植物をつくってきました。
 その中には、地球上の生き物の中で、人間だけが行っている植物の使い方もあります。それは、「植物をながめることによって心を癒す」という使い方です。これは人間だけがやっていることです。サルが花を見てうっとりしたという話は聞いたことがありません。
 野生の植物がなくなるということは、私たち人間が、自分自身の首を絞めていることになりはしないかと思っています。

 最後です。地球の環境を破壊したのは人類です。だけど、それを修復できるのも人類・・・だと信じます。

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2.【観察報告】●2月8日の乙女高原●

 動物の足跡を観察するアニマルトラッキングには最高の一日でした。雪が降ってすぐだと道の除雪が十分でないし、逆に、あまり日が経ってしまうと雪が新鮮でなくなります。山梨県でJR中央線も中央道も中央道と並走する国道20号も止まってしまった大雪から2日後、ちょうどよいタイミングで乙女高原に向かいました。自分自身の都合も前後3日間ずつは全部予定があり、この日だけ奇跡的に空いていました。しかも、とてもいい天気。
 雪が降ってから2日も経っているのに、木々の枝には雪がたくさん残っていました。覚悟を決めて、スノーシューをはきました。林道にはタイヤの跡も人の足跡もありません。「自分の前には道はない。自分の後ろに道ができる」状態です。サングラスを忘れていたら、まぶしくて歩きにくかったと思います。

 林道には動物たちの足跡がたくさん。点々とほぼ一直線に付いているのは、たぶんキツネ。左右に二つずつ付いているのはテン。ですが、まぎらわしいのがいっぱい。レールが駅の手前で二手に分かれるみたいに、二筋に分かれている足跡があります。でもどう見ても一筋の区間は一匹が付けたものに見えます。「あれ、ここまでは1匹? ここからは分身の術??」キツネにバカされました。
 なんの動物かまったくわからない跡もあります。しばらくその筋を追いかけ、立ち止まって、いろいろな可能性を考えます。考えながら、ふと上を見ると、電線。あっ、電線に積もった雪が落ちて来たのか。「だまされた!」と一人大声を出してしまいました。キツネどころか電線にもバカされました。
 日なたの雪は表面がいったん解けて、また凍ったのだと思います。表面が少し固くなっているので、軽い動物、足裏の接地面積が大きな動物の足跡は雪の中に埋もれないで、表面にうっすら付いているだけです。こういう足跡だと、爪の付き方もよく見えます。とはいえ・・・時々、やわらかい雪の上に足を乗せてしまうらしく、ズボッと穴が開いています。スッスッとせっかくスムーズに歩いてきたのに、ズボッというのはずっこけるでしょうね。そのときの顔が見てみたいものです。
 シカの足跡は一つ一つの穴が他の動物に比べてずっと深いし、穴の底にはひづめの跡が付いているので、それとわかります。こんなに深く潜ってしまうのですから、相当歩きにくいと思いますよ。シカのひづめは2本。イノシシやキリンと同じです。ヒトでいうと、中指と薬指だけで立っていることになります。こんなに細い脚ですから、当然、接地面積も狭く、そうなると、脚が雪に突き刺さってしまい、深い穴になるというわけです。今日、私はスノーシュー(接地面積が大きい)を履いているので、いつもの山歩きよりはずっとしんどいですが、それでも、長靴(接地面積が小さい)を履いて雪に深い穴を開けてしまうよりはずっと歩きやすいのだと思います。
 とまあ、歩いていると、次から次に足跡が登場してくるので、それらを「観」て「察」していると、本当に楽しいです。

 面白いのは、それだけではありません。多くの木が傾いていました。
 乙女高原に近くなると、木々の枝の雪の量も半端ではありません。道脇に立っているモミの木(ウラジロモミ)は道路側が空いているので、こちら側の枝はよく張っています。一方、道路の反対側(森側)は陽当たりが悪く、枝もあまり張っていません。そんなモミの木に雪が降ると、道路側の枝の方にたくさんの雪が積もります。しかも、今回の雪は湿っています。湿っているということは粘り気があるということなので、枝に積もった・・・というより枝に付いた雪はなかなか取れません。木の道路側の方が重くなってしまい、道路側に傾いていました。
 木の柵に積もった雪なんて、もっとおもしろかったですよ。柵は細いので、雪はすぐに落ちてしまいそうですが、粘り気がある雪なので、そのまま上に付きます。そのうち、重みでズルッと下がってくるのですが、粘り気があって、途中で切れません。太麺の両端を左右の手で持ち、少し手を近づけた感じです。弓のようにグニャリと曲がっていました。吊り橋のようにも見えます。
 柵の杭のてっぺんに雪が積もっているのですが、まるでろうそくのようです。
 カーブミラーが、なんか夏の印象と違います。立ち止まって考えて、わかりました。雪がたくさん積もっているので、カーブミラーと支えている棒の比率が「おかしく」見えていたのです。夏は八頭身、雪が降ったら三頭身といった感じです。

 いつもの倍以上の時間をかけて、乙女高原に到着。一面、銀世界です。
 谷地坊主を見に行ったら、坊主たちの姿が見えません。でも、雪が谷地坊主に沿って、ぼこぼこしているので、その存在感は消せません。
 深いところで40cmの雪でした。森の中もモミの木に雪が積もっているのが目立っていました。もう枯れてしまった「マザーツリー」のまわりに、若いモミの木が林立しているところです。まるでクリスマスツリーの並木の間を歩いているようでした。
 草原内でウサギの足跡を見ました。これも追いかけていくと、途中で直角に方向転換していたり、面白い。本当に久しぶりですが「ウサギの赤ション」も見ました。ノウサギのメスは繁殖期になると赤いおしっこをして、雪を赤く染めます。この匂いをオスのウサギが嗅いで、興奮するらしいです。以前、見つけた赤ションをフィルムケースに入れて持ち帰り、学校のウサギに試しに嗅がせてみましたが、何の反応もありませんでした。

 お昼を食べ、なにかあったら困るので、早めに出発しました。行きとほぼ同じ道を歩いたのですが、帰りはリスの足跡によく気づきました。お日様の位置で、足跡にできる影がくっきり見え、見つけやすかったのだと思います。
 往復8kmのスノーシュー・ハイクはさすがにしんどかったですが、それ以上に楽しかったです。案の定、翌日は筋肉痛でした。

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3.【活動案内】●3月の自然観察交流会● 3月2日(土)

・9:00道の駅「花かげの郷まきおか」集合。乗り合わせで乙女高原へ
・弁当、観察用具等持参。

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4.【活動案内】 ●2023年度総会● 3月10日(日)

日 時 3月10日(日)午後2時~(準備は1時半から)
場 所 山梨市役所牧丘支所

次 第
 1.開会のことば
 2.代表世話人あいさつ
 3.来賓あいさつ
 4.議 事
  ①2023年度活動報告
  ②2023年度収支決算報告
  ③会計監査報告
 ④2024年度活動計画提案
  ⑤2024年度収支予算提案
 5.その他
 6.閉会のことば

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5.【活動案内】●第5回乙女高原案内人養成講座●

 乙女高原を案内することによって乙女高原の自然を守る輪を広げようと、2003年から3年間に渡って開催し、2008年に第4回を開催後,16年間行われていなかった乙女高原案内人養成講座を開講します。乙女高原を知り,守り,そして伝えるノウハウが満載の講座です。これを機会に,ぜひ,乙女高原のことを知り,ファンになり,そして,乙女のことを伝えるメッセンジャー「インタープリター」になってください。

※特設ページ (ここから申し込みフォームにも行けます)
https://fruits.jp/~otomefc/annainin2024.html

・募集定員 30名(申し込み多数の場合は抽選)
・養成講座 5/26、6/9、7/28(いずれも日曜) 計3日

・講義と実習を通して、自然観察の手法、案内の技術、自然保護の知識、乙女高原の地形地質・植物・動物・歴史などを学びます。

●第1回 5月26日(日)  会場:山梨市民会館と万力公園
 開講式 野外実習「インタープリテーション体験」
 講義「インタープリテーション」「自然の保護」「乙女高原の歴史」

●第2回 6月9日(日)  会場:乙女高原
 実習「乙女高原の地形地質」「乙女高原の動物」

●第3回 7月28日(日)  会場:乙女高原
 実習「乙女高原の植物Ⅰ」「乙女高原の植物Ⅱ」
 ワークショップ「今後の活動について 閉講/修了式

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  ■2023年度 第8期 乙女高原観察交流会■
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険などすべて自己責任となります。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にしたり、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。

※今後の予定
 ⑫03月02日(土)集合:09:00・道の駅

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  ■街の駅やまなし・乙女高原展■
中央線山梨市駅すぐ北(北口から出て、すぐの信号を渡り、北に向かって歩いてください。郵便局の北です)の「街の駅やまなし」には常設の乙女高原コーナーがあります。
https://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/citizen/docs/yamanashi_02.html
現在、シーズン40「草花たちのライフステージ」の展示をしています。
https://blog.goo.ne.jp/otomefcact/d/20231130

  ■『乙女高原の自然観察』■
A5判32ページ、オールカラーで、1ページに1テーマずつ記事を載せています。頒価300円。送料は1冊だと140円、2~8冊だと180円。送付を希望される方は、送料込みの金額をご送金ください。

  ■『乙女高原大百科』■
厚さ3cmという分厚い本。A5判602ページ(カラー194ページ)。頒価2000円。送料は1~2冊なら370円。送付を希望される方は、送料込みの金額を送金ください。

  ■「教えてうえちゃん いつでもどこでも自然観察・乙女高原スペシャル」■
山梨CATVが制作した動画がユーチューブ・チャンネルで公開されています。約1時間、植原が乙女高原の案内をします。乙女高原三昧の番組です。
https://youtu.be/g_9EuQ3A3f4

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