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  乙女高原ファンクラブ 公認
 乙女高原メールマガジン第571号  2025.2.13.
  発行者:植原 彰(乙女高原のある山梨市牧丘町在住)
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  ▲▼▲ もくじ ▼▲▼
NEW! 0.【トピックス】
NEW!  1.【観察報告】2月11日の乙女高原
NEW!  2.【活動報告】乙女高原フォーラム~高槻さんのお話②
     3.【活動案内】自然観察交流会    3月1日(土)
     4.【活動案内】2024年度総会     3月16日(日)
     5.【活動案内】第Ⅵ期乙女高原案内人養成講座
     ■乙女高原自然観察交流会
     ■街の駅やまなし「乙女高原展」/書籍/ユーチューブ動画
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【メールマガジンのバックナンバー】 https://fruits.jp/~otomefc/maga.html
【乙女高原ファンクラブのサイト】 http://fruits.jp/~otomefc/
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0.【トピックス】
●1.1/26 (日)「第22回乙女高原フォーラム」での高槻さんのお話・第2弾です。本メールマガジンは「文字のみ」ですので、よろしければ、以下の資料を見ながら、読んでください。フォーラムの配布資料です→2
https://fruits.jp/~otomefc/2025.1.26forumshiryou.pdf

●2.乙女高原ファンクラブの会報2404号が完成し、クラブ普通会員の皆さんにお送りしました。今号は、編集長を鈴木さん、編集委員を井上さん・植原、印刷を芳賀さん・三枝さん、発送を岡﨑さんの協働作業でした。編集・印刷・発送に関わった皆さん、ありがとうございました。会報はサイトでも読むことができます(pdfファイル)。カラーです!!
https://fruits.jp/~otomefc/newsletter2404.pdf

●3.もし、メールマガジンをお読みで、乙女高原ファンクラブ会員ではない方がいらっしゃいましたら、ぜひご入会ください。年会費等金銭的な約束事は一切ありません。会員が一人増えることによって、乙女高原を守る力が一人分増えます。現在、入会者数は912人です(サイトのトップページに書いてあります)。まわりの方もお誘いください。

●4.メールマガジン前号で伊佐治さんがリポートしてくださった「シカ柵の金網の間から口を伸ばして、シカがシカ柵内の笹を食べている」件についてです。仕掛けたセンサーカメラのデータを2/11に回収したのですが、セットの際、間違ってビデオではなくカメラ・モードにしてしまい、単発的な写真しかありませんでした。シカは映っていましたが、柵の中に口を突っ込む決定的瞬間はありません。ビデオ・モードに直して再チャレンジしています。

●5.同じく2/11に気温(百葉箱内で常時1時間おきに測定中)のデータを回収しました。1/1~2/11の42日間の平均気温は-4.8℃、最高気温は6.0℃(1/20の12:00)、最低気温は-14.0℃(2/6の2:00)でした。真冬日(最高気温が0℃未満の日)は15日ありました。

●6.(再掲)JR中央線・山梨市駅北口からすぐの「街の駅やまなし」に乙女高原の常設展示があります。今はシーズン47「乙女高原にカヤネズミはいるか?」。カヤネズミの巣の本物も展示していますよ。
https://blog.goo.ne.jp/otomefcact/d/20250128

●7.(再掲) 3/16(日)に予定されている2024年度総会で、世話人の改選が行われます。「改選」といっても、「立候補」された方が「総会で承認」されれば世話人です。世話人は、ご自分の都合の付く範囲内で、乙女高原の会議に出席したり、運営に携わったりします。乙女高原を次の世代に確実に譲り渡すために、ぜひ、世話人への立候補をご検討ください→4
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1.【観察報告】●2月11日の乙女高原●

 2/1の自然観察交流会(メールマガジン前号参照)の時と違って、乙女湖も金峰山も道路も真っ白でした。サラッサラな雪。足で踏んでもガザッとかバリッという、うるさい音はなく、サラッと足が入っていきます。これで20cmも30cmも足が入ったら、歩きにくくてたまりませんが、せいぜい積雪10cm程度。長ぐつで十分快適でした。

 サラサラ雪だけあって、動物の足跡もいっぱい。そして、形が読み取りやすい!! 動物たちは湿地の木道の上をこぞって歩いているらしく、雪の足跡がにぎやかでした。こっちはテン、こっちはウサギ・・・だけど2頭が追いかけっこでもしていたように見えました。ネズミの足跡も発見。鳥の足跡に似ていますが、右足と左足の間にしっぽをひきずった痕が付くので、それと分かります。ヤマドリのどっしりした足跡もありました。
 林道の側溝の水が凍って、氷の高さがどんどん高くなり、やがて氷が道路まであふれている箇所がありました。道路の上がスケートリンクになってしまいました。こんなところを車で通りたくないなあ。

 乙女高原に着いたら、まずはデータロガーで計測している1時間毎の気温データの回収です。持って行ったパソコンにロガーをつなぎ、データを回収。結果は【トピックス】●5で紹介した通りです。気温はロッジ前の百葉箱と、富士山の見える展望台の看板脇のミニ百葉箱の中で測っています。
 シカ柵の金網の間から口を伸ばして笹の葉を食べようとしているシカの姿を記録しようと設置したセンサーカメラのデータも回収しました。そのいきさつは【トピックス】●4に書いた通りです。

 草原内を歩き回りましたが、一番目立ったのはテンの足跡です。その中でも、特にカッコよかったのは、スキーの「大回転」みたいに、ポール(乙女では、やぶ)ぎりぎりのところでカーブを切って、次のポール(やぶ)に向かって、雪煙をあげながら走っている(←これはあくまで、ぼくの想像)足跡です。ゆっくりのときは、シャクトリムシが歩くように体を動かすので、足跡が2つずつ(左右の脚で2つ。前脚を付いた同じ場所に後脚を付くことが多いです)付くのですが、ギャロップになると足跡が3つずつ付いているように見えます。
 ウサギの古い足跡もありました。新しいのがなかなかないなあと思っていたら、ありました。ウサギの新しい足跡。
 ウサギは長い(大きい)後ろ脚を左右揃って地面に付きます。(後ろ脚に比べて)小さな前脚は前後にずれて付きます。模式的に描くと「=‥」こんな感じ。「=」が後ろ脚で「‥」が前脚です。ウサギは、ちょうど人が跳び箱を飛ぶときのように、「前脚の前方に後ろ脚を付く」ので、この場合、進行方向は左になります。特徴的な足跡なので、間違えることはないはずなのですが、どうも怪しい。というのも、「=‥ =‥ =‥」とずっと同じペースで足跡が付いていません。
 目で追いかけると、ウサギの足跡だと思っていたのに、テンのギャロップみたいになって、あれれ、テンみたいに二つずつの足跡に変わった!! こんなふうに足跡観察では、一個一個の足跡(英語ではfoot print)を観るだけでなく、一連の流れというか足跡のリズムというか(track)を目で追いかける必要があります。足跡のtrackを観察したところ、どうもだまされている気がしたので、foot printをフィールドノートにスケッチし、じっくり観察しました。すると、ウサギにしては、前脚と後ろ脚の大きさがそんなに変わりません。また、後ろ脚と前脚の位置も近すぎる気がしました。もしかしたら、テンがウサギに化けて、駆けていったのかもしれません。ウサギにしては「うさん臭い」し、「テン」が化けている可能性が高いと思ったので、今度から、このようなうさん臭いウサギの足跡を見つけたら「ウサンギ」と記録することにしました。

 水が森林道を歩いていたら、急に左斜面からシカが出て来て、そのまま林の中を駆けていきました。お尻の白い毛を大きく膨らませていました。シカが警戒している証拠です。ぼくは立ち止まって、ジッとしていました。そしたら、シカも林の途中で止まり、ジッとこちらを見ています。ゆっくり双眼鏡を目に当てて見てみると、黒くて、大きくて、まあるい、かわいい目でこちらの様子をじっとうかがっています。子どものメスジカでした。一頭だけです。まだまだ寒くて厳しい冬は続きます。つづがないよう祈りました。

 帰る途中、谷地坊主の湿地を歩きました。雪や氷のお風呂に顔の途中までひたっているゲゲゲの鬼太郎がいっぱいです。気持ちよさそうに見えました。アオシギには会えずじまいでした。
 焼山のあたりで、今シーズン初めてリスの足跡を見ました。ウサギに似ていますが、ウサギよりずっと小さくて、前脚がずれずに、そろって付きます。
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2.【活動報告】●乙女高原フォーラム~高槻さんのお話②●

 刈り取り実験のまとめをします。
・群落の刈り取りをした。
・ススキは1年の刈り取りでは大丈夫だったが、強い刈り取りを続けると減少。
・6月刈りよりも9月刈りの方が効果的
・乙女高原で虫媒花が減ったのはシカに食べられ、その影響が、種により違うから
・ススキは耐性があり、虫媒花は弱い


■小さな柵と訪花昆虫
 加古さんの調査を引き継いで大竹翔子さんが「乙女高原での調査研究」をバトンタッチしてくれました。柵の外にはシカがいて虫媒花が食べられますが、一方、柵の中では虫媒花が順調に育っているはずです。加古さんの調査では柵外の花は3個/㎡、柵内は319個/㎡と、百倍も違っていました。また、花に来ている昆虫の数も柵内のほうがずっと多くなりました。加古さんの調査では4倍でしたが、大竹さんの調査では5倍になりました。
 その記録を、左側に見られた花の種類、右側は来ていた昆虫の種類を書いて、線で結ぶという図に整理しました。カワラナデシコにハナアブが訪れていたら、これらを線で結びました。柵外の図では、線(花と昆虫のリンク)は4本のみで、しかも全部低頻度なので点線で示しました。ところが、柵内の図では、線は17本と多く、また点線だけでなく実線(訪花50回以上)もありました。このように、柵内では、訪花の頻度が高く、組み合わせも複雑で、より複雑なネットワークが形成されていたことがわかりました。
 まとめます。
・小さいシカ柵の外ではススキ、中では虫媒花が多かった
・訪花昆虫の数は柵内が5倍も多かった


■シカ柵の効果1 植物
 ここで私は大学を辞めましたが、引き続き、ファンクラブの皆さんと、大きなシカ柵(柵内面積約6ヘクタール)で調査研究を続けています。一つは、高さ2メートルほどのポールを立てて、同じ場所で植物の変化を追跡する調査です。ポールを立てたのは、調査のたびに場所を変えると、調査結果が変化したとしても、時間によって変化したのか、場所が違うから違っていたかがわからないからです。こういう場所を10箇所設定しました。
 私の予想は、小さなシカ柵でもそうだったのだから、大きなシカ柵の中でも次第に虫媒花が増えてくるはずだ・・・というもので、実際そうなのか調べてみました。
 調べてみると、最初のうちには変わらないか、ちょっと増える程度でした。予想と違うなとちょっとあせる気持ちもありましたが、4年、5年、6年、7年・・・と、確実にススキが減ってきました。植物の量を表す「バイオマス指数」の変化を見ると、2015年には2000だったススキは2018年には1500弱に、2022年には500弱に減りました。もともとの量が多いススキが減るというは草原全体にとってとても大きな意味があります。ススキと同じイネ科のヤマアワも同じように減りました。
 逆に、虫媒花であるイタドリやシシウド、チダケサシは柵を作って5年ほどで戻ってきました。シモツケソウはまだ少なめです。
 植物の量の変化にはいろいろなパターンがありました。マツムシソウは柵設置後、一回増えて、減って、また増えました。風媒花のヨモギも増えて、減って、また増えています。シダの仲間のヘビノネゴザも確実に戻ってきています。
 虫媒花のヨツバヒヨドリはずっと少なかったのですが、柵設置後5年で急に増えて、その後、安定しています。
 増えた後で減ってしまい、その後、減ったままという植物もあります。カラマツソウやゴマナです。その理由はよくわかりません。キンバイソウやワレモコウは、増えたり減ったりを繰り返しています。この理由もよくわかりません。自然は単純ではなく、我々の浅知恵を裏切ることはよくあることです。だからこそ、おもしろいということもあります。
 調べた方形枠の中には木も少しありました。ヤマハギは増減を繰り返しましたが、秋の草刈りでも刈り取られますから、当然かなと思います。ダケカンバやレンゲツツジも一定の傾向はありませんでした。
 大きいシカ柵で10年を追跡した植物調査のまとめをします。
・刈り取り実験でわかったように、イネ科は刈り取りに強く、双子葉草本は弱いことが実証された
・ススキは5年ほど経ってから減少した
・多くの双子葉草本(虫媒花)は増加した(タイミングは種によって違う)
・傾向のはっきりしないものもあった
・木本は刈り取りの程度によるようだった


■シカ柵の効果2 花と虫のつながり
 シカ柵を設置して虫媒花が戻ってきたのだから、虫も戻ってきているはずです。それを調べました。花に来る虫の「種」まで判別するのは難しいので、見分け方の図解シートを作りました。「チョウ」「ガ」「ハチ」「ハエ・アブ」「甲虫」「その他」の6つのうちのどれだったかを調べました。もちろん、詳しくわかるもの、たとえばマルハナバチについては、種まで同定しました。ハエ・アブの中にはハチそっくりに擬態しているものもいるので、そこは注意しました。
 集まった調査員で相談して、どの調査コースを歩くのかを決めました。一人の調査はたいへんなので、たいがいは2人1組としました。説明終了後、コースを分担して、歩いて調査しました。調査票に必要事項を書き込む形で調査は進めました。コースを決めると、調査する前に巻き尺を張って、距離が特定できるようにします。記録は、いつ(何時何分に)、どこで(どのコースの何mのところか・・・)、なにに(植物名)、なにが(昆虫名)来ていたかを記録の1単位とし、調査票の1行に記載しました。
 集まった調査票が私(高槻)のところに送られてくるので、それをパソコンのエクセル表に打ち込んでいきます。できた記録一覧で、花の名まえと虫の名まえを整理して、縦に植物・横に昆虫という一覧表にして、どんな花に、どんな虫が何匹来ていたかが一目でわかるようにします。
 すると、例えば、2024年8月18日の調査では、イタドリは「アブ17、アリ17、甲虫6、ハエ60、ハチ103」とハチが多く、ヤマハギは「アブ3、カメムシ11、甲虫11、チョウ2、ハチ2、マルハナバチ319」と圧倒的にマルハナバチが多く、マツムシソウには「アブ203、甲虫4、ハチ3、マルハナバチ1」と、こちらは圧倒的にアブが多いという結果になりました。このように花の種類によって、訪花昆虫の種類があきらかに違うということがわかりました。
 この日の訪花昆虫数は2,268。こんなに多くのデータを入力して整理するのはとても大変です。この「2,268」というのは、一番多い8月のデータ数で、他の月はそれほどではありませんが、大変ではあります。これを毎年、繰り返しています。
 それで気が付いたことは、昆虫の口と花の形の関係です。
 昔は、ご飯を準備しているとハエが飛んできて、追い払ったものですが、追い払われないでご飯に止まったハエたちは、ご飯を「舐め」ます。ハエはスタンプみたいな口をしているから蜜を舐めます。舐める口を持った虫はシモツケやイケマに来ていたのですが、これらの花は浅い皿型でした。
 一方、ノハラアザミの花は、たくさんの小さな花が集まって一つの花をつくっているのですが、小さな花一つ一つを見ると、細長い筒型です。こういう花にハエが止まって蜜を舐めようと思っても、蜜は細長い筒の奥にありますから、舐めることができません。でも、蝶なら細長いストローのような口を持っているので蜜を吸うことができます。アサギマダラがよく止まるヨツバヒヨドリの花も細長い筒型の花の集合体です。
 また、ヤマハギの花を見ると、突き出した花びらの中にオシベとメシベが隠れています。この花にはマルハナバチがよく訪れますが、マルハナバチは、びっくりするほど口が長くて、体の半分くらいもあります。長いだけでなく、花に潜り込んだら、花を口で左右にこじ開けて、奥にある蜜を吸います。ヤマハギなどの複雑な形の花は、ハエが来ても中に潜り込んだり、花をこじ開けたりするのは無理で、マルハナバチのような虫でないと蜜は吸えません。
 複雑な形の花といえば、トリカブトという花があります。皆さんが見ているのが花だと思われていますが、じつはあれは萼(がく)なんですね。萼には下の萼、両サイドの萼、上にあって花全体を覆っている萼(細長ヘルメット?!)があり、上の萼の内側に花びらがあって、その中に蜜が入っている・・・という複雑さです。マルハナバチはまず、この花の下の萼を頼りに止まって、両サイドの萼を押し開きながらよじ登っていき、このとき、花粉がお腹に付きます。それから上の萼の内側にある花びらの中に入って、蜜を吸う・・・という、とんでもなく複雑なことをしています。特殊化した口を持った昆虫でないと吸えないということです。
 世の中おもしろいもので、下の正面玄関から入るのは面倒なので、上の萼の側面を食い破って、中の蜜を吸うやつがいます。これを「盗蜜」と言います。これは賢い行動で、このハチ個体は何かの偶然でこのやり方を覚えたのだと思います。一度盗蜜を覚えたハチ個体は繰り返しこういう食べ方をしていると思います。
 データを整理してみると、皿型の花であるミツバツチグリやキジムシロには、ハエ・アブが多いかなと予想しましたが、春の早い時期に咲く花だからかもしれませんが、甲虫が多かったです。甲虫も細長い口は持っていませんから、この結果には納得できます。
 同じ皿型でも、少し深めのヤマラッキョウにはアブ・ハエが多く、タチフウロにはハチ・マルハナバチが多く来ていました。長い口を持っている虫は、筒型の花だけでなく、皿型の花も利用できますから、こういう結果になったのだと思います。
 筒型の花であるノアザミ、ノハラアザミにはチョウ・ガや甲虫、ハエ・アブも来ていました。筒型ですから細長い口を持っていないと蜜は吸えませんが、甲虫やハエ・アブも来ていたのは、たぶん花粉を食べていたからだと思います。
 複雑な形のヤマハギは、圧倒的にマルハナバチに人気で、ほとんど独占状態でした。
 キク科のシラヤマギクやヨツバヒヨドリ、アキノキリンソウは筒型の花を持っていて、ハチは確かに来ていましたが、花粉を舐めにきているのであろうハエ・アブもよく来ていました。
 データを整理してみると、季節ごとに、春はミツバツチグリやキジムシロ、初夏はキンポウゲやノアザミ、その後、夏のタチフウロやオミナエシ、秋のノハラアザミ、アキノキリンソウといった具合に訪花のピークがあり、春から秋まで次々と、いろいろな花が咲き継いで、そこにいろいろな虫が来るというとこがわかりました。

【加古さんのデータとの比較】加古さんがとってくれた2013年のデータと2024年のデータを比較してみると、2013年に一番訪花昆虫数が多かったヨツバヒヨドリへの訪花は少し減ったけれど、他の花への訪花昆虫は軒並み多くなったことがわかりました。特にヤマハギ、タチフウロは激増ですし、シラヤマギク、イタドリ、オミナエシ、イケマなどは2013年にはまったく無かったのに、2024年には多くの訪花が見られました。
 シカ柵が作られたことによって、一連の植物が回復し、そこに多くの昆虫が訪れるようになったということです。以前多く見られたヨツバヒヨドリはシカが食べない植物です。それが咲いて、そこには虫は来ていましたが、シカ柵設置後の今は、それ以外の植物もたくさん咲いて、それらにたくさんの虫が来ていることがはっきり示されました。数字で表すと、2024年の訪花数は2013年の9倍です。10年間で、こんなにも「花と虫のつながり」が戻ってきました。
 これらの調査をまとめます。
・ススキが減り、双子葉が増えた。中でも虫媒花が大幅に増加した
・虫媒花が増えたら訪花昆虫も増えた
・月ごとに花や虫の入れ替えがあった
・つまり、生物多様性が戻ってきた

 2010年ころにはススキが優占した草原だったのに、シカ柵を作ったことによって、柵内には双子葉植物が戻ってきて、そこに虫がやってくるようになったということです。

 これらの調査は多くの人の協力を得たからこそ行うことができました。植原さんの記録によれば、計61人、のべ256人だということです。
 調査はお昼で終わることもありましたし、午後にかかることもありました。ベンチに座ってお弁当を食べながら、ああでもないこうでもないお話をして過ごすのですが、私はあんまり馴染みがなかったんですが、山梨の習慣でしょうか、必ず誰かが漬物を持ってきて(会場から笑い)、それをおいしくいただきながら、おしゃべりしました。
 これで終わりということではなく、これからも続けたいと思います。いつも楽しい調査をありがとうございます。
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3.●乙女高原自然観察交流会● 2025年3月1日(土)

日 時 2025年3月1日(土) 午前9時~ 午後3時ころまで
集 合 道の駅 花かげの郷 牧丘
持ち物 弁当、飲み物、防寒具、雨具、観察用具

集まった人で相談して、場合によっては車の乗り合わせで、乙女高原に向かいます。
途中で寄る場所も、相談して決めます。
すでに林道は冬季閉鎖になっていますので、「現地集合」はできません。
積雪の可能性が高いです。長ぐつ等をご用意ください。
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4.【活動案内】 ●2024年度総会● 3月16日(日)

●ニュースレター2404号に同封された「出欠ハガキ」にご記入の上、投函をお願いします。
●世話人への立候補をよろしくお願いします。

日 時 3月16日(日)午後2時~(準備は1時半から)
場 所 山梨市役所牧丘支所
次 第
 1.開会のことば
 2.代表世話人あいさつ
 3.来賓あいさつ
 4.議 事
  ① 2024年度活動報告
  ② 2024年度収支決算報告
  ③ 会計監査報告
  ④ 新規世話人への立候補と承認
  ⑤ 新旧世話人のあいさつ
  ⑥ 2025年度活動計画提案
  ⑦ 2025年度収支予算提案
 5.その他
 6.閉会のことば
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5.【活動案内】●第Ⅵ期乙女高原案内人養成講座●

 乙女高原を案内することによって乙女高原の自然を守る輪を広げようと、2003年から3年間に渡って開催し、2008年に第Ⅳ期、2023年に16年ぶりに第Ⅴ期を開催し、今期の養成講座です。
 乙女高原を知り,守り,そして伝えるノウハウが満載の講座です。これを機会に,ぜひ,乙女高原のことを知り,ファンになり,そして,乙女のことを伝えるメッセンジャー「インタープリター」になってください。

ちらしのQRコードもしくは特設ページから申し込みフォ-ムがリンクしていますので、そこから申し込みください。
※ちらし
https://fruits.jp/~otomefc/2025annainin.pdf
※特設ページ
https://fruits.jp/~otomefc/annainin2025.html

・募集定員 30名(申し込み多数の場合は抽選)
・養成講座 5/25、6/8、7/27(いずれも日曜) 計3日

・講義と実習を通して、自然観察の手法、案内の技術、自然保護の知識、乙女高原の地形地質・植物・動物・歴史などを学びます。

●第1回 5月25日(日)  会場:山梨市民会館と万力公園
 開講式 野外実習「インタープリテーション体験」
 講義「インタープリテーション」「自然の保護」「乙女高原の歴史」
●第2回 6月8日(日)  会場:乙女高原
 実習「乙女高原の地形地質」「乙女高原の動物」
●第3回 7月27日(日)  会場:乙女高原
 実習「乙女高原の植物Ⅰ」「乙女高原の植物Ⅱ」
 ワークショップ「今後の活動について 閉講/修了式

※養成講座を支えていいただくスタッフを募集します。スタッフになれば、受講者と一緒に講義や実習を見聞きすることができます。講座は3日間行われますが、1日だけの参加も可です。
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  ■2024年度 (第9期) 乙女高原観察交流会■
●乙女高原ファンクラブとしての行事でなく、参加者各自の自主的活動として行うもので、活動に伴う旅費や飲食、傷害保険※などすべて自己責任となります。
●基本的には9:00、道の駅まきおか集合です。そうでない場合は、予定表の( )内をご覧ください。
●途中からの参加や、午前中だけの参加など自由ですが、解散時間の目安は、現地3時、道の駅3時半とします。
●雨天の場合などは現地には行かず、道の駅での交流会にする、早めに散会するなど、参加者各自の意思で決めてもらいます。
●参加者は、乙女高原ファンクラブのメルマガメンバーとしますが、お知り合いを同行されることは自由です。
●乙女高原観察を通した交流目的のため、参加者間で情報を共有できるように、乙女高原ファンクラブ世話人会の了承のもと、メルマガなどを利用させていただきます。
※2024年度から傷害保険に加入しています。

   【2024年度の予定】
【終了】 4月 6日(土) ヤマアカガエル産卵調査と兼ねる
【終了】 5月12日(日) 遊歩道づくりの午後(13:00ごろから、乙女高原)
【終了】 6月 1日(土) 黄色いスミレ観察会と兼ねる (集合時刻は8:30)
【終了】 7月 6日(土) 谷地坊主の観察会と兼ねて (集合は10:00、乙女高原)
【終了】 8月 3日(土) マルハナバチ調べ隊と兼ねて (集合は10:00、乙女高原)
【終了】 9月 7日(土) マルハナバチ調べ隊と兼ねて (集合は10:00、乙女高原)
【終了】10月 5日(土)・・・6日に延期 訪花昆虫調査と兼ねて(集合は9:40、乙女高原)
【終了】11月16日(土) 草刈りボランティアの準備 (集合は9:00、乙女高原)
【終了】12月 7日(土)
【終了】 1月11日(土)
【終了】 2月 1日(土)
  3月 1日(土)
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  ■街の駅やまなし・乙女高原展■
中央線山梨市駅すぐ北(北口から出て、すぐの信号を渡り、北に向かって歩いてください。郵便局の北です)の「街の駅やまなし」には常設の乙女高原コーナーがあります。
https://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/citizen/docs/yamanashi_02.html
現在、シーズン47「乙女高原にカヤネズミはいるか?」の展示をしています。
https://blog.goo.ne.jp/otomefcact/d/20250128

  ■案内人養成講座テキスト『伝えることで守る乙女高原の自然』■
A4判270ページ、モノクロ。頒価1,500円。送料は1~2冊なら430円。送付を希望される方は、送料込みの金額を送金ください(郵便振替口座等は下に)。

  ■ガイドブック『乙女高原の自然観察』■
A5判32ページ、オールカラーで、1ページに1テーマずつ記事を載せています。頒価300円。送料は1冊だと180円、2~8冊だと210円。送付を希望される方は、送料込みの金額をご送金ください(郵便振替口座等は下に)。

  ■『乙女高原大百科』■
厚さ3cmという分厚い本。A5判602ページ(カラー194ページ)。頒価2,000円。送料は1~2冊なら430円。送付を希望される方は、送料込みの金額を送金ください(郵便振替口座等は下に)。

  ■ユーチューブ動画「教えてうえちゃん・・・自然観察・乙女高原スペシャル」■
山梨CATVが制作した動画がユーチューブ・チャンネルで公開されています。約1時間、植原が乙女高原の案内をします。乙女高原三昧の番組です。
https://youtu.be/g_9EuQ3A3f4
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